昔は深夜ラジオを聴きながら勉強に励んでいた人も多く、夜型タイプの学生も少なくありませんでした。しかし、時代は令和となり、朝早くから仕事に取り組む「朝活」が流行りだすと、朝早くに起きて勉強をする学生も出始めました。
果たして勉強に効率的なのは朝なのか、それとも夜なのか。また朝と夜での勉強の使い分け、朝勉強のデメリット、眠い時の対処法などをまとめました。
勉強に効率的なのは朝?夜?
勉強に効率的なのは朝か夜か、それぞれのメリットについてご紹介します。
朝勉強のメリット
リフレッシュされており吸収しやすい
人間は朝目覚めた時が一番脳がリフレッシュされていると言われています。起床後3時間まではいわゆる「ゴールデンタイム」と呼ばれ、学んだことが吸収しやすいのだとか。脳がリセットされてまっさらな状態から勉強を行えるので、効率よく学習を行うことができます。
確実に予定を立てやすい
朝勉強のいいところは、予定を確実に立てやすい点です。寝坊をしない限り、自分で起きる時間をコントロールでき、誰かに邪魔される可能性は少ないため、やりたいことがやれます。夜勉強だと友人からの誘いなどが入りやすいですが、朝勉強はその可能性が低いので、集中して勉強しやすい時間帯となります。
体内時計を調整しやすい
人間の体内時計は1日「25時間」で設定されていると言われており、太陽光を浴びることでセロトニンと呼ばれる脳内物質が作られ、体内時計がリセットされます。これをしないとどんどん体内時計はずれ込みます。早い段階で目覚め、太陽光を浴びればその時間を軸に体内時計が動き始めます。すると、規則正しい生活を維持しやすく、勉強の質を高めます。
夜勉強のメリット
周りが静かで集中できる
夜勉強のメリットとして、周りが静かで集中できることが挙げられます。深夜にもなると家族は眠り、せいぜい猫の鳴き声や屋根を叩く雨の音ぐらいしか聞こえなくなります。集中して取り組みやすく、雑音に集中力を邪魔されることもありません。夜勉強を行う上での一番のメリットと言えそうです。
達成感を得やすい
深夜に勉強をしていると、周囲が寝ている中で自分は勉強をしていることから、人が寝ている間に自分は一生懸命頑張っていると達成感を得やすいのが1つのメリットとして考えられます。やれることはやったという意識につながりやすく、ここまでのことをやったのだから大丈夫という自信につながります。
記憶が定着しやすい
記憶の定着は主に寝ている時に行われますが、定着しやすいのは寝る直前に仕入れた情報とされています。つまり、寝る前に勉強をした内容が記憶として定着しやすいため、それが夜勉強のメリットと言えるでしょう。
朝と夜の勉強の使い分け方
朝は思考力が必要な勉強を
朝に勉強する効果として、締め切り効果が期待できます。時間の制約がある分、制限時間を設けやすく、その中で一生懸命勉強をしようとします。締め切り効果が期待できる時に行うべきなのは思考力を必要とした勉強です。制限時間がある中で考えて問題を解くことで、時間を意識した勉強が行えます。
夜には暗記が必要な勉強を
夜は暗記科目を中心とした勉強がおすすめです。寝てる間に記憶の整理を行い、定着させることができます。寝る前に学んだことが、朝目覚めた時に確認して定着していれば暗記がうまくいった証拠です。また朝は思考力が必要な勉強をするので、それに必要な予備知識を練る前に学んでおき、朝起きて予備知識がちゃんと定着していくか調べる際にも利用できます。
頭を冴えさせる朝勉強、頭を冴えさせない夜勉強を
頭の回転が早い時は考えることも冴えわたり、思考系問題を解くのに適した状態と言えます。そのため、朝勉強の後に学校を控えている場合には頭を冴えさせるような朝勉強をすると、1限目から他のクラスメイトが眠そうにしている中、スタートダッシュが決められます。一方で夜に頭が冴えるような勉強をすると眠りにつきにくくなります。出来る限り頭の回転を要さない勉強が望ましいでしょう。
