高校2年生、3年生になってくると大学受験を意識して、塾や予備校に通い始める人が出てきます。一方、高校受験で塾に通わず独学で勉強して受験に成功した人だと、わざわざ塾や予備校に通い始めるのはどうなのかと疑問に感じるかもしれません。
大学受験は独学でも攻略可能なのか、独学のメリットやリスク、独学のコツなどをまとめました。
大学受験は独学でも攻略可能か?
高校受験と比べると、大学受験の範囲は非常に広いです。しかも理解度も要求されるので広くて深いため、一見すると独学では攻略できないのではないかと思いがちです。結論から言えば、独学でも攻略は可能です。
ただし、攻略には条件があります。自己管理が徹底できるかどうかです。独学だと自分でスケジュールの管理を行い、勉強の計画も立てます。また勉強のやる気をコントロールするのも自分で、感情の通りに動いていれば計画通りには進みません。自分でスケジュール管理などが徹底できるのであれば、独学での大学受験攻略は可能です。
独学のメリットとは?
独学にはメリットがあり、予備校や塾にはないものがあります。さて、そのメリットとはいったいどんなものなのでしょうか。
自分がやりたいことを、自分のペースで学べる
塾や予備校に通うと、自分が今やりたいことを学べない可能性が高いです。塾や予備校にはカリキュラムがあり、その中で勉強をすることになるためで、「苦手分野を今のうちに潰しておきたい」と思っていても、塾や予備校では取り扱ってもらえません。
独学なら自分のやりたいことを、自分のペースでこなせます。ひたすら苦手の英語ばかりを解き続けたり、あえて中学時代に遡り、躓いている部分を改善したりするなど、自分の考えで勉強を行うことができるので、ストレスなく取り組めます。
学習した内容の定着がしやすい
独学は自発的に行うものであるので、自然と能動的な姿勢になります。そのため、学習した内容も身につきやすく、内容が定着しやすいのが独学でのメリットです。
学校の授業は受けさせられていることもあり、なかなかモチベーションも上がりませんが、独学は自分の意思でやっている分、身につきやすいものです。
コストをかけなくても熱意でカバーできる
塾や予備校に通えば、毎月数万円単位で費用が発生します。受験シーズンになればさらに費用がかかり、加えて受験費用などがあれば100万円以上の出費も十分に考えられます。受験費用などは仕方ないにしても、塾や予備校の費用をかけずに勉強ができるようになれば、それに越したことはありません。
独学だと参考書などの費用ぐらいしかかからず、家計の負担はだいぶ減ります。しかも、時間はたくさんあるので、志望校合格に向けた熱意があり、創意工夫をする気持ちがあればいくらでもカバーできます。
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独学での大学受験におけるリスクとは
独学で大学受験に臨むことはメリットばかりではありません。独学ならではのリスクもあるので、その対策も大事です。
受験のコツを得られない
独学ブームが訪れ、独学で勉強をする学生もいる中、いまだに塾や予備校を頼る人は多いです。決して受動的な態度で勉強に取り組んでいるわけではなく、予備校の方が最新の大学受験のトレンドに熟知し、合理的な勉強法などを示してくれるからです。
独学でもインターネットなどで大学受験のトレンドを調べることはできます。しかし、本当に「生きた情報」なのか、それとも少し古い情報なのか、独学だけではわからない部分もあるでしょう。
モチベーションの高い受験仲間に恵まれない
独学という言葉にもある通り、独りで学ぶのが独学です。独学の場合、自分ですべてをコントロールしなければならず、時に魔が差して、今日ぐらいは勉強しなくていいかとモチベーションが下がることがあります。しかし、予備校や塾に通うと、モチベーションの高い受験仲間が常に周りにいるため、モチベーションは高く保たれやすいです。
また予備校の場合、予備校講師が学生たちの心理をうまく利用し、常に危機感を持たせます。決して気の緩みを許さず、常に緊張感を保たせる芸当はさすがの一言です。このあたりを独学で示すのは大変です。
プランが間違っていた時の修正が難しい
独学で生命線となるのが学習プランです。目標を立てて、そこから逆算して勉強を進めていくことが大事ですが、このプランがトンチンカンな計画だった場合、それに気づくまではタイムロスになります。
また自分で計画を立てていくと、周りの意見に耳を傾けにくくなり、間違っていると指摘されても、素直に受け取れない人もいます。独学を行う場合、自分の事を過信しすぎないことも重要です。
独学で失敗しないために
