日本史と並んで、地歴科目で選択されることが多いのが世界史です。人名や地名などに馴染みがなく、覚えるのが大変ではありますが、徹底的な暗記を行えばすぐに点数を稼げるようになる分野でもあります。
今回は世界史に関する勉強のコツ、世界史の特徴、世界史の学習計画などをまとめました。
大学受験における世界史の特徴
大学受験において、世界史はどのようなものか、その特徴をまとめています。
とにかく範囲が膨大だが、浅く済む
日本史も世界史も歴史を学ぶという点で同じですが、日本1か国の歴史とそれ以外の世界の国々の歴史では当然学ぶべき範囲は広く、膨大です。その結果、こないだ学んだ内容をあっさり忘れてしまうことも世界史ではよくあります。しかし、覚える内容に関しては浅く済むため、1つの出来事から関連して覚えるべきものは少ないです。暗記を一生懸命行えば、すぐに結果が出やすいのも世界史ならではと言えます。
基本的な内容を問われやすい
アジアやヨーロッパ、アメリカなどそれぞれの国の歴史を学び、しかも紀元前からの歴史を学んでいくことは想像するだけで大変そうです。しかし、広く深い知識を問うのは非常に大変であり、難易度のコントロールが難しいために、広く浅く出題され、基本的な問題が多くなりがちです。全ての範囲の歴史を学んでいくため、時間はかかります。それでも、根気強く取り組んでいけば点数は確保しやすいです。
頑張れば頑張るほど成果が出やすい
覚えるべきことが多く、基本的な内容が出題されやすいとはいえ、広い範囲で出題されることから、暗記をイチからしようと思えばかなり大変です。しかし、暗記を徹底的に行うなど、頑張って取り組んでいけば取り組んでいくほど成績が上がりやすいのが世界史です。覚えるのは大変ですが、参考書の中には覚えやすい仕様にしたものや、内容理解がしやすい初学者向けの参考書も充実しており、ゼロからのスタートでも高得点を目指すことが十分に可能です。
世界史の効率的な勉強法とは?
世界史に関する勉強法や、勉強のコツ、論述対策、定期テストへの向き合い方などをまとめています。
勉強の流れを10のステップで解説
❶教科書を読む
世界史の教科書を読んで、大まかな流れをつかんでいきます。共通テストなどでも教科書に書かれていることがメインで出てくるので、大事そうなポイントをつかみながら進めていくのがいいでしょう。
❷エリア別に歴史の流れをつかんでいく
アジア圏や中東圏、西洋圏などそれぞれのエリア別に歴史の流れをつかんでいきます。時系列でまとめてやると混乱することがあるので、エリア別に学習していくことが求められます。そのエリアで起きた出来事の流れがつかめるようになります。
❸エリア別に政治史や経済史、文化史を覚えていく
世界史では大半が政治と経済を学び、たまに文化史を学習します。エリア別に政治史の出来事などを覚えていきます。
❹エリア別に覚えておくべき年号や出来事を暗記する
そのエリアで起きた重要な出来事や年号を暗記していきます。関連して覚えるべきものは日本史に比べると少ないため、流れをつかんで覚えていくと少ない負担で覚えられるようになります。
❺エリア別に演習問題を解いていく
問題集などはエリア別に分けられているので、特定の地域に関する問題で演習問題を解いていきます。できない問題は改めてインプットし直し、何度も解いていき、知識の定着を図っていくことになります。
❻講義形式の参考書で縦の流れを整理する
講義形式の参考書は、よりわかりやすく、整理された歴史を学んでいくことができます。特に世界史は範囲が広いため、「縦の流れ」、「横の流れ」という言葉が登場ますが、特に縦の流れは、歴史の流れをつかみ取る中で重要です。横の流れは、同時期に他の地域で何があったかという部分ですが、縦の流れを把握してからでも十分間に合います。
❼横の流れをチェックする
日本が江戸時代だった時に他の地域はどんなことが起きていたのかという横の流れを、講義形式の参考書でつかみます。横の流れに関する専用の参考書も出ているので、それで学んでいくのがおすすめです。
❽演習問題で知識のムラをチェックする
演習問題を通じて、現状有する知識にムラがあるかどうか、どこが得意でどこが苦手かを見ていきます。もし出来ない部分があれば、改めてその部分のインプットを行い、少しでもムラをなくしていきましょう。
❾一問一答集などでインプットを徹底する
一問一答形式で展開される入試は少ないですが、暗記をする上で一問一答形式は手っ取り早く、覚えている覚えていないという判定がしやすいです。先ほどの演習問題でできなかったところが載っていれば徹底できていなかったことを意味します。
❿完璧に解けるようになったら次のエリアへ
完璧に解けるようになるまで暗記、演習問題を繰り返し、知識のムラがなくなったら次のエリアに進みます。
世界史の勉強のコツとは?
