文系学生にとって、合否を左右する生命線になってくるのが社会の科目です。社会の科目は7科目あり、この中の1つないし2つを大学受験で用いることになります。
今回は社会の勉強法やそれぞれの科目の特徴、おすすめの参考書などをまとめました。
大学受験における社会とは?
大学受験における社会は、基本的に選択科目の1つとして扱われ、得意な科目をチョイスすることになります。高得点は当たり前、取りこぼしは許されないのが特徴的です。しかし、一定のレベルから完璧を目指す作業は大変で、時にマニアックな部分まで押さえないといけないことも。ただ、一般教養にもつながりやすいので、知識が抜けにくく、社会に出て役立つ機会も多いのも魅力の1つです。
科目は7種類
社会系の科目は主に7種類です。世界史、日本史、地理、現代社会、倫理、政治経済、倫理・政治経済です。現代社会は倫理や政治経済を含んだもので、7種類ではあるものの、実質5種類という見方もできます。地歴にあたるのが世界史、日本史、地理で、公民にあたるのが政治経済と倫理です。
各科目の特徴
世界史
日本以外の歴史を学ぶのが世界史です。学ぶ範囲は広く、紀元前からそれぞれの地域の歴史を学びます。範囲がかなり広く、覚えることも相当ある一方、入試で頻出するエリアもあり、要所要所を覚えていくやり方が理想的です。政治史や文化史など様々なカテゴリーでも学ぶことがあり、1つ1つ丁寧に学んでいき覚えていく、ムラのない定着が求められます。
日本史
日本史は、日本の歴史を学びます。縄文時代から現代までを学びますが、世界史同様、政治史や文化史などを学ぶことに。歴史好きの人からすれば有利に見えますが、政治史は好きでも文化史は苦手という生徒もおり、どのカテゴリーでも安定的な知識を得ることは意外に大変です。覚えることも多く、細かなところまでのケアが求められます。
地理
地理の特徴は分布図やグラフ、地図などが登場し、そこから情報を読み取り、答えていくことになります。そのため、多くの知識を駆使して答えを導き出すような姿勢が問われ、暗記だけでは難しい部分も。そして、全世界の気候などをチェックし、なぜこの地域には草が生えていないのかという問題があれば、その理由を端的に示していきます。地理は系統地理と地誌の2つに分けられ、1つ1つの積み重ねが問われます。
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現代社会
現代社会は、倫理と政治経済をセットにして行う科目です。それぞれの科目を行うため、学ぶ量はそれぞれ少なくなります。それもあってか点数が取りやすいのが特徴的で、普段からニュースを見る大人が勉強せずに共通テストを受けてまとまった点数が取れます。それだけ現代の生活と密接な関係が。ただ現代社会という科目は2022年施行の新学習指導要領で廃止され、「公共」に生まれ変わります。
倫理
倫理は文字通り倫理的な事柄を扱う科目です。思想や哲学などが登場し、暗記すべき部分も多い一方、覚えることが膨大で、問題はいくつかの知識をまとめたようなものが出やすく、ひっかけ問題をいくらでも作れるため、点数を稼ぐには正確な知識を膨大にインプットすることが求められます。
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政治経済
政治経済も文字通り政治と経済の事柄を扱う科目です。政治はニュースを興味深く見ていれば、勉強しなくても点数が取りやすいですが、経済は難しく、1つ1つの言葉を正しく覚えて、経済の動きを理解する必要があります。政治分野は得意だけど経済分野は苦手という人も出てくるため、勉強の仕方に工夫が求められるのも特徴的です。
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倫理・政治経済
倫理・政治経済は、倫理と政治経済をセットにした科目で、現代社会とほとんど変わりません。最大の違いは出題範囲と深さで、現代社会は広く浅く、倫理・政治経済は広く深くです。倫理・政治経済は倫理の全範囲と政治経済の全範囲が対象なので、現代社会よりも自然と難しくなります。そして、大学の選択科目で使えることが多く、現代社会よりもこちらを選ぶ人が多いです。