朝・夜の勉強でおすすめの科目【受験生必見】
朝と夜、それぞれでおすすめの科目があるので、ご紹介します。
朝の勉強におすすめの科目
朝の勉強に関しては頭の回転がつくような科目がいいため、例えば数学の計算問題、演習問題が適しています。理系科目全般は思考力のほかにも、パッとひらめくような力も必要になるので朝の勉強にはもってこいです。昨日の寝る直前に学んだ暗記の内容を踏まえて取り組んでいくのもいいでしょう。いずれにしても、朝の起きたてが色んな問題に取り組みやすいので、演習問題全般にチャレンジするのもいいかもしれません。
夜の勉強におすすめの科目
夜の勉強に関しては、睡眠をしっかりとることを想定しないといけないので、頭の回転を早めてテンションが上がってしまうような勉強は避けたいところです。朝の勉強とは違って思考力を最大限使わなくても済むものがよく、科目でいえば英語、国語なら古文などがよく、この時間に英単語、古文単語などの暗記もいいでしょう。また、翌朝に数学の演習問題を解くことを想定し、前日に公式など基礎的な勉強を行って仕込んでおくのもおすすめです。効率の良い暗記方法や暗記の効率を上げる方法を徹底解説!
朝勉強って効果なしって本当?朝勉強のデメリットとは?
効果があるとされる朝勉強ですが、中には朝勉強に効果なしと主張する人も。ではどのようなデメリットがあるのかを解説します。
朝が苦手な人には苦痛でしかない
人によっては朝起きるのが苦手というケースがあります。低血圧で起きられないケースなど、様々な理由で朝が苦手な人がいます。その状態で朝勉強がいいからと無理に起きようとすれば、毎朝起きるのが苦痛になります。勉強のために頑張ろうとするもそれが苦痛になり、勉強に嫌気が差してしまうとなれば最悪です。朝が苦手な人は無理に朝勉強をしない方がいいでしょう。
自律神経のバランスが崩れてしまうと起立性調節障害を誘発する恐れがあります。起立性調節障害は、自律神経に異常が発生し、立ち上がる時に血圧が低下し、心拍数の調節に時間を要することがあります。学生に多いとされ、ホルモンバランスが変わってきた時期に発生しやすいと言われています。ストレスなども影響する場合があるので、朝起きられない場合は学校に行くことだけを考えて予定を立てていくのがいいでしょう。(参考:済生会)
昼寝をしないと釣り合わない
朝勉強をするとなると早めに起きる必要があります。理想的な睡眠時間は7~8時間、もし午前6時に目覚めるとすれば夜10~11時に寝なければならず、自由時間がかなり限られるでしょう。最低でも6時間の睡眠が必要だとしても午前0時には寝ないといけません。それは嫌だとばかりに、午前1時、2時まで起きていると、睡眠時間を削らざるを得なくなります。最初のうちは日常生活に支障は出ませんが、段々と昼間に眠気が強くなり、昼寝をしないと釣り合わない状況になるでしょう。
学校で昼寝をするのは難しく、寝られたとしても5分か10分ぐらいのものです。これだと眠気を解消するには足りず、終始強い眠気に襲われ続けるでしょう。もし朝勉強をする場合は、睡眠時間を削らないことが大切です。
無理をすれば体調を崩す
睡眠時間を削り、無理に朝起き続けようとすると体への負担は相当なものになります。睡眠不足によって認知機能が低下し、記憶力や思考力が悪化します。気分も落ち込みやすくなるほか、ホルモンバランスを崩すことも考えられます。免疫力が低下し、風邪をひきやすくなることも想定されるため、無理に朝勉強を続けるのは得策ではありません。
朝勉強で眠い場合の対処法
朝勉強で大変なのは眠気との戦い。もし朝勉強で眠い場合にどんな対処法があるのか、ご紹介します。
