大学受験や定期テスト対策など、しっかりと結果を残すには勉強計画を確実にこなしていく必要があります。同時に確かな勉強計画を立てておくことも大切です。
今回は勉強計画を立てる前にやるべきことや計画の立て方や流れ、理想的な勉強計画、万が一計画通りに行かなかった場合の対処法などをまとめました。
勉強計画を立てる前にやっておくべきこと
勉強計画を立てる前に何をやっておくべきか、計画立案の前段階にやるべきことをまとめました。
自分の現状を把握する
目標をクリアするために必要なことを洗い出して、目標に向かってやるべきことをやっていく、それが勉強計画です。ですので、目標を設定する前に、自分の今の立ち位置を把握しておかなければなりません。現状を把握していないと、勉強計画をこなしているはずなのに成果が出ないことも想定されます。確実に結果に結びつけるためにも現状把握は重要です。
ゴールを設定する
現状の把握を行ったら次にすべきことはゴールの設定です。定期テストであれば特定の教科で80点以上をとる、大学受験であれば志望校合格など、現状から十分狙えるゴールの設定を行います。この時、できるだけ実現の可能性があるゴールを設定し、明らかに難しそうなゴールの場合は、勉強計画とゴールまでの道のりで無理が生じないか、第三者に判断してもらうのもおすすめです。
勉強計画を立てるメリットを理解する
勉強計画を立てることにはいくつかのメリットがあり、それを理解しておくとやる気の維持につながります。ここからは勉強計画を立てるメリットについてご紹介します。
達成までの時間や労力が定まりやすい
現在地から最終的なゴールに向けて、何をすればたどり着くのか、たどり着くにはどれくらいの労力をかけるべきなのか、これを形として示すのが勉強計画です。もし計画を立てる際に、あれも足りない、これも足りない、時間はもっと足りないとなれば、ゴールの見直しが必要です。計画を立てることで、やるべきことが明確になり、達成するための時間や労力を定めやすくなります。
自分の勉強のペースを調整しやすくなる
勉強計画を立てることで、何をどれだけやればいいのか、1日単位でどれだけこなせばいいのかがはっきりとします。その中で、自分がこれまでに行ってきた勉強のペースというものがあります。そのペースとこなすべき勉強量にどれだけの差があるのかを確認するのも大事なことです。今までのやり方ではダメだという危機意識にもつながる一方、今までのことをやり続ければ大丈夫という自信にもなります。
周囲へ示すことができる
例えば大学受験において、偏差値が50前後ながら国立大学を目指すと宣言したとします。本当に大丈夫なの?と誰しもが疑問に思い、せっかくの宣言に疑いの目を向けます。そこで、勉強計画を立てて、説得力のある計画を示すことができれば、本気度を感じ取り、周囲もサポートするはずです。特に親が大学受験の支援をする場合には、勉強計画が確かであれば力強くアシストをするようになります。
勉強計画の立て方のポイント
勉強計画を立てる上で準備すべきこと、メリットをご紹介しましたが、ここでは勉強計画の立て方に関するポイントをまとめました。
勉強量で計画を立てる
ありがちな勉強計画として、毎日2時間勉強するなど時間を軸にした勉強計画が存在していました。しかし、時間を軸にすると、無意味な勉強をただ2時間こなせばその日1日の計画は達成したことになります。勉強計画は意味のあるものでなければならず、「何をどれだけ学ぶのか」を軸にするべきです。
例えば、1冊の参考書を1か月で解き終わる計画を立てる場合、どれくらいのペースが必要なのかをチェックし、1章ごとにするか、ページでまとめるのかを決めていきます。これを複数の教科で行って、スケジュールを立てていくと勉強計画が自然と出来上がります。
必ず復習の時間を設ける
エビングハウスの忘却曲線では、学んだ直後からすぐに忘れていく様が表現され、定期的な復習を行うことで段々と忘れにくくなり、定着していく様子が見て取れます。復習の時間をがっつりととる必要はなく、1時間程度確保できれば十分です。昨日学んだこと、1週間前に学んだことと段階を踏んでいくと、知識が定着しやすくなります。その方法は演習問題など色々ありますが、やりやすいやり方で復習しましょう。
小目標を作っておく
人間のやる気は、目標の達成などで高まるようになっています。裏を返せば、達成感がない状態が続くとやる気を維持するのは大変です。志望校合格を大目標とし、小さな目標を設定していくことで段階を踏んだレベルアップとやる気の維持につながります。
目標設定を1日単位にすれば、例えば暗記を1章分行う、演習問題を10ページ分解くというのでいいですし、1週単位にするならば確認テストで満点など期間ごとに目標を設定していきます。それを常に達成できれば、大目標の達成の可能性は高まるでしょう。
予備日を含めた計画にする
