高校生になると、中学時代と比べてやるべきことが増えます。理科は物理や化学、生物に分かれ、社会は地理や日本史、世界史、政治経済などに。効率のいい勉強が高校生に求められています。
今回は高校生におすすめの勉強法から、教科別の勉強法、効率を上げるコツなどをまとめました。
高校生におすすめの勉強法10選
高校生にとって、おすすめの勉強法を10個ご紹介します。
予習と復習の徹底
授業の範囲が広く、実際にやることが増えると授業を受けるだけではカバーしきれない部分も出てきます。そこで事前に予習を行い、わからない部分を事前にまとめておくことで授業を受ける際に注意深く聞くことができます。そして、その日にやったことを復習することで授業で行ったことが定着しやすくなります。
高校は中学と比べて内容量が多く、躓いたところに戻って授業をしてくれません。それを積み重ねていくと完全に授業についていけなくなります。予習と復習の徹底をするだけでだいぶ違います。
1冊の参考書を徹底的に解く
高校に入ると副教材として参考書を購入するケースが出てきます。数学であればチャート式、英語であれば英文法に関する参考書を購入し、それを使って毎週小テストを行う高校もあるでしょう。これを有効活用し、この参考書を何周も解くことで学力アップに努めることができます。何度もやっていくことで数学の公式や文法の知識がつき、授業でもその内容が必ず出てくるので成績アップにつなげられます。副教材として参考書を購入していなければ1冊参考書を購入し、それを何周も解いていくことをおすすめします。
優先順位をつける
何科目も教科があれば、何から手をつけていいのかわからなくなるのが普通です。そこで優先順位をつけて、最初に手をつける教科を決めて勉強を始めることがおすすめです。苦手克服のためにどうしても予習復習は徹底しないといけない教科からやり始めて、得意科目は後回しです。得意科目は多少時間がない状況でもすぐにやる気を出して、負荷をかけずに勉強が行えます。取り組むべき課題があれば先にそれを片付けるのが効率的です。
勉強のルーティンを決める
やる気のスイッチの入れ方を知る人は、勉強に限らず、様々な分野で活躍します。スイッチの入れ方で目立つのは、ルーティンを定めてそのルーティンを日々こなす行為です。やる気がなかったとしてもルーティンをこなすことでやる気のスイッチが不思議と入ります。
勉強にも置き換えることができ、例えば、ラジオの英語講座を聴いてから勉強を始めるのもいいでしょう。一度動き出してしまえば区切りのいいところまで勉強をし続けることができます。日課となる、ちょっとした勉強を始めてみることをおすすめします。
寝る前に暗記を行う
人には浅い睡眠と深い睡眠があり、浅い睡眠の時に記憶を固定させる働きがあることが研究で明らかにされています。浅い睡眠は1時間半に1回訪れるため、6時間睡眠であれば4回浅い睡眠の時間帯になり、その都度、記憶の固定が行われます。(参考:甲南大学)
寝る前のルーティンとして英単語などの暗記を行い、しっかりと寝て記憶を固定させて再び暗記に取り組めば、効率的に英単語などを覚えられるでしょう。
具体的な目標を定める
抽象的な目標と具体的な目標では、間違いなく後者の方がやる気が出やすいです。明確な目標を決めておけば、そのために何をすればいいのかがおのずとわかります。例えば英語で80点をとるなら、どこが得点源になるか、何を落としてはいけないかを調べ、「単語や文法は満点にする」、「読解は多少落としてもいい」と方針が定まれば、あとはその方針にふさわしい勉強を行えばいいのです。
オーバーラーニングを心がける
1度学習したものを2度3度やると、「もうわかった!」となりがちですが、実は何度も学習するオーバーラーニングをすることで、記憶が固定化されて記憶が上書きされにくい状態になることが研究で明らかになったのです。(参考:Gigazine)
同じ内容を繰り返し行うことでド忘れをなくし、うっかりミスを減らすだけでなく知識が長く身につくことになります。リズミカルに記憶をした内容が何年経っても頭に残っているのはオーバーラーニングのおかげと言えるでしょう。
オーディオブックの活用
近年オーディオブックという商品が人気を集めています。通常、読書をする場合、紙の本もしくは電子書籍で読みますが、オーディオブックは耳で聴くタイプで、時間がない人でもわずか2日で新書を読み聴けると評判です。
