学生の中には、「社会人になったら勉強なんかしなくていいんだ!」と思っている人がいますが、むしろ社会人になってからの方が勉強をする機会が増えます。資格取得や語学力向上など内容は様々ですが、スクールに通わず独学で学ぶ社会人がほとんどです。今のうちから独学の効力を知っておくべきでしょう。
独学の勉強は効率がいいのか、独学のメリットや独学での勉強法、独学ならではの躓きなどをまとめています。
独学での勉強は効率が良いのか
独学で勉強をすることは、果たして効率が良いのかと疑問に持つ人がいます。実際のところはどうなのでしょうか?
独学は最強の勉強法
結論から言えば、独学での勉強は効率がよく、「最強の勉強法」とも言えます。その理由として、自分が苦手とする分野をとことん潰しにいけるなど、柔軟な勉強が行える点にあります。
例えば、集団塾に入ったら個人の躓きを配慮してくれず、置き去りにされます。個別指導塾は柔軟に見えるかもしれませんが、実際は講師へのオペレーションの都合上、スケジュールが決まっていることがほとんどで、大手ほど柔軟性は感じにくいと言えます。これが独学なら、自分のペース、考えでとことん追求できるので、まさに「最強の勉強法」です。
独学のメリットとは?
お金がかからない
集団塾や個別指導塾に入ると、とにかくお金がかかります。毎月2万円、3万円が授業でかかり、夏休みや冬休みになれば講習が。塾に通うだけで年間数十万円がかかり、受験シーズンになればさらなる負担が待っています。
独学であれば、これらの費用は一切かかりません。さすがに模試は受けるべきでしょうが、高校で模試が受けられるのでわざわざ塾で模試を受ける必要もないでしょう。独学のやり方さえわかれば、塾に通わずにお金をかけずに志望校合格が狙えます。
自分がやりたいことを学べる
独学のメリットは、今自分がやりたいことを学べる点にあります。苦手克服のために徹底的に苦手科目を学ぶこともできますし、得意科目を伸ばしたいからと得意科目のみ学習することも可能です。
英単語や古文の単語など暗記するべきことを重点的に学ぶなど、強化したいポイントを時間をかけて、自由に学習時間に割けるのは独学だからこそです。
自分の頭で考えた学習が行える
塾や学校での学びは、どちらかといえば受動的な姿勢になりやすいです。自分が学びたいことを学ぶのではなく、カリキュラム通りに進行していくため、生徒側でコントロールすることはほぼできません。ゆえに、やりたくないことをやらされるような感覚になり、勉強に対するモチベーションが下がりがちです。
独学の場合、自分で考え自分で行動し、検証なども自ら行います。同時に、他人のせいにはできないことを意味し、万が一成績が落ちればすべて自分の責任です。だからこそ、主体性が身につき、自分の頭で考えて実行に移す力が身につき、自分なりの勉強のやり方が見つけられます。
独学で成果を残した偉人はたくさんいる
独学で成功を収めた偉人は世界を見るとたくさんいます。例えば発明王のエジソンは、なんと小学校の時に教師とけんかし、わずか3か月で「中退」してしまいました。そこでエジソンは図書館で独学を行い、幼い時から仕事をして実験室を作り上げ、世紀の大発明を成し遂げます。
建築家の安藤忠雄氏は、高校2年生の時にプロボクサーとなりますが、わずか1年半で限界を感じ、建築の道に進もうとします。しかし、学力や資金的に大学進学は難しく、京大や大阪大の建築学科にこっそりとお邪魔して、教科書を読み漁り、独学で建築を学び、建築士試験に一発合格を果たします。他の学生が4年で学ぶことを、15時間以上独学してたった1年で習得して見せたのです。
「将来何をしたいかではなくどの大学に入りたいか」だけで大学を決める学生が多いのは昔も今も変わりません。しかし、独学で成功した偉人たちは「何をしたいか」でパワーあふれる日々を過ごし、見事に夢をつかんでいます。
独学での勉強法で大事なこと
エジソンや安藤忠雄氏みたいに独学で夢をつかみたい人が最初に気を付けるべきこと、それは独学での勉強法です。時間があるからこそ、その勉強法のチョイスが大事になっていきます。
自分に合った勉強法を知る