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科目選択のポイント
国公立大学の受験では地歴から1科目、公民から1科目それぞれ選ぶことになるため、興味を持って学べそうなものを選択するのが確実です。楽しそうな科目を選ぶことを心がけ、苦手そうな科目を避けるのもいいでしょう。倫理はとっつきにくいから政治経済にする、歴史を学ぶなら日本史がいいというのでもいいです。
どうしても数学や英語などに時間が割かれやすく、社会系科目は後回しにされやすいです。ゆえにいつでもやる気のスイッチが入る科目を選んでおいた方が効率的です。
【大学受験の社会勉強法】歴史編
世界史や日本史に絞った勉強のコツやおすすめの参考書をまとめました。
歴史の勉強のコツ
最初は大まかに、次第に細かく
日本史であれば、鎌倉時代までの歴史を完璧に覚えるまで次に進まないというやり方は非効率的かもしれません。時間切れに終わってしまったり、明らかに時間が足りなくて途中で切り上げるハメになったりします。基本的な部分を学んだら次の分野に進んでいくスタイルにし、演習問題でわからないことがあればその都度復習を行う方が定着がしやすいです。
歴史は線で覚えていく
歴史は地層のように積み重なって成り立ちます。1つの出来事が起きればそれをきっかけに別の出来事が誘発されるため、歴史は線で覚えていくと暗記をしなくてもすんなりと入りやすく、時代背景を理解しやすくなります。1つ1つを暗記するよりも、線で覚えて全体像をつかむようにすると答えやすくなるものです。
重要用語は正確に、漢字で
世界史や日本史では、様々な重要用語が登場します。これを暗記することになりますが、あやふやに覚えると正確に答えることができず、漢字が書けずにひらがなで書いてしまい、場合によっては正答とは扱われないことも。しっかりと正確に、漢字まで正しく覚えることは、完璧に理解しようとする気持ちにもつながるので正しくインプットし正確にアウトプットができるようにしておきましょう。
歴史のおすすめ参考書
【世界史】一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書
一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書は、年号を使わずに体系的に世界史の流れを知ることができる参考書です。歴史を苦手とする人でも図解で理解でき、柔らかい言葉で書かれているので読みやすいのも特徴です。1週間で最初から最後まで読めるので、何度も呼んで大まかな流れを完璧に覚えていくこともできます。基礎を築くのにおすすめの1冊です。
【世界史】イチから鍛える世界史
イチから鍛える世界史は、自分に合ったレベルで世界史を学んでいける参考書です。シリーズになっており、入門編や基礎編、発展編があります。それぞれで出題形式も異なるため、色々な問題形式に触れられるのも特徴です。オリジナル問題も多く、入試問題で出てきてもおかしくない、質の高い問題が目立つため、世界史の理解力を調べるのに最適な1冊です。
【日本史】一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書
一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書は、日本史を学び始めて間もない人にも理解しやすい参考書です。年号が登場しないというのが特徴的ですが、大まかに日本史全体の流れをつかむのに適しています。これだけでは不十分で、別の参考書も必要ですが、どの参考書で勉強しても理解しやすい状態にまでは持っていけるので、この参考書を叩き台にして日本史の勉強を進めていけます。
【日本史】金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本
金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本は、日本史を線で覚えていく参考書です。歴史の流れ、因果関係を図で理解していくため、単なる暗記では覚えたくない人も、線で覚えられる分、負担を軽くできます。記述問題まで対応できるため、何回も解いて精度を高めていくのが理想です。