講義形式の参考書で理解を深めていく
世界史の用語集に掲載される言葉の数は実に1万を超えるとも言われており、英単語を覚えるよりも膨大で、いくらなんでも覚えきるのは大変です。当然機械的に覚えるのも大変なので、講義形式の参考書を用いて、流れで覚えていくことがおすすめです。人の名前や事柄を機械的に覚えることは大変ですが、ストーリーを知るように覚えていくと覚えやすさがだいぶ違います。
ダジャレやゴロで覚える
一問一答集の参考書を購入してそれで暗記を進めるのもいいですが、インプットの仕方は人それぞれであり、自分なりにインプットしやすい方法であれば、ダジャレやゴロのような形で覚えていくのもいいでしょう。授業で先生が何気なく言ったダジャレが意外と頭に残っていることがあるように、ダジャレやゴロで覚えていくと結構長く残りやすいものです。自分なりに工夫を行い、覚えやすい形で暗記を進めるのが一番ですが、簡単に取り組みやすいのがダジャレやゴロです。
自分でストーリーをまとめてみる
流れで覚えていくのが歴史だとすれば、自分自身で分かりやすくストーリーにまとめて自分なりに理解しやすいようにするやり方はかなり有効です。講義形式の参考書や用語集、教科書を見ながら流れを作っていき、ストーリーを作っていくことができれば、そのストーリーで覚えられるようになるので内容理解が進みやすくなります。他の人が書いた言葉だと覚えにくくても、自分なりの解釈になれば、結構覚えやすいものです。
世界史の論述はどう対策する?
世界史の論述対策は、まず論述に耐えられる知識をインプットすることが大前提です。そして、最初は少ない文字数で書いていくようにし、段々と文字数を増やしていくようにしましょう。また、論述対策の参考書で対策を立てる場合、解説に答えを導くまでのプロセスやアプローチ方法が書かれていることがあります。解説をじっくりと読み込み、論述のやり方を学んでいきましょう。
世界史の定期テストはどう対策すれば良いのか?
世界史の定期テストは、基本的に一問一答形式で答案を埋めていくケースが多いので、積極的に暗記をするのがおすすめです。学校で、共通テストや大学入試のような手の込んだ問題はなかなか作れません。作れたとしても、一部に限られ、基本問題として授業中に出てきた用語を問う問題を出さざるを得なくなります。ですので、世界史の定期テスト対策をする場合、とにかく試験範囲内に登場した用語を覚えていきましょう。
共通テスト(センター)のための世界史勉強法
世界史の共通テストをどのように乗り切ればいいのか、共通テストにおける世界史の難易度や世界史対策、おすすめの参考書をまとめました。
共通テスト(センター)世界史の概要
2021年の共通テストでは、前年のセンター試験と比べて大問が1つ増えて5つになりました。しかし、問題数は減っており、大問1つあたりの設問は減っています。決定的に違うのは資料問題の多さで全体の設問数の半数を占めるほどです。資料から答えを導き出す、思考力問題が多いのが世界史の特徴です。また思考力問題はスパッと解ける問題が少ないため、時間がかかり、時間との戦いを強いられる傾向にありました。
それでも平均点は例年と変わらず、思考力問題の対策を多くの学生がしていたことを意味します。今後も資料から問題を導き出す問題が多くを占める可能性があり、対策を立てなければなりません。
共通テスト(センター)世界史対策のコツ
インプットだけで満足しない
暗記科目と呼ばれる世界史や日本史などで、一番やりがちなのは、暗記を目いっぱいやったから大丈夫だろうという自信を持ってしまうことです。確かに知識を詰め込むことは素晴らしいことですが、その引き出し方がわからずに答えられないと、全く暗記をしてこなかった人と同じ不正解という意味で同じです。
インプットも大事ですが、アウトプットの練習もしなければとっさに引き出すことができません。暗記の仕方が自分に合っていないとなかなかインプットもアウトプットもうまくいかないものです。アウトプットがうまくいかなければ意味がないという意識を持ちながら、暗記に励むようにしましょう。
演習問題をひたすら解いていく
一問一答形式で出てくることがほとんどない共通テストにおいて、1つの知識を持っていても選択肢を1つ消すに過ぎず、4択が3択になっただけという現象が起きやすいです。どんどん知識を入れ、縦の流れ、横の流れで知識を積み重ねていかないと選択肢を1つに絞ることができず、2択にまで絞ってそこで運任せのような選び方をしてしまうものです。
演習問題をひたすら解き、自分がどれだけ知識を有しているのかを実感し、その状況で点数をどれだけ取れるのかを理解できると、より問題を解く、インプット量を増やすなどの対応ができます。
資料からの読み取りなどの思考力問題に慣れる
共通テストに切り替わる段階で、大きく変化を見せた科目はいくつかありますが、世界史もその1つです。これまでさほど出なかった資料からの読み取り問題など、思考力を問う問題が半数を占めているからです。
より深く知識を入れておかないと解けないような問題ばかりになっていくでしょう。しかも、共通テストで出てくる資料などは初めて見るものがほとんど。パッと見て今まで培った知識を駆使するにも、場数が必要です。演習問題で思考力問題に触れて、解き方を解説でチェックしていきましょう。
共通テスト(センター)世界史におすすめの参考書
きめる!共通テスト世界史
きめる!共通テスト世界史は、図やイラストが多く、分かりやすく歴史の流れがつかめる参考書です。説明がシンプルなので、基礎固めを素早く行いたい場合におすすめです。通史として何冊にも分かれている参考書が多い中で、この参考書は1冊で完結するため、要所を押さえて覚えていきたい人に最適です。
神余のパノラマ世界史
神余のパノラマ世界史は、地図などがたくさん載っており、イラストなどで内容理解を助けてくれる参考書です。講義形式で進んでいき、世界史の縦の流れを感じ取れます。覚えるべき言葉は強調されているので、効率的に暗記を行い、インプットをしていくこともできます。
ハイスコア! 共通テスト攻略 世界史B
ハイスコア! 共通テスト攻略 世界史Bは、世界史の分野を細分化して、1つ1つのテーマで用語の確認や一問一答を行って知識のインプットとアウトプットが兼ねられる参考書です。特定の分野に関する過去問だけをピックアップして解いていくことができるので、短期間で点数アップを目指すのにおすすめです。
世界史の学習計画について
世界史の学習計画をどのように進めていくべきか、始めるタイミングや計画のポイントをまとめました。
勉強はいつから始めればよい?