最初のポイントは、自分に合った勉強法を知ることです。先ほどの安藤忠雄氏の場合、教科書でわからないところがあっても、そこを飛ばして勉強していたそうです。そして、教科書でわからなかったところが仕事をする過程で出てきた時に、「あの時の内容はこういうことだったのか」と理解したようです。
わからないからやる気を失うのではなく、まずは飛ばして、解き進めていく中で理解することも出てくるでしょう。このように、自分に合った勉強法を知ると、常にモチベーションを高くした状態で学び続けることができるのです。
自分に合った勉強を見つけるには
さて、自分に合った勉強を見つけるにはどうすればいいか、そこが重要ですが、1番の見つけ方は、「実際にやってみること」です。やってみないことには、自分に合っているか合っていないかがわかりません。合っていればそれが自分に合った勉強法です。
もちろん合っているのを見つけたらそれで終わりではありません。必ず勉強法に関する検証を行い、どの分野の勉強をする時に効果的な勉強法なのかを分析します。教科ごとに自分に合った勉強法を見つけられればいいでしょう。
優先順位をつける
独学は、とにかく時間がたくさん使えるのがメリットの1つですが、だからといって、複数の教科に満遍なく時間を振り分けるやり方はあまりおすすめできません。独学で大事なのは、優先順位をつけることです。真っ先に何をすべきかを決めて、それができるまでは他のことはやらないと徹底するのも1つのやり方です。
例えば、英単語を覚えるまでは長文読解をやらない、英語を得点源にするので過去のセンター試験の問題で一定の点数に達しない限りは英語ばかりを学習するというのも、優先順位のつけ方としてアリです。ちょっと勉強をするだけで理解できるような内容であれば優先順位を下げてもいいでしょう。
勉強のコアタイムを決める
企業の中にはフレックスタイム制を採用し、社員が決められた範囲の中で出退勤ができるようにするところがあります。一方で、コアタイムと呼ばれる、必ず出勤しなければならない時間帯を設けているケースも。コアタイムがあることで部署内での情報共有がしやすくなります。
勉強にもコアタイムは必要です。独学の場合、自分の時間が有り余るほど存在するため、時間の管理が結構難しいです。例えば、この時間からこの時間はコアタイムにして集中して勉強し、他の時間は自由に使えるとすれば、メリハリをつけた勉強につながります。時間は他の人より多いからこそ、余計に時間の管理は徹底するべきです。
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独学での勉強法のコツ
最終目標から逆算していく
例えば、独学で医学部に合格するのが最終目標だとします。すると、この模試までに少なくともB判定以上はとっておきたいと目安をつければ、あとはそれに向かって足りないものを補っていくことになります。
できれば数か月単位、1か月単位、1週間単位と目標を設定して、進捗管理をしていくことをおすすめします。足りないものを補いやすいことだけでなく、合格するかどうかの不安が消えやすくなります。
間違いやすい内容をリスト化する
模試や過去問を解く中で、「いつもこの手の問題で躓く!」と問題に対して怒りを覚える人もいるはずです。しかし、これをスルーすればまた怒りを問題にぶつけることになりますが、逆にそれへの備えをしておけば、二の舞三の舞とはなりにくいです。
ノートやメモ帳など形式は問いませんが、どこで躓きやすいのかをリスト化して、勉強を行う際も、リストから消せるように意識しながら勉強のやり方を考えると効果が出やすいです。そこを潰していく作業をするだけです。
1冊の参考書を完璧になるまで解く
独学をすると色んな参考書に手を出したくなるものです。しかし、手を出していくうちに中途半端に手をつけてしまい、何の力も得ていなかったという悲劇が降りかかるかもしれません。
自分に合ったレベルの参考書をまずは1冊解いてみて、それを解き切ることをおすすめします。「生きる参考書」ぐらいに参考書の知識が入っていれば、間違いなく力は身につくはずです。