このオーディオブックを使った勉強法が存在します。オーディオブックのサービスを運営する上田渉氏は、高校時代は偏差値30で現代文を苦手にしていたとか。そこで現代文を朗読し、その声をテープに吹き込んで勉強し始めたところ、読解力が向上、2年間の浪人を経て東大に合格しています。(参考:ダイヤモンドオンライン)
英語や現代文などオーディオブックで聴くことにより、読解力が増し、リスニング能力のアップにつなげられます。通学などのスキマ時間にも有効です。
時間厳守でやり切る
時間がたっぷりあるとなかなかやる気を出さない人がいます。まだ時間があるからとのんびりし、結局夜遅くまでやってしまい、睡眠時間を削るハメになります。そこで夜10時から夜12時が勉強時間と決め、その前とその後では一切勉強しないと決め、時間厳守で挑むことをおすすめします。
時間制限があるとその時間までに仕上げなくてはならないというプレッシャーがかかり、集中しやすくなります。もしほとんど勉強ができなかったとしても、罪悪感が生じ、二度とそんなことがないように対策を立てようとします。ダラダラとやってしまう人は最初から勉強する時間帯を決めて、プレッシャーをかけるようにしましょう。
覚えたことを書き出す
記憶の作業はインプット作業であり、脳に知識を入れている状態です。しかし、コロンビア大学の研究結果では、インプットの倍以上、アウトプットに時間を割くことで記憶が定着しやすいというデータも出ています。(参考:こどもまなびラボ)
アウトプットの際に覚えたことをノートに書き出していくことで記憶が定着しやすく、思い出す作業を入れることで「テスト効果」を作り出せます。テストを受け続けることで学習効果が上がるとされています。そのテスト効果を日々生み出すため、覚えたことを書き出す作業を取り入れてみましょう。
高校生の教科ごとの勉強法
現代文や古文など細かく分けられる教科もありますが、あえて1つの教科にまとめて勉強法をご紹介します。
国語
国語には現代文・古文・漢文とありますが、古文と漢文に関しては単語と文法、句法を重点的に覚えましょう。これらの知識が抜けていると古文も漢文も全く読めません。ただ単語や文法が分かれば、書いてあることがスラスラと理解できるようになり、苦手意識があっさりなくなります。
現代文に関しては読解力を上げることが重要ですが、先ほどのリーディングブックを用いていくのがおすすめです。目で読むのと耳で聴くのでは耳で聴く方が早いからです。国語は問題を解くために必要なテクニックが豊富です。わかりやすく現代文の解き方を教えてくれる参考書があるので、1冊マスターするのもいいでしょう。
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英語
英語の授業はリーディングとライティングの2つがあり、読解と文法が問われます。ただどちらにも英単語や文法が登場するため、基本的にこの2つはセットで勉強していくべきです。まずは日々の英単語と英文法の暗記、インプット・アウトプットの作業をこなしていきましょう。これが疎かになると読解問題は解けません。読解問題で点数を稼ぐことを意識するタイミングは、英単語や英文法の知識がしっかりと身についてからでも十分間に合います。
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数学
数学は基本となる解き方さえわかっていれば、あとは応用の連続です。解き方が完璧になるまで基礎固めを行い、あとは演習問題の連続です。テスト問題は、「この解法は理解してるかな?」と生徒を試すように作られます。演習問題でわからないところがあれば、躓いた部分を洗い出して再度解いていき、躓いた部分を解消することが大事です。
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理科
理科には物理や化学、生物、地学がありますが、こちらもメインは暗記です。物理は難しい計算問題もあるものの、基本原理と解法がわかっていれば苦労はしません。生物はほぼ暗記、化学もたまに計算問題はありますが、こちらも暗記がメインです。知識を蓄えた上で教科書や参考書の問題をひたすら解いていけば、高得点が狙えます。
