勉強を行うことで、やりたいことを実現させたり、夢をかなえたりすることができます。そのため、夢や目標を持つ人は一生懸命勉強をすることを決して苦痛とは感じません。しかし、中には勉強が嫌い、1分たりとも勉強なんかしたくないと思っている人もいます。
そもそもなぜ勉強嫌いになってしまうのか、その理由や原因、きっかけ、勉強嫌いになるとどんな苦労が待っているのか、子供を勉強嫌いにさせてしまう親の共通点などをまとめました。
勉強を好きか嫌いかは環境によって決まる
基本的に勉強が好きか嫌いかという考え方は生まれつきのものではありません。勉強の好き嫌いに関しては周りの環境などに左右され、段々と好き嫌いが形成されていきます。例えば同じ兄弟でも、兄はめちゃくちゃ勉強ができるのに弟は勉強が大嫌いというケースがあります。同じ家庭にいるのであれば同じように育ちそうなものですが、兄ばかりに注目する、弟には関心がないなど、ちょっとしたことの積み重ねが勉強の好き嫌いにつながることがあります。
ですので、勉強の好き嫌いは本人の意思で自然と決まったものではなく、たいていの場合、周辺の環境によって決まるものです。
勉強嫌いの理由・原因とは?
勉強が嫌いになってしまう理由や原因としてどんなことが考えられるのか、想定される複数のケースをご紹介します。
学んでいることがわからない
勉強嫌いになるケースでよくあるのは、学習内容がわからないケースです。わからないからつまらないという感覚になり、勉強をする意欲がどんどん減っていき、わからないことを放置する状態に陥ります。この状態になると、わからないことを親や教師に咎められ、余計にやる気がなくなるという負のスパイラルに突入しやすく、余計に勉強嫌いになっていきます。
細かいことを指摘される
2ちゃんねるの生みの親であるひろゆきさんは、勉強嫌いの原因として、細かくてどうでもいいことを指摘されることで勉強嫌いになると指摘します。例に挙げていたのは漢字の書き順。書き順が違うと、漢字は合っているのにバツにされてしまう、これでは勉強嫌いになってしまうと語ります。(参考:ダイヤモンドオンライン)
自由に遊べない
小学生の時から習い事をたくさんやっている友達がいたかもしれません。学校が終わってからピアノをやらせて水泳をやらせて塾に通わせてとやっていくと、子供が友達と遊ぶ時間が少なくなります。習い事をさせていないにしても、宿題などをしなければ遊べない環境となると、勉強に対して嫌気が差してしまうのは仕方のないことです。自由に遊べなくなるから勉強が嫌いという人は多いでしょう。
勉強をする意味が理解できない
何かを教わること自体が嫌な人はおそらくいないでしょう。大好きなゲームのこと、マンガのこと、好きな異性のことなど、情報を仕入れる、人に教わる場合、その題材に興味関心、必要性があれば真剣に耳を傾けます。勉強が嫌いな場合、学問を学ぶ、教わることに意味を見出せず、なぜ勉強をしないといけないのか、その理由が理解できないケースが考えられます。必要性を感じないものに時間を割くのは苦痛です。
親から叱られる
勉強が嫌いになるケースでありがちなのは、親から叱られて勉強が嫌いになるケースです。こんなものもわからないのか!と頭ごなしに怒られると誰しも嫌な気持ちになります。子供の時だと、小学生レベルの問題は親からすれば楽勝に解け、なぜ解けないのか理解できないと言わんばかり。それでついつい怒ってしまうのですが、これで勉強をする気が失われ、嫌いになってしまうので注意が必要です。
勉強嫌いになってしまうきっかけとは?