冷たい水で顔を洗う
眠い場合におすすめなのが、冷たい水で顔を洗うことです。かなり暑い夏場でも水風呂などに入れば、強い刺激を感じるように、冷たい水で顔を洗うことで、手や顔が刺激され、神経が興奮状態になります。眠い状態は自律神経がリラックスした状態なので、そこから興奮状態に切り替えてあげることで眠気を吹き飛ばすことができます。
先に食事を済ませ、歯磨きを行い、洗顔で刺激を与えてから勉強に臨むような流れがいいでしょう。学校などでウトウトしている生徒に対し先生が、「顔を洗ってこい!」と注意する場面がありますが、とても理にかなったアドバイスであり、普段から少々眠気を感じた場合に実行していくといいでしょう。
ラジオ体操を行う
小学生の時、夏休みは決まって朝、町内会のラジオ体操に参加しなければならず、毎日ハンコをもらっていた人も多いのではないでしょうか。ラジオ体操は全身を動かす運動であり、企業によってはお昼休み明けにラジオ体操を行うことで血糖値が上がりにくく、眠気を防ぐことができ、作業効率を下げずに済むとのこと。激しい運動をやりすぎても疲れが生じて眠気をむしろ誘発しかねませんが、ラジオ体操程度の負荷が眠気を飛ばすにはちょうどいいでしょう。
ラジオ体操はNHKラジオで毎日朝6時30分から40分、10分間放送されます。6時30分といえば「朝勉強のゴールデンタイム」であり、眠気が出てくるかもしれない時間帯でもあります。いったん勉強の手を止めてラジオ体操を行っていくと、眠気が取れて確実に目が覚めるはずです。
制服に着替える
朝勉強の際に眠くて、あまりの眠気についつい負けて寝てしまう人がいるでしょう。その場合に考えられるのは、パジャマやスウェットなど寝てるときと同じ服装で朝勉強をしているケースです。いわばいつでも布団の中に入れるような状態なので、なかなか切り替わらない可能性が考えられます。ですので、学生であれば早々に制服に着替えるのがいいでしょう。制服に着替えてしまうと、シワになってしまうので布団の中に入るわけにはいかなくなります。服装を変えることで勉強モードに切り替えることができます。
朝勉強は何時からやると良い?
朝が一番頭の回転がいいことは明らかですが、では、起きて間もない時間が一番頭の回転がいいかとなればそれは別です。起床して間もない時間は覚醒しきっておらず、パソコンで言えばスイッチをつけて立ち上がるまでの時間と思っていただければ結構です。そのため、起きてからだいたい30分ぐらいは軽くご飯を食べたり、運動をしたりしてウォーミングアップをするのがいいでしょう。
理想としては家を出る2時間前に起きるのがよく、例えば7時半に出る場合であれば朝5時半に起き、30分様子を見て朝6時に勉強をスタートさせるのがいいでしょう。1時間勉強を行い、30分で身支度を済ませて家を出るのが理想的です。早めに起きることはメリットがたくさんあり、万が一公共交通機関のトラブルが起きれば早めに家を出ることもできます。もし学校に早く着けばそこで勉強を行う、電車のホームで待たされるときは暗記にシフトするなど、色々な手が使えます。
まとめ
朝勉強がいいか夜勉強がいいか、どちらが合っているかは人それぞれです。特に体調を崩しやすい人は無理にどちらもこなすようなことはせず、どちらかに絞るのがおすすめです。朝勉強も夜勉強もこなすとなると、睡眠時間を削らざるを得なくなります。
自分なりのスタイルがあるので、夜にいっぱい勉強し朝はしっかりと寝るか、夜早めに寝て朝早めに起きて勉強をするか、実際にやってみて決めるのもいいでしょう。できれば習慣にするのがよく、コロコロと変えるのではなく、中長期的に続けていくのがおすすめです。朝勉強、夜勉強それぞれにメリットがあるので、そのメリットで判断をするのがいいかもしれません。