【大学受験の理科勉強法】地理編
世界史や日本史に絞った勉強のコツやおすすめの参考書をまとめました。
地理の勉強のコツ
系統地理から手をつける
地理を勉強する際に最初に手をつけるのは「系統地理」です。系統地理は、気候や農業などテーマごとに学んでいくやり方で、「地誌」は、エリアごとに学んでいくやり方です。地形や農業は気候に左右されるなど、関連性があります。これを段階的に覚えていくことで、地誌の内容を学ぶ際、下地があるので無理に暗記しなくても自然と吸収できます。
地誌は系統地理で学んだ知識を活用して学んでいく
地誌はエリアごとに学習していきます。時に世界中の地理を学び、ある時は日本各地の地理を学ぶことになるため、これらを完全に網羅することは相当大変です。そのため、系統地理で学んだ知識をフル活用して地誌に挑むのが理想的な流れです。演習問題を解いていく中で穴が見つかれば、それを暗記で埋めていけばいいでしょう。これを繰り返すうちに段々と知識がつき、精度が高まります。
アウトプット専用の参考書を用意する
体系的に系統地理を学習し、学習した知識を駆使して地誌をクリアする、これが地理の理想的な姿ですが、同時に重要な言葉などを使いこなせるようにアウトプットを徹底することも大事なことです。「山川一問一答地理」のようにたくさんの重要用語が登場し、一問一答形式でアウトプットすることで、定着し切れていない部分をあぶり出すことにもつながります。「山川一問一答地理」はハンドブックタイプになっており、スキマ時間でアウトプットの練習が行えます。
地理のおすすめ参考書
【地理】山岡の地理B教室
山岡の地理B教室は、系統地理を網羅した参考書です。解説の部分が分かりやすく、暗記テキストという項目では暗記すべき部分がまとめられているので地理を基礎から学びたい人に最適です。暗記科目として扱っておらず、原理を知って解けるようにしており、何度も解いていけば地理の基礎力がつくことは確かでしょう。
【地理】村瀬のゼロからわかる地理B
村瀬のゼロからわかる地理Bは、系統地理と地誌でそれぞれ学べるように独立している参考書です。1冊1冊にボリュームがあるため、できる限りの範囲を網羅できます。できる限り網羅していることで、知識の抜けが少なく、難関大学で地理を利用する場合でも使えます。何度も解いていく中で地理を完璧な状態まで持っていくこともできます。
【大学受験の理科勉強法】公民編
政治経済や倫理、現代社会など公民に関する勉強のコツやおすすめの参考書をまとめました。
公民の勉強のコツ
定期テスト対策を万全に行う
英語や数学、国語と違い、社会系科目は高1や高2から受験対策を行うようなものではなく、定期テスト対策をその都度行って、知識を積み重ねていく方が効率的です。特に国公立大学を受験する場合、5教科7科目ないし8科目を受けなければならず、社会系科目に時間を使うのはできるだけ避けたいところです。
高校の授業で出てくる内容を積み重ねたものが入試試験であり、時事問題が出てくるといっても直近のものは出ません。また時事問題が出ても、これまでに培った知識で対応はできます。定期テスト対策を常に行っていけば、十分勉強量は確保できます。
得意分野・苦手分野を仕分けし苦手分野から手をつける
倫理や政治経済の中でも細かく分けていくと、得意分野や苦手分野は必ず出てきます。政治経済であれば、政治的な話題は得意だけど、経済の動きは全く分からないなんて人もいます。この場合であれば、政治分野は後回しにしてでもまずは経済分野から苦手な部分を潰していくことで点数を安定させていくことができます。
現代社会や倫理・政治経済であれば、倫理と政治経済、どちらが得意でどちらが苦手かを仕分けして、苦手な部分から攻めていくのがおすすめです。暗記科目であるのでインプットを万全にしてアウトプットまで行えればすぐに点数につながり、成功体験を得られればあとは得意分野を攻めれば安定して高得点が狙えるはずです。
新聞やネット記事を読んでわからなかった言葉を調べる
政治経済の共通テストなどは、普段からニュースを見て、新聞やネット記事を見て興味を持っていれば平均点以上の点数はとれます。マニアックな経済の動きなどで点数を落とすことはあっても、三権分立や政治の動きに関しては点数が狙えます。そのため、勉強机で勉強をする公民は倫理や経済ぐらいに絞ることも可能です。