勉強がきらいになってしまうきっかけは意外と転がっています。そのきっかけについてまとめました。
兄弟姉妹や親戚との比較
兄弟や姉妹がいる場合、「お兄ちゃんは東大に行けるぐらいの偏差値なのに、あんたはなんで赤点ばっかり取るの?」とか、「お姉ちゃんはまた学年1位をとったのに、同じ血を引いてるのになんで下から数えた方が早いの?」など比較をされることがあります。おじいちゃんおばあちゃんに会いに行った時、あそこの親戚の子はこんな大学に行ったけど、お前はどうなの?と言われたらどんな気持ちになるでしょうか?もちろん、それで気合が入る人もいますが、ほとんどの子供は勉強が嫌になるはずです。
苦手科目での躓き
英語だと文法の簡単なところで躓き、それから先のことは何をやってもわからない、理解できないため、勉強をする気が失せることにつながりやすいです。勉強をしないことには苦手は克服できない、だけど、全然理解できない、それならやらない方がいいやと段々と勉強が嫌いになっていきます。
親からの過剰な注意
勉強がトラウマになる人は、勉強に関してかなり怒られたり、悲しい思いをしたりした人が多いです。赤点をとって正座させられる、平均点以下の点数をとって長時間罵声を浴びるなど嫌な思いをした結果、余計にやりたくなくなる人が出てきます。勉強は本来前向きなことなのに、後ろ向きなイメージしか与えられないような注意のされ方を経験すると勉強嫌いになりやすいです。親としては正しいことを伝えているつもりなのですが、正しければ何を言ってもいいわけではありません。
勉強嫌いな子どもは将来苦労するのか
勉強嫌いな子どもの傾向として、楽をしてお金を儲けたい、楽をして夢をつかみたいなど苦労をしないで何かを得たい気持ちが強い人が多いです。しかし、苦労をしないとお金は得られず、夢もつかめません。また苦労をしてもお金も夢もつかめないケースがあるぐらいなので、楽をしてお金を儲ける、夢をつかむなんて絵空事です。
また自分が求める環境は自分で作り出さなければなりませんが、勉強嫌いな人はそれができません。「勉強は誰かに教わるもの」という認識で止まっており、自発的に勉強する意識がないのです。つい他人のせいにしてしまい、自分が悪いという認識になりにくいのも考えられます。様々な観点から鑑みて、勉強嫌いな状態では、遅かれ早かれ苦労をすることになります。そして、向上心を抱きにくい大人になってしまうでしょう。
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勉強嫌いな子どもの親の共通点とは
勉強嫌いな子どもにさせてしまった親にはどんな共通点があるのか、解説します。
勉強をしなさいと命令もしくは強制する
「いつまで遊んでるの!勉強しなさい!」と言われ、「今やるところだったの!」と子どもが逆ギレするという光景は日本全国で見られます。こうした現象を「心理的リアクタンス」と呼びます。人間は自分の意思で決めたいのに、あれやこれやと言われて自由が奪われると、反発をしたくなるという心理的な現象です。勉強しかさせない!という親の態度だと、子どもは反発します。(参考:UXTIMES)
東大など高学歴の人ほど、子供のころ、勉強しなさいと言われたことがないと昔を振り返ります。勉強しなさい!と命令したり強制したりする時点で、勉強嫌いにさせようと教育しているようなものです。
なぜ勉強をしないといけないかの説明が不十分
分数を学ぶ際、なぜ分数を勉強しないといけないの?と尋ねられた時、ちゃんとしている方であれば様々な具体例を出し、これを知らないと日常生活で支障が出やすいと説明します。学ぶ意味を理解することでモチベーションを下げずに済みます。ところが、勉強嫌いな子どもの親は、「とにかくやりなさい!」、「すべこべ言わずにやれ!」などなぜ勉強をしないといけないのかの説明をせず、命令、強制を行います。人生において何が必要なの?と尋ねられても、「そういうものだ!やれ!」で片づけるでしょう。勉強嫌いな子どもになるのも必然です。
親自身が勉強をしていない
子どもは親の背中を見て育ちます。親が一生懸命仕事をしたり、勉強をしたりしていれば子どもは、自分も頑張ろう、自分も親みたいになりたいと思うはずです。ところが、口では勉強しろと言ってる親が、休みの日は常にゴロゴロ、勉強をするそぶりもないと、頑張ろうという意識にはなりにくいです。そして子どもには厳しいことを言うくせに、自分には甘いなんてことをすれば、勉強嫌いにもなるでしょうし、自分に甘い人間になってしまうでしょう。
子どもの勉強嫌いを克服するために親ができること
子どもの勉強嫌いはどのように克服すればいいのか、親ができることをまとめました。
命令や強制以外のアプローチを行う