勉強計画で気を付けるべきことは、100%のパワーを連日続けなければこなせない計画だと、必ず破綻してしまう点です。1日や2日ぐらいなら100%のパワーでこなしていくことはできるでしょう。しかし、それを1か月、2か月と続けるのはほぼ無理です。ですので、予備日を設定しながら計画を立てて、もしうまくいかなければ予備日を使って調整する感じで計画を立てましょう。すると、無理のない計画になりやすいです。
まずは1週間の計画を立てて実践してみる
勉強計画としてどれくらいの期間を費やすかは、目標までの道のり、現状とゴールの差などで変わります。1年単位という人もいるはずです。裏を返せば、数か月先の計画を立てるのは難しく、そもそも最初に立てた勉強計画が無謀であることも想定されます。そこでまず1週間の計画を立てて実践することをおすすめします。手ごたえがあればそのまま進めればいいですし、無謀な計画であれば改良の余地があるので変更できます。
一度走り出したら止まらないというのは柔軟性に欠けるので、最初にパイロット版を作り、それを踏まえた本格的な勉強計画を完成させていきましょう。
勉強計画を立てる流れ
どのように勉強計画を立てていけばいいのか、その流れについて解説していきます。
ステップ❶使用する参考書を決める
目標達成のために、現状こなせそうな参考書から段階的に参考書の難易度を上げていくことが求められます。基礎中の基礎、中学レベルから戻って1つ1つ積み重ねていき、最終的に早慶上智を狙う学生が利用すべき参考書まで高めていく計画であれば、その間に何冊必要なのか、1冊の参考書でで何周すべきかなど決めていきます。
ステップ❷年間の計画を立てる
次にやるべきは、年間の計画を立てていくことです。入試日はだいたい決まっているので、「この時期までにはこのレベルにいたい」という目安を設定します。これがないと細かな計画は立てにくく、狂いが生じやすくなります。
ステップ❸模試などのチェックポイントを踏まえて区間ごとの計画を立てる
受験生であれば必ず受けるべき模試。勉強計画を駅伝に例えると模試は中継地点です。この中継地点でどの位置にいたいか、これを示してから計画を立ててみましょう。1つの予備校の模試しか受けない場合、「中継地点」はマーク式、記述式の模試を受けた場合、1~2か月のペースになります。それぞれの模試では試験範囲が定まっているのでそれを想定した計画を立てるのもいいでしょう。
ステップ❹予備日を踏まえた計画を立てる
予備日の設定は人それぞれになりますが、2週間に1日程度の予備日を設けておきたいところです。計画の進行状況を取り戻すために数日かかる計画はうまくいっているとは言い難いですが、1日程度であればちょっとした誤差の積み重ねなので、修正は可能です。その予備日は、例えば休日であったり、学校の登校日の中では負担が軽い日などを選びましょう。
ステップ❺毎日の計画を立てる
ここまでくると、あとは毎日の計画を立てるのみです。勉強量を踏まえて何時間の勉強が必要か、睡眠時間はどれだけ確保すべきか、自由時間の設定時間など、最終的な計画がこれで完成します。
理想的な1日の勉強計画の例
平日
6時30分:起床
学校に行く場合には登校の準備などもあるため、余裕があれば昨日行った暗記の復習を行っていくようにしましょう。
7時:朝食
脳の唯一のエネルギーであるブドウ糖は睡眠の間にも消費されています。しっかりと朝食を食べ、ブドウ糖の補給をしましょう。
8時:登校
学校によっては朝読書などを行う時間がありますが、この時間にちょっとした勉強を行って、その日にやる授業の予習、暗記などをするのもいいでしょう。
9時~16時:学校での授業
学校の時間割はしっかり計算されたものなので、浪人生の場合は50分授業を想定し、50分の勉強と10分の休憩、間に1時間の昼休みを想定したスケジュールを立てるのもいいでしょう。
17時:帰宅
家に帰るまでの道中でスキマ時間があれば、そのスキマ時間でできる勉強を行っていきましょう。
17時30分~19時:自宅学習パート1
この時間帯は空腹の時間帯であるため、空腹時に、記憶力が高まりやすいグレリンが分泌されやすいことから、暗記科目を中心とした学習をするのがおすすめです。
19時~21時:夕食など
自宅学習がこの後に控えているため、満腹まで食べないことやこの時間までにスマホの使用を終えることなどを心がけましょう。
21時~23時30分:自宅学習パート2
夕食から時間が経っていて、血糖値も安定して眠気も落ち着いたタイミングで演習問題などを解いていくのがおすすめです。
23時30分:暗記と復習
寝る前の暗記が定着しやすいこと、今日1日学習したことの復習をやるには寝る前がちょうどいいことなどから、暗記と復習は寝る直前に行うのがいいでしょう。
0時:就寝
寝ている間も脳が動いて記憶の整理を行います。理想は7時間半、9時間ですが、少なくとも6時間の睡眠時間を確保すればよく、6時半起床であれば遅くとも0時に布団に入り、0時半までに寝られる状態が望ましいです。
土日
6時30分:起床
学生によっては遅い時間に起きようとする人もいますが、遅くても7時までに起きて、生活リズムをできるだけ変えないようにするのが理想です。
7時:朝食
ご家族にとっても土日は休みで、まだ寝ている人もいます。無理に起こさず、ブドウ糖をしっかりと補給できるようにしてもらうのもいいでしょう。
