志望校合格に向けてギアを上げないといけないのに、いまいちやる気が出ない、分かっていても勉強する気にならない状態に陥る受験生がいます。誰しもその状態になりやすく、決して他人事ではありません。
なぜわかっていてもやる気が出ないのか、やる気のメカニズムからやる気が出ない原因、そしてやる気が出る方法などをまとめました。
受験生が勉強のやる気が出ない原因とは?
なぜやる気が出ないのか、やる気のメカニズムや原因についてまとめました。
そもそもやる気が出るメカニズムとは?
やる気のメカニズムを探る上でポイントになるのが「側坐核(そくざかく)」です。脳の真ん中あたりにある側坐核が、いわゆる「やる気スイッチ」となります。この側坐核に刺激を与えることでドーパミンが分泌され、脳の「前頭前野」を刺激します。前頭前野では、記憶や思考、集中、感情のコントロールなどに影響を与え、鍛えていくことで処理能力が高まります。
医療の現場では、側坐核が機能することで運動機能とリンクし、リハビリに好影響を与えることが明らかになっています。(参考:国立研究開発法人日本医療研究開発機構)
では側坐核にどのような刺激を与えればいいのかですが、ここで重要なのが「報酬」です。目標をクリアすることが「報酬」であり、報酬が側坐核に刺激を与え、やる気を生み出す要因となります。たとえ小さくても、達成感をできるだけ毎日得続けることで、側坐核の動きを活性化させてやる気が常に入り続ける状態が保てます。(参考:NHK)
やる気が出ない原因
側坐核の観点からやる気が出ない状況を推察すると、「正しい報酬を得ていないこと」が考えられます。例えば、「目標が大きすぎて達成感を得られていない」、「一歩一歩の成長に気づけていない」、「周囲から評価されない」、「できないことばかりを指摘される」などです。
将来のために勉強しなさい!と親に言われた場合、少なくともその言葉、状況に報酬を見出す要素はありません。もっと頑張れ!などと言われても、認められていない気分になり、やはり側坐核を刺激するような報酬にはなり得ません。そのように考えると、やる気の出し方がなんとなく見えてくるはずです。
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勉強のやる気が出ない受験生がやる気を出す方法
側坐核の存在がやる気に影響を与えることがわかりました。ここからはやる気が出ない受験生がいかにやる気を出すか、その方法をご紹介します。
偉人の名言を見てモチベーションを高める
やる気スイッチが入るケースとして、偉人の名言を知って感銘を受けるケースがあります。偉人の名言を知り、モチベーションを高める方法は十分に有効的です。ここで勉強のやる気を誘発する偉人の名言をご紹介します。
エジソンの名言
発明王と呼ばれたエジソンにはこんな名言があります。「私たちの最大の弱点は諦めることにある。成功するのに最も確実な方法は、常にもう一回だけ試してみることだ。」
エジソンは発明王と呼ばれるまでに数えきれない失敗をしてきました。しかし、エジソンからすればそれは失敗ではなく、チャレンジでした。チャレンジせずに諦めるのではなく、もう1回だけチャレンジしてみる姿勢。1回やってみて諦めるのではなく、もう1回やってみることが大切なのです。
ピカソの名言
独創的な絵を描き続けてきたピカソには、このような名言がありました。「行動がすべての成功への基本的な鍵である。」
エジソンの名言と意味は似ており、行動を起こすことが成功を導くために必要なことであり、それなしには始まらないというわけです。ピカソは90歳を過ぎても絵を描き続け、亡くなったときにはまだたくさんの作品が手元に残されていました。90歳を過ぎてもなお行動を起こし続けてきたピカソならではの名言です。
マイケルジョーダンの名言
バスケットボールプレイヤーとして世界的に活躍したマイケルジョーダンはこのような発言をしています。「仕事をするからこそ報われるんだ。人生にショートカットなどない。」
バスケ選手として一時代を築いたマイケルジョーダンですが、一度バスケ選手を引退して野球のメジャーリーグへの挑戦を行っていたことは有名です。マイナーリーグでも結果を出せず、周りは揶揄する一方。しかし、マイケルジョーダンは10歳以上若い後輩と一緒に長距離バスに揺られながら遠征し、必死に努力します。メジャーリーグへの昇格はなりませんでしたが、着実に成長を見せたことで、酷評していた専門家を驚かせたのです。
自分で自分を褒める
自分という存在を一番信じてくれるのは誰か、皆さんはご存じですか?親でも兄弟でも友人でも恋人でもありません。それは自分自身です。自分自身が自分のことを信じられないとすれば、それ以上誰が自分を信じてくれるのでしょうか。自分で自分を褒めることで、自身を認めることができ、前向きな考え方となり、「脳にとっての正しい報酬」を得られるでしょう。