受験のコツ、仲間、プランの見直し、これら3つのことは独学の道を選んだ場合でも対応は可能です。受験のコツやテクニックはネット上で出ることがあり、あとはしっかりと調べて「生きた情報」を見抜くようにすれば問題ありません。仲間に関してもSNSを通じて見つけることができるだけでなく、実際に勉強仲間を見つけられるアプリやノートを共有するアプリなどもあります。
仲間を作り、情報共有をしていく中で自分の間違いに気づき、修正できるケースも出てきます。独学のデメリットの1つに「孤独」がありますが、アプリを通じて孤独を払拭できれば、独学はまさに最強の勉強法になるでしょう。
大学受験の独学で大事な3つの事
実は独学で大事なことは下記の3つしかありません。この3つをしっかりと守れば独学での大学受験は成功しやすくなるでしょう。
❶適切な計画
1つ目は適切な計画を作ることです。独学を始める時期にもよりますが、大学受験における計画は短くても数か月単位、長ければ年単位になります。目標をどうするか、今のポジションはどこか、そこから目標に向かって何をすればいいか、ここまでを一通り考える必要があります。
一方、その時点では適切な計画でも、予想外にできた場合や苦戦を強いられた時には変更を決断すべき時が来ます。その決断をどこで行うかも大事であり、進捗管理はできる限り細かく、1週間単位でチェックしていくのが確実です。
❷計画を確実に実行すること
2つ目は計画を確実に実行することです。事前に立てた計画通りに事が進み、思った通りの結果が出てくれば志望校合格に向けての視界は一気に広がります。ただ、全ての計画が完璧に進むとは限らず、見通しが甘かった際にどのように修正して計画を実行していくかも大事になってきます。
反対に思ったよりもできて、想定よりも解けるようになるケースもあります。この時、解く量を増やして計画に余裕を持たせるか、現状維持に努めるかなども想定されます。とはいえ、一番守るべきは、計画を確実に実行できるかどうかです。
❸わからないまま進まないこと
最後に、わからないまま進まないことです。解いていく上でどうしてもわからない部分が出てきます。その際にわからないところを放置して進めても、そのわからない部分に関連した内容が必ず出てくるので、詰まりがちです。わからないことを放置しすぎると教科全体の苦手意識が増すようになるので、わからない部分を放置して進むのは避けるべきです。
わからない内容が英語に関することか、国語に関することなのかにもよりますが、基本的に参考書に書かれていることが多く、ネット上でもわかりやすく説明するサイトもあります。これらを活用して、できれば完璧な状態にして進めていければいいでしょう。
独学で大学受験を攻略するためのコツ
独学を行い、大学受験を成功させるには先ほどの3つの考え方がポイントになります。この3つについて、コツをまとめました。
適切な計画を立てるためのコツ
模試を活用して自分の立ち位置を知る
地図を使って目的地を目指す場合、自分の居場所がわからないことには目指しようがありません。今自分がどこにいるのかを知った上で、適切なルートを見つけて目的地に向かって進めます。勉強も同じで、目標設定も大事ですが、まずは自分の今の立ち位置を知ることが重要です。
英語が苦手といっても文法がダメなのか、語彙力に欠けるのか、長文読解が苦手なのか、これを模試や学校の成績を見ながら振り返ることで自分に今足りないものが見えてきます。それを計画に組み込んでいき、計画が作り上げられます。
予備日を設ける
計画を立てて毎日こなしていけるのが一番いいですが、体調を崩したり、突発的な出来事が発生したりします。ロボットならまだしも人間であるため、時として計画通りに進まないことは出てきます。それを見越した計画の立て方をするべきです。
1週間に1日は緩やかな予定の日を作って、計画通りにいかない日があればその内容をスライドさせることで計画が少し狂ってもリカバリーすることが可能です。もし計画通りに進んで、予備日に何も計画を立てていなかったとすれば、「チートデイ」の感覚で自由に過ごすのもいいでしょう。
月の終わりに計画の見直しを行う
最初に計画を立てたら、あとは突っ走るだけとは限りません。予想以上にできたり、全然できなかったり、やってみないとわからないことが多いため、どちらの意味でも計画通りにいかないことがほとんどです。当然ながら科目によってバラつきが生じます。
月の終わりに計画の見直しを行い、来月に向けての戦略を練り直すようにして、1か月の総括をしていきましょう。振り返ることで反省すべき点や継続すべきポイントが見つかるので、目標達成に向けて適度に計画の見直しを行うことはいい学びにもなりやすいです。
計画を確実に実行するためのコツ
不必要な行動を適度に辞めてみる