「勉強しなさい!」はまず禁句とし、勉強を促すようなアプローチはしないのが一番です。心理的リアクタンスで紹介したように、自分の進む道は自分で決めたい、それが人間です。勉強をしないといけないと自発的に思わせるアプローチを仕掛ければ、自然と勉強を率先して行うようになります。また、「今日はどれだけ勉強するの?」と尋ねていくのもおすすめで、あとは「勉強時間が少ない!」などのダメ出しを出さないようにしましょう。
勉強したらまずは褒める
勉強嫌いの場合、とにかく最初のうちは褒めていくのがおすすめです。5分でも勉強すれば褒めてあげて、いいところをどんどん見つけていきます。これができた、あれができたとなれば、その都度褒めます。人間は褒められるとドーパミンが分泌され、それがプラスに働きます。結果が出るまではできるだけ褒める、その中で実績を重ねて自信がついてくれば、しめたものです。
親も向上心を持って新しいことに取り組む
例えば、ボクシングで世界的に大活躍している井上尚弥選手。尚弥選手の父・真吾さんもまたアマチュアのボクサーとして試合に出ていました。トレーニングをする真吾さんを見て尚弥選手が興味を持ち、一緒にトレーニングをするようになります。子どもの目の前で資格勉強に励むなど、一生懸命勉強をする姿勢を見せると、子どもは勉強に取り組むようになるはずです。勉強中のイライラの5大原因とその対処法!予防法も解説
勉強が嫌いすぎる人が勉強嫌いを克服する方法
勉強がとにかく嫌い人が勉強嫌いを克服するにはどんなことがあるのか、年齢別でその方法をまとめました。
小学生
小学生の場合はとにかく褒めて、ご褒美をあげるのが確実です。習い事でも、レッスンが終わった後にアイスを買い与えることで、アイスのために頑張れるようになります。小学生の時に大事なことはルーティンを確立させて習慣化すること。そのためには褒めることを重視し、勉強は楽しいと思わせることが大切です。そして、ゲームやマンガなど熱中するものがあれば、それを大切にし、好奇心を持たせ続けておくことも将来的に役立ちます。
中学生
中学生のケースは、思春期を迎えているため、下手に褒めるとバカにされたと受け取られることが考えられます。中学時代は1人の人間として認められたい気持ちが強いため、とにかく子どもを尊重する姿勢をもちましょう。また出来る限り勉強をチェックして、分からないことがあれば一緒に考えてあげるのもおすすめです。中学レベルになると親自身もついていけなくなりますが、興味を持ち、同じ目線で見守ってあげて努力を誉めていけば自然とモチベーションが高まります。
高校生
高校生になると勉強嫌いが定着している状態ですが、なぜ勉強が嫌いなのか、その洗い出しを冷静に行えるはずです。成功体験がない場合には、その日勉強した知識で理解できる演習問題を出して、やればできる!という体験を重ねていくことで勉強嫌いを徐々に克服できます。いきなり本格的なことをやらせてもすぐにはできませんが、成功体験を重ねていくと次第にやる気が高まり、自分で取り組もうという姿勢につながります。
高校生の場合、頑張ることの大切さを伝え、将来の目標や仕事でお金を稼ぐときなど、頑張る必要性を教え、それを鍛えるには勉強が一番であると教えつつ、先ほどのやり方でアプローチをしていけば高校生からでも勉強嫌いは克服できます。
大学生
大学生で勉強嫌いな場合は、どんな職業に就きたいかを想像するのが一番です。実は勉強嫌いな人は、就活の際に、入ることができればどこでもいいやと思いがちです。夢が明確にあってこの業界で働きたいというものがあれば、自発的に就活対策を立てて内定を目指すことができます。勉強嫌いな人はとにかく就活をやらされ、親からごちゃごちゃ言われたくないからと活動する感じです。勉強と就活は似ており、勉強嫌いは就活嫌いにもなります。
何を学びたいかを大学生に説くよりも、どんな会社に入りたいのか、夢や起業の意思はあるのかをチェックして、それに向かって動いてもらった方が勉強嫌いの要素は薄くなるでしょう。
社会人
社会人でも、資格勉強などで勉強を余儀なくされるケースがあり、例えば不動産業界であれば宅建の取得を会社から指示されることも考えられます。この場合、資格手当をもらうために頑張るという、一見すると下心ありありな理由でもいいので、勉強に取り組みましょう。習慣化すれば、なぜ勉強をしないといけないのかという疑問を抱きにくくなります。会社によっては、業務に関係する資格をゲットすれば資格手当、お祝い金などが出るケースも。これを利用し、取得してからご褒美を考えておくと習慣化まで苦労はしにくいでしょう。
まとめ
勉強嫌いの理由のほとんどは、親からの命令や強制によるものです。なんでこんなこともできないのか!とか、こんな問題が解けないなんて情けない!とか、親に言われたら誰しもショックを受けます。反骨精神を期待して言ってしまう親御さんもいますが、万が一失敗した時は悲惨です。勉強に興味は持つものの、プレッシャーを与えず、「どう?順調?」ぐらいにとどめ、ここがわからないと言われれば一緒に考えてあげる、この姿勢だけでも勉強嫌いは回避できます。