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社会
社会には地理、日本史、世界史、政治経済、倫理などがありますが、こちらも暗記がメインです。ただ1つ1つバラバラに暗記するのは非効率で、時系列で覚えていくのがおすすめです。1つ1つの出来事には背景があり、その背景込みで覚えると興味関心も生まれ、楽に暗記ができるようになります。マンガで振り返ることができる教材も多数出ており、これらで背景を知って興味を持っていくのも効果的な勉強法と言えます。
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高校生が勉強法の効率を上げるコツ
何をするべきかおおよそのことが分かったところで、勉強法の効率を上げていくコツをご紹介します。
1か月は続けてみて、すぐに変えようとしない
何事も初めて取り組む時は効率が悪いもので、段々とやっていくうちに効率が上がります。つまり、最初に試してみてしっくりと来ないからやめてしまうのは、正しい成果もわからず、効果もいまいちわからないのでおすすめできません。1か月は続けてみて、1か月後に判断するのがいいでしょう。
1か月続けると、その勉強法のメリットやデメリットが生じ、勉強法のメリットを残しつつ、デメリットを打ち消す方法を考えるようになります。そこで創意工夫が生まれ、より効率を上げた勉強法を確立できます。
授業と同じ時間で区切る
集中して取り組むため、「ポモドーロタイマー」を使ったやり方が人気です。25分の勉強と5分の休憩を1セットにするやり方で、集中が続くのが特徴です。ただこれだと授業を受ける際に、集中力が30分程度しか持たなくなるかもしれません。そこで、50分の勉強と10分の休憩という、高校の授業と同じ形式で勉強時間を区切ることをおすすめします。
これなら授業を受ける感覚と変わりませんし、休憩の仕方もわかっています。ダラダラと勉強をすることもなくなり、メリハリのある学習が行えます。
スキマ時間を活用する
勉強ができないのは時間がないからだ!と自らを正当化する人がいますが、時間がないというのは正しくありません。必ずスキマ時間が存在し、これをかき集めればそれなりの時間が捻出できるからです。特に高1、高2の時期は部活で夜遅くまで家に帰ってこない生徒もいます。そういう時こそ通学の時間にリーディングブックを聴く、ラジオの英語講座を聴く、単語帳を開いて単語を覚えるなど、暗記の時間に使いましょう。
英語や古文、漢文、理科や社会は基礎知識がないとテストで高得点が狙えません。演習問題をやる時間がないとしても、暗記に使う時間はスキマ時間でいくらでも補えるので、どれくらいスキマ時間があるのか、計測してみるのもいいでしょう。
高校生がやらないほうがよい間違った勉強法とは?
有益な勉強法がある一方、これはやめるべきという勉強法もあるのでご紹介してまいります。
小道具ありきの勉強法
単語カードを買ってきて、表側に英単語、裏側に日本語訳を書いて、それを電車の中で覚えた人もいるかもしれません。また教科書にマーカーを引き、重要なポイントがすぐにわかるようにした人もいるでしょう。これらの勉強法は全くムダではありません。しかし、勉強した気になりやすく、そこで満足をする恐れがあるのです。
これはまとめノートを作るのと同じで、見栄えのいいノートにするためにマーカーや色ペンを駆使したものの、勉強内容を全く理解していなかったという人もいます。小道具を使って作業をして満足するような状況だと成績は伸びにくいでしょう。
参考書の解説を全く読まず、答えだけをチェック
数学でチャート式を解く際、どんどん数学の問題を解くのはいいけれど、答えだけを見てまた別の問題を解き始める人がいます。どんどん演習問題を解くのはいいことですが、解き方を見ずにまたどんどん解いていくので同じ間違いをしがちです。また同じところで間違ったと思いつつも、参考書の解説を読まないのでまた同じ間違いをします。これでは成長しません。
参考書の解説には解き方が詳しく載っており、勉強法の中には最初に答えの解説を読んで理解し、時間を置いて再び解くというものもあるほど、参考書の解説は有能です。間違った部分をそのままにしてしまうのはもったいないですし、ここを改善するだけで点数は上がるはずです。