地歴公民に関しては、英語や国語を差し置いて優先的に学習する代物ではありません。優先するべきは英語と国語で、地歴公民はその後。つまり、着手する時期も高3に入ってからで十分間に合います。講義形式の参考書で流れをつかみ、同時並行で暗記をしていき、できれば着手して半年までに全範囲を終えるぐらいがいいでしょう。
理想は2学期から過去問をやり出すような感じです。3年4月からでも十分間に合いますが、暗記に不安を覚える人は少し前から始めてもいいでしょう。少なくとも3年の9月10月までに一通り終わらせておくべきでしょう。
世界史の勉強計画のポイント
模試の試験範囲に合わせて計画を立てる
勉強の計画を立てる際に、模試の試験範囲に合わせて準備・計画を立てていくのが理想的です。この時期までにこれだけの範囲を学んでおかないといけないというのがわかっていれば、それに合わせて計画を立てられます。高3の4月から半年間で全範囲を網羅するといっても、ペースがあります。模試の試験範囲に合わせておくとペースがつかみやすいです。
世界史をメインに扱わない
あくまでもメインは英語と国語なので、毎日ひたすら何時間も世界史を学んでいく状況は、あまりいいとは言えません。学ぶこと自体に問題はありませんが、英語や国語に点数の比重がかかる場合がある一方で地歴公民にはほぼありません。スキマ時間や寝る前など時間を見つけて取り組む程度がいいでしょう。
週単位、月単位で計画を立てる
高3の4月から着手して10月までには全範囲を網羅したいとなれば、週単位・月単位で管理をするのがおすすめです。今月はアジア系を完璧にするとか、今週はアウトプットを意識して勉強をするとかを決めていくと、意味のある勉強、能動的に取り組む勉強になっていくことで、定着のしやすさを感じられます。
世界史を効率的に暗記するためのポイント
世界史の内容を効率よく暗記するために何をすればいいのかをまとめました。
ゴロで覚える
「ゴロ合わせ朗読CD付 世界史まるごと年代暗記180」など、世界史では暗記やゴロに関する本が世界史はとても多いです、その中でもゴロで覚えるタイプはとてもユニークで、勉強が少し苦手な人でもすんなり内容が入りやすくなります。ゴロはどれもスマートではなく、ダサいゴロもありますが、自分なりにゴロを考えて覚えるやり方もいいでしょう。
口に出して書いて覚える
一番記憶が定着するのは五感に訴えかけるような覚え方をする時です。手で書いたり、口にしたりと五感を刺激する覚え方を心がけると知識がつきやすくなります。とはいえ、すべてこのやり方でやるのは効率的ではないので、何度も間違えて覚えきれないものなど重点的に覚えるべきもので実践しましょう。
寝る前に覚える
人間は寝ている時に記憶の整理を行い、定着の作業を行います。このため、寝る前に暗記したことを翌朝思い出そうとすると結構思い出すことができます。だからこそ、寝る前に復習を行っておくことで忘れにくくなるというわけです。その日学んだこと、何度も間違えたものを中心に暗記をしていき、翌朝改めて振り返るということを定期的に行っていくと定着しやすくなるでしょう。
まとめ
世界史は地歴公民の中でも暗記の度合いが高く、暗記に関する本も数多く出ています。それらを駆使することも大事ですが、歴史科目の王道である、「歴史は流れで覚える」ためにも、講義形式の参考書で流れをつかんで、そのプロセスで暗記本を使って肉付けをしていく方が定着しやすくなります。そして、演習問題をたくさん解いて、解説を読み込み内容理解に努めていきましょう。