また無理に褒めようとせず、「勉強をこれだけやった!」とか「参考書を1冊解き切った!」というのを事実として受け止めるだけで達成感につながり、正しい報酬を得られ、やる気につながります。
ご褒美を用意する
これまで「正しい報酬=達成感」でご紹介してきましたが、やる気を出す方法としてご褒美を用意する方法があります。例えば、演習問題でいい点を出せたら好きなアイスが食べられるというようなご褒美の設定をすることで、実際にクリアした際に側坐核に刺激を与えることができ、やる気に結びつきます。その日1日の目標を設定して、終わったら自由時間みたいなものでもいいでしょう。
客観的な事実を積み重ねる
達成感を得るためには、事実を見つめて確かな実績があることを示す必要があります。例えば、模試で最高得点だった、ケアレスミスがゼロだった場合、それらは紛れもない事実であり、周囲は達成できていない可能性もあるでしょう。周りはできていないのに自分はできてるからすごいんだ、他の人に比べて頑張れているんだと気づけると、やる気が出やすくなるはずです。
ライバルを見つけて常に並走する
受験は人との戦いではなく己との戦いであり、やるべきことを積み重ねていくことで合格に近づきます。しかし、やる気を出す観点から考えるとライバルを見つけ、ぴったりと並走し続けることが大切です。楽に勝てる相手や到底歯が立たない相手を目の前にすると、やる気が出ないものですが、頑張れば勝てるという気になると自然とやる気が出ます。勝つか負けるか五分五分ぐらいの相手をライバルに設定して、競っていければやる気が出やすい状態が続きやすくなるはずです。
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音楽を聴く
やる気が出ない時におすすめなのが音楽を聴くことです。好きな音楽を聴くことで、テンションが上がって脳は興奮を覚えます。この時、ドーパミンが分泌されて前頭前野に刺激を与えます。カナダのマギル大学では、好きな音楽を聴いてもらってMRI検査をしたところ、盛り上がりに応じてドーパミンが多く分泌されているという研究結果が出ています。(参考:マギル大学)
やる気が出ないという時、ここぞのタイミングで音楽を聴くことでテンションを高めていくことはかなり有用と言えるでしょう。
コーヒーを飲む
コンビニでは様々な種類のコーヒーが出ており、以前と比べて選択肢が増えています。寝ないようにコーヒーを飲む受験生が多いかもしれませんが、これとは別に、コーヒーがやる気を引き出すことが指摘されています。
ドーパミンが側坐核に刺激を与えてやる気を引き出すことをご紹介してきましたが、実はコーヒーに含まれるカフェインが側坐核に刺激を与えてやる気を高めることが明らかになっています。砂糖やミルクがたくさん入っていてもカフェインを吸収できる割合は変化しません。どうもコーヒーは苦くて苦手という人も、甘いコーヒーなどを飲んでやる気を高めていきましょう。
適度に運動を行う
スウェーデンにあるヨンショーピング大学では、若い成人を対象に2分から1時間の範囲で有酸素運動を行わせました。すると、学習能力が高まったことが明らかになったのです。中でも、2分だけ運動をすることで集中力が向上し、2時間程度持続すると指摘しています。(参考:CNN)
運動をすることでドーパミンが出るため、その影響も考えられますが、たった2分の運動だけでやる気が出るのであれば、リフレッシュ感覚で外を走る、ご飯を食べた後に散歩をするのもいいかもしれません。
瞑想をする
メンタルケアなどをする際に近年話題を集めるのが「瞑想」です。心を無にして呼吸を行い続けるだけでストレスなどが軽減され、精神も安定します。やる気が低下するのは、考え事が多く何から手を付けていいかわからない状態で起きるため、瞑想によっていったん無にして、心を落ち着けてから手を付けることで、やるべきことをクリアに考えられるようになります。1日5分程度でもよく、最初は呼吸をすることだけを考えると簡単に行えます。
ドーパミンを増やす食べ物を食べる
ドーパミンを分泌することでやる気が高まっていくわけですから、ドーパミンを増やす食べ物を食べることで手っ取り早く増やしてしまうのも1つの手です。ドーパミンはチロミンというアミノ酸を原料としているため、それを多く含む乳製品、特にチーズがおすすめです。あとは大豆を含む食べ物にも含まれているので、豆腐や枝豆などを食べるのもいいでしょう。
まとめ
ドーパミンは行動を起こすことで分泌されるため、まずはアクションを起こすだけでやる気はおのずと出てきます。ただ、その一歩が踏み出せない時に今回紹介したテクニックをやってみると、最初のアシストをしてくれるはずです。あとは一生懸命勉強するだけで、気が付いたら流れに乗って勉強が捗ることでしょう。やる気スイッチをいくつも手にして勉強に励める、これだけでも心理的に大きいです。