スマホに着信や通知があるとついつい見てしまい、数分だけ触るつもりが気づけば何十分も経過していたなんてことがあります。明らかに不必要な行動であり、ダラダラした時間を削るだけで相当な勉強時間の確保につながるので、1日の行動をリストアップし、不必要なものを中心に削れる部分を削っていくのがおすすめです。
しかし、ストイックにやり過ぎると必ず反動が出ます。また今まで息抜きにしていた習慣を辞めるとストレスがたまりやすくなる恐れも考えられます。優先順位を設けて、必要なものは残しつつ、例えば食事は30分程度で済ませるなど、無理なく削れそうなところを削って勉強時間に回せば、計画通りに進みやすくなるはずです。
模試で常に現状の実力を把握する
着実に成績がアップして、苦手科目が改善され、得意科目の点数が高位安定すれば、計画通り順調に進んでいる可能性が高いです。模試の結果は、計画通りに進んでいるかを示す指標であり、今の実力を確かめるために欠かせない情報です。
模試を通じて、以前よりもできている、全然改善が見られないなど色々なことが見えてきます。改善が見られなければ計画の見直しを行い、できていればこれまで通り計画を進めるなどができます。計画を変えても結果が出るまでに時間がかかる場合もあるので、模試のたびに計画を変える必要はありませんが、よりよいものを目指す姿勢は大事です。
睡眠時間は削らず、規則正しい生活を
計画通りに進まない場合に、半ば自分に罰を与える意味合いで、睡眠時間を削ってまで計画通りに進めようとする人がいますが、これはおすすめできません。最初のうちは、これだけ頑張ったという達成感にもなりますが、それが常態化すると日中での勉強に身が入りにくくなる恐れが。
日中は常に眠気に襲われ、眠気をごまかすためにエナジードリンクを飲み始めると体調をおかしくさせます。どこかでそのツケを払わされてしまい、余計に計画が遅れることも考えられます。ですので、規則正しい生活を送り、規則正しい生活の中で効率よく勉強をしていきましょう。
わからないまま進まないためのコツ
小テストを行い、厳格に管理する
進捗管理のために毎日小テストを行って目標をクリアしたかどうかをチェックする人がいます。このやり方は素晴らしく、その日の目標や成長度合いを見るのに適しているのですが、例えば100点を出さないと次には進めないと決めた場合、ケアレスミスさえなければ100点だったケースでどう対応するかでその人の本気度がわかります。
たとえケアレスミスでも間違いは間違い、改めて小テストを解くことを選ぶか、そんなに目くじらを立てなくていいかと次に進めるか、この選択の違いは積み重ねれば大きな差になります。厳格に小テストを扱い、ケアレスミスがなくなるまで完璧にできれば、わからないまま放置することにはなりません。
わからない問題に目印をつけて、改めて解き直す時間を設ける
参考書で勉強をすることがほとんどですが、時にどれだけ考えてもわからない問題が出てきます。いくら考えても出てこないものは、1時間2時間かけたって同じです。できるだけ時間を使わず、よくわからないところがあれば付箋などで目印をつけて、改めて解き直す時間を設けるようにしましょう。
参考書を読み進めていくと、「そういうことだったのか!」と一気に理解することもあります。あえて先に進んだとしても、わからないまま放置することにはつながりません。効率的なことを考えた結果であり、合理的なやり方です。
どうしてもわからない時はネットで調べる
学生の場合には、わからないところを学校の先生に聞く、友達に相談するなどして、わからない部分を放置しないで済みますが、問題は「宅浪」の人たちです。誰にも聞けないので、参考書を見てもわからない場合は、強引に暗記など色々なことを検討するべきですが、どうしてもわからない時はネットで調べることをおすすめします。
独学ブームで、塾や予備校に通わずに勉強を進めていきたい人は結構います。すると、同じところで苦しんでいる人も当然いるので、わからなかった部分をネットで調べて理解できるようになったというケースは当然出てきます。注意したいのは、時に間違った情報を書き込む人物もいるので、ダブルチェック、トリプルチェックが求められます。
まとめ
独学を駆使し、大学受験で結果を出すことは十分に可能です。ただし、方法がしっかりとしていて、目指すべき道も定まり、熱意がないと大変です。独学で成功を収めた偉人の話を聞く限り、何がやりたいかが明確で、熱意は人一倍ありました。ガムシャラにやっていく中で方法を見つけ出した人もいます。
独学は孤独の戦いと思う人もいるでしょうが、相談できる相手がいればすぐに相談して、常に計画の見直しを行うぐらいのスタンスがいいでしょう。仲間を見つければお互いに励まし合って目標を目指せるので、どんな形でもいいので独学仲間を見つけてみることをおすすめします。