おすすめなのは、新聞やネット記事を読んでわからなかった言葉や事柄を調べていくことです。そして、成り立ちをイチから学ぶことで他の事柄との関係を知ることもでき、より具体的に中身を把握できます。
公民のおすすめ参考書
【現代社会】蔭山のセンター現代社会 パワーアップ版
蔭山のセンター現代社会 パワーアップ版は、イチから現代社会の知識をつけていきたい人におすすめの1冊です。対話形式で進んでいくほか、文体もなじみやすいのが特徴です。最重要ワードなどの識別もわかりやすく、要所を押さえた勉強や押さえるべき範囲を網羅しているので、完璧に解き切れば共通テストでも高得点が狙えるようになります。
【現代社会】センター試験のツボ 現代社会
センター試験のツボ 現代社会は、センター試験や共通テストで高得点を狙うために作られた参考書です。現代社会の知識をつけた人が取り組むべき1冊で、9割以上の点数を狙う人に最適です。基礎固めをしていない中で取り組むには難しいため、しっかりと基礎を固めてから手をつけていくのがおすすめです。
【倫理】倫理の点数が面白いほどとれる本
倫理の点数が面白いほどとれる本は、共通テスト対策に特化した参考書です。倫理でよく出てくる思想の問題では、その思想に行き着くまでのプロセスや時代背景まで書かれており、単に暗記をするのではなく体系的に勉強できます。構成もオーソドックスで、視覚的にも見やすくなっているので、基礎固めに最適です。
【倫理】理解しやすい倫理
理解しやすい倫理は、キーワードを詳しく掘り下げていくタイプの参考書です。詳しく掘り下げるだけあって解説が詳しく、資料集や用語集と一緒に勉強していくと理解度を深めていけます。問題などもあるので、知識が本当に定着しているのかを確かめることもできるので、基礎固めをしてから取り組むとより定着しやすくなります。
【政治経済】大学受験受験スイッチが入る政治・経済基礎づくり
大学受験受験スイッチが入る政治・経済基礎づくりは、短期間で政治経済の基礎固めを行いたい人におすすめの参考書です。入試で出題されやすい重要ワードが凝縮されており、1冊がおよそ80ページと少ないため、短期集中で取り組めます。80ページと少ない分、何回でも繰り返し学んでいくこともでき、基礎固めをしやすいのも特徴的です。
【政治経済】畠山のスパッとわかる政治・経済爽快講義
畠山のスパッとわかる政治・経済爽快講義は、基礎固めから早慶レベルまでに応用できる、幅広い人に役立つ参考書です。予備校の講義のように進んでいくほか、重要な用語が板書に書かれていく感覚で載っているので要所を押さえやすいのが特徴です。情報量が膨大にあるため、これを全て網羅すれば早慶レベルに達するため、基礎固めで利用し、一気にレベルアップを図るのにも役立ちます。
【倫理・政治経済】倫理、政治・経済の点数が面白いほどとれる本
倫理、政治・経済の点数が面白いほどとれる本は、予備校の講義形式で進められる参考書です。対話形式で進んでいき、暗記ではなく1つの読み物のように読み進められるので、ひたすら暗記!という堅苦しさがありません。ページ数が400ページ以上ある一方、要所が押さえられているので独学で励む人でも十分使いこなせます。
【倫理・政治経済】畠山のスッキリわかる 倫理、政治・経済 完成講義
畠山のスッキリわかる 倫理、政治・経済 完成講義は、およそ600ページにわたって図解入りで倫理・政治経済を学んでいける1冊です。データを紹介しながら政治経済の言葉を紹介するなど、理解しやすい状態で紹介し、大事なところもわかりやすく示されています。今回紹介した2冊で基礎固めを徹底できれば、あとはアウトプットのみです。
まとめ
公民系の科目は政治経済と倫理で構成されているため、現代社会や倫理・政治経済を学ぶ人でも、別々の参考書で学ぶこともできます。ご自身にとって勉強しやすい参考書がそれぞれにあれば、2冊同時並行で進めていくのもいいでしょう。社会系科目は暗記中心と言われますが、暗記ではなくプロセスを把握して内容を理解するように学んでいけば定着もしやすいので、1つ1つ理解しながら進めていくのがおすすめです。