8時~10時:自宅学習パート1
朝は脳がクリアな状態です。この時間帯に演習問題などの難しい問題を解いていくのがおすすめです。
10時~10時30分:休憩
若干の眠気やブドウ糖の消費など、疲れが出始めるタイミングです。ここで栄養補給とリフレッシュを行っておくのがいいでしょう。
10時30分~12時:自宅学習パート2
昼食までのお腹が空きやすい時間帯なので、グレリンが出やすく、暗記問題や英単語の勉強などをやっていくのが理想的です。
12時~13時:昼食
ここでしっかりと食べて昼からの勉強に備えましょう。ただし、あまりにもたくさん食べ過ぎると眠くなりがちです。食べる量には注意しましょう。
13時~14時:自宅学習パート3
眠気との戦いになりやすいので、この時間は大好きな科目に関する勉強をするのがいいでしょう。
14時~14時15分:昼寝
15分程度の昼寝は眠気だけを取り除き、認知能力や注意力アップにもつながるため、多くの学校や企業で取り入れられています。アラームをかけて15分で起きられるようにしておきましょう。
14時15分~19時:自宅学習パート4
この間に適宜休憩などを入れ、過去問など集中的に解きたいものを取り組んでいくのがいいでしょう。
19時~21時:夕食など
平日と変わらない部分であり、平日と過ごし方をできるだけ変えないのが理想的です。
21時~0時:自宅学習パート5
今日学んだことが多いので多めに復習の時間を設けたり、その日できたこと、できなかったことを振り返るほか、翌日に学校がある場合にはその準備をしておくのもいいでしょう。
0時:就寝
次の日が休みの日だとついつい遅くまで起きがちですが、生活リズムを変えると他の計画に狂いが生じるので起床と就寝は一定にするように心がけましょう。
計画通りにいかない場合の対処法は?
せっかく立てた計画がうまくいかない、こんな時に何をすればいいのか、対処法をご紹介します。
予備日を設定して巻き返す
これまで何度もご紹介してきた、予備日を使って巻き返して計画通りに戻すのが確実です。この場合の予備日は、ダイエットにおけるチートデイ、つまり何をしてもいい日です。チートデイでは食事制限をしてきた人が好きなものをたらふく食べられるように、映画を見たりゲームをしたり、自由に使える1日を設定することで、それがモチベーションになります。
予備日を遅れを取り戻すために消費したくないのであれば、毎日計画通りに勉強をこなすべきであり、いわば「アメとムチ」の意味合いがあります。
ロスタイムを調べる
勉強の計画を立てたのにうまくいかない場合は、その多くがロスタイムが生じているケースです。スマホを触り始めた、布団に横になった、リビングでくつろいだなど、細かなロスタイムをまとまると結構な時間になりがちです。このロスタイムをどれだけ絞れば計画通りに戻せるのか、この部分に意識を向けると計画通りに進めやすくなるはずです。
優先順位をつけて削っていく
勉強時間をやたらと増やして取り戻そうとしても、勉強効率が落ちたり、睡眠時間に手を付けたりして余計に悪影響を生じさせる可能性も考えられます。これでは元も子もありません。そこで勉強計画の中で優先順位をつけて、削るならこの教科のこの勉強を削ると決めておくと、万が一の時にそれらを削って必要最低限な勉強だけを行って巻き返すことが可能です。できるだけこの状態にならないよう、最初から余裕のある計画を立てたいところです。
勉強計画を立てられるおすすめのアプリ3選
世の中はイノベーションでとても便利になりました。最近では勉強計画を立てられるアプリがありますので、3つのアプリをご紹介します。
Study Plus
「Study Plus」は、勉強の習慣化に役立つアプリです。勉強時間を記録するほか、SNSにシェアできるため、同じ難易度の大学を目指す受験生がどれくらい勉強しているのかをチェックでき、修正するのに役立ちます。
勉強時間管理
「勉強時間管理」は、計画通りの勉強を行っていくのに欠かせないアプリです。スケジュールを立てた場合にはそのスケジュールを「勉強時間管理」に入力して、タイマー機能を活用して知らせていきます。常に時間を意識でき、無駄な時間を減らすのにも効果的です。
a TimeLogger
「a TimeLogger」は、勉強時間など1つ1つの行動に関する時間を記録できるアプリです。睡眠の時間から勉強時間、食事の時間などありとあらゆる時間を記録できます。長い期間にわたって集計できるほか、ロスタイムを計測する際にも役立ちます。無駄な時間を可視化したい場合におすすめです。
まとめ
断続的に勉強を行うのではなく、休憩や昼寝などをはさみながら行っていくと、学校よりも効率的に勉強できることもあります。学校で昼寝を取り入れているところは増えましたが、まだ取り入れていないようなところだと昼寝を挟みにくく、授業中にウトウトしてしまうことも。その一方、時間管理として学校の時間割は活用しやすいので、50分プラス10分の休憩を1セットにした勉強計画の立て方もおすすめです。