勉強に不必要なものはできる限り遠ざける
独学は、自己管理に長けた人、目的意識が明確で目標に向かって頑張れる人向けの勉強法です。そのため、スマホやマンガの誘惑にあっさり負けるようでは、独学で結果を出すのは大変です。
勉強に不必要なものはできる限り遠ざけ、調べ物がある時だけ使用するなど徹底しましょう。スマホをついつい使う人は、制限アプリなどスマホを自由に使わせないアプリも多くあるので活用してみてはいかがでしょうか。
スキマ時間を活用する
トイレや食事の時間などもスキマ時間を活用することもおすすめです。ただ、普通に勉強をするのではなく、工夫を凝らしてスキマ時間の活用を行ってリズムを変えてみてはいかがでしょうか。
例えば、お風呂に入っている時に今日覚えた英単語を思い出したり、トイレに入っている際に次にやるべきことを考えたりして、時間を無駄にしないことが大事です。社会人になってから独学をする際、このスキマ時間が重要になるので、限られた時間で何ができるのかを知っておくことも大切です。
独学での躓きあるあるとその解決策
独学でやっていると、時に躓いてしまうことがあります。躓きあるあるとその解決策について解説します。
本当に身に付いているのかわからない
独学で勉強をしていると、今やっていることは本当にプラスなんだろうかと疑問に思ってしまう人が出てきます。自分はどれだけ力がついたのか、これが分からないと不安になります。
解決策
この場合の解決策は、模試などに参加することです。そうすれば、今の立ち位置がわかり、合格の可能性が可視化されます。また、どの部分が弱いのかも示されるので、優先順位を変更して苦手克服に動くことも可能になります。
自分に甘く計画通りに進まない
何度も書きますが、独学は主体性が重要で、自分の頭で考えて行動するものです。裏を返せば、主体性がなく自分の頭で考えない状態では独学の意味がありません。もし、自分に甘い人間だった場合、計画を作っても「まぁなんとかなるだろう」で終わらせてしまって、後で取り返しのつかないことになるでしょう。
解決策
自己管理がなっていないから計画通りに進まないので、誰かに見てもらい監視をしてもらうのがおすすめです。もしサボっていれば、なぜサボっているんだ!と一喝されますし、時に思いっきり説教をされるかもしれません。
親はしきりに予備校通いを勧める中、自分は独学でやりたいと押し切った場合、成績が伸びなければ予備校通いの重圧はよりかかります。模試の結果などを見せて、結果が出なければ何かしらのペナルティを受けると退路を断って勉強に臨めば、否が応でも勉強をするようになるでしょう。
自分に合っていないやり方に固執する
両親が勉強ができる人だと、「とにかく暗記が大事で、書いて覚えるべきだ!」と勉強法を伝授してもらった経験があるはずです。しかし、両親にとって最高の勉強法でも、子供からすれば全く力にならない勉強法になってしまうこともあります。「でも親にやれって言われたもんなぁ」とそのやり方に固執してしまうと、無駄な時間を過ごすことに。
解決策
少しでも、自分に合っていない、ノリ気にならないと感じた場合は、ノートに検証結果をまとめて別の勉強法を試してみることをおすすめします。様々な勉強法を検証すると、どんなやり方が性に合っていて、どんな勉強法だとノリ気にならないかが可視化されます。
すると、前は良くないと思っていた勉強法が実は合っていたのではないかと再評価につながり、自分に合った勉強法に「昇格」することにつながります。
勉強に効率的なのは朝・夜どっち?朝・夜の勉強におすすめの科目もご紹介
まとめ
独学で勉強をすることは、自分の意思を強く持ち、自分の考えでやり方を決めて、ひたすら勉強することを意味します。東大や医学部、早慶など最終目標に設定する際に、なぜその最終目標にしたのかを説明できるようになるまで落とし込めれば、目標がブレることもなく、入試日まで独学を完遂できるでしょう。なんでこの目標にしたかわからないという状態では、早々にモチベーションは下がり始めます。うまく独学ができれば、社会人になってから必ず役に立つ能力となるので、成功目指して頑張りましょう。