短期間で覚えようとする
定期テストの直前になり、試験範囲にかかってる英単語や英文法をできるだけ記憶しようと必死に暗記する人が必ず出てきます。普段から暗記の作業をしていれば、定期テスト直前でも少し勉強時間を増やす程度で済みますが、普段やっていないと一気に詰め込もうとするので物理的に限界があります。
記憶が定着するにはそれ相応の時間がかかり、短期間で覚えた記憶は完璧に覚えきれず、所々で欠落します。それより長い時間で暗記をしていると長期記憶になり、すぐに忘れません。日頃から学習を行い暗記に取り組んでいれば、必死に覚えようとしなくても負荷をかけずに済みます。
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高校生の勉強法のコツを場面ごとに解説
勉強法のコツは様々な場面においても異なります。場面ごとのコツを解説してまいります。
定期テスト
定期テストの場合、日程や範囲の発表はおおよそ2週間前にされます。これを踏まえて計画を立てていくことになりますが、ここで大事なのが優先順位です。苦手科目を重視する勉強を行い、気分転換に得意科目の勉強を行うような計画を立てることで、苦手科目を勉強するストレスの改善が図れます。
定期テストの勉強でやるべきことは授業用ノートの見直しと演習問題です。さすがに「ここがテストに出ます」とは言わないでしょうが、それを匂わせることはあるかもしれません。ノートを見てもいまいちわからない場合は次の定期テストまでにノート術の見直しが必要でしょう。そして、演習問題をひたすら解き、解説を参考に完璧を目指していくのが確実です。
実力テスト
模試などの実力テストの場合、範囲が広いため、定期テストと同じような対策はおすすめできません。日々の学習が試される場になりますが、一番手っ取り早いのは定期テストの見直しです。酷い点数を取るとテストの答案すら見たくないものですが、そこを我慢して、間違った部分を見直して100点になるまで解くことをしていけば、それが実力テストの対策になります。
そして、模試を終えて、答案が帰ってきた時、ここでも見直しを行って100点が取れるまで解き直すことをしていけば、その知識が蓄積されて、いい結果につながっていきます。
英検などの資格試験
英検などの資格試験の勉強は、まず基本的な知識を暗記して基礎知識を蓄えるところから始まります。そして、過去問を解き、苦手分野をあぶり出します。英検の場合、単語や熟語、文法などがあるほか、長文読解、リスニングもあります。しかも、リスニングは1回しか流れないので、何度も過去問や対策問題を解いて、リスニング力を高める必要があります。
漢検の場合も2級なら2級で出てくる漢字を覚えるところから始め、四字熟語を覚えるなど、まずは基礎知識を蓄えるところから始めます。そして、過去問を解いてどこが苦手かを見つけます。あとは苦手分野を潰し、ケアレスミスを防ぐために見直しの癖をつければ合格はできます。とにかく過去問を解くこと、できれば漢検や英検を主催する会社が発行する公式問題集を購入し、完璧に解き切ることが求められます。
大学受験
大学受験に関してはまず大目標を立てます。次は模試を受けてどれくらいの偏差値なのかをチェックします。あとは中目標や小目標を作っていき、無理のない学習計画を作ります。その際、その日にやるべきこと、その週にやるべきこと、1か月でやるべきことを全部具体的な数字で表せるようにすると、目標が達成しやすくなります。
そして、1か月ごとに計画の見直しを行って修正を行いながら、日々学習を続けていくと、高いハードルと思われた大目標があともう少しのところになり、俄然やる気ができます。大学受験は、対策を立て始めた時期が早ければ早いほど高3での負荷が軽くなるので、1日でも早く始めることをおすすめします。
まとめ
自分に合った勉強法は人それぞれありますが、合理的な勉強法はそれほど多くありません。結局同じような勉強法に落ち着いていきます。あとはいかにやる気を出し続けるかにかかっており、そこで「自分に合った勉強法」が登場します。やらされる勉強は嫌でも、興味を持って取り組む勉強は楽しいと思っている人は多く、社会人になって勉強が好きになった人もいます。楽しいと思える勉強法を1つでも多く見つけられれば、成績は自然と上がっていくはずです。