勉強をしていく中で、ついつい眠くなってしまうことがあります。学校でも、休み時間は元気なのに授業に入るとウトウト。いったいなぜ人は勉強に眠くなってしまうのでしょうか。
勉強中に眠くなる理由、眠気のメカニズム、そして日常生活で行える眠気を回避する方法などをまとめました。
勉強中に眠くなるのはなぜ?
勉強中に眠くなってしまうのはいったいなぜなのか、メカニズムやその理由をまとめました。
眠気のメカニズムとは?
睡眠物質と体内時計、この2つが眠気をコントロールすると言われています。睡眠物質であるアデノシンなどが脳内で満ちていくと、脳の中では「寝なければならない」というモードに切り替わります。一方、体内時計が眠気を覚ます信号を発します。たとえ睡眠物質がたまっていたとしても、体内時計が活発に活動している時期であれば、眠気は抑制されます。(参考:ハフィントンポスト)
あれだけ眠気が強かったのに一定の時間が過ぎると弱まり、今度は寝たいのに眠れないことがあります。さっきまでは睡眠物質と体内時計ががっちり噛みあっていたのに、その時間帯を逸し、体内時計が活動的な状態に突入してしまったことが要因となっています。
勉強中に眠くなる理由
糖質を必要以上に摂取している
ご飯を食べた後、急に眠くなることがあります。お腹がいっぱいだから眠くなるということではなく、ご飯を食べて血糖値が急上昇し、それを抑えるためにインスリンが分泌されるますが、急激に上がり過ぎて一気にインスリンを投入する際に血糖値がドカンと下がるため、そのタイミングで眠気が生じます。ですので、昼食を食べて眠くなる人もいれば眠くならない人もいます。炭水化物を多く摂取すると眠気が生じやすくなるのです。
部屋の中の二酸化炭素濃度が濃い
勉強をしていてついつい眠くなるのは決して怠けているわけではありません。実は二酸化炭素の濃度が濃いことで眠くなりやすいという研究結果が出ています。ずっと勉強をしていて窓も閉め切った環境だと二酸化炭素の濃度は上がりがちです。大事な授業、会議の際に眠くなるのも、閉め切った部屋に多くの人がいるため、二酸化炭素の濃度が濃くなっていることが原因かもしれません。
睡眠不足
やはり一番考えられるのは睡眠不足です。夜まで勉強をする際に寝る時間を惜しんでしまい、ついつい深夜まで勉強をする人がいます。そして、学校は普通にあるので睡眠時間を犠牲にしてしまうことで、本来必要な睡眠時間に達しておらず、少しでも不足した睡眠時間を回収しようと体が反応するのです。
理想の睡眠時間は8時間とされ、午前6時に起床するとすれば午後10時には寝ないといけません。夜10時近くまで塾で授業を受けている学生がたくさんいるわけですから、学生はほとんど理想の睡眠時間を確保できていないことになります。
勉強中の眠気を飛ばす方法10選
勉強中の眠気を飛ばす方法がいくつもあるので、ご紹介します。
方法①コーヒーを飲む
一番ありがちなやり方はコーヒーを飲むことです。カフェインを摂取することで眠気を飛ばすほか、コーヒーの香りで気持ちがリフレッシュされます。糖質を気にする人は微糖や無糖、ブラックなどにして、カフェインを摂取することに重きを置くこともいいでしょう。
方法②冷たい水で顔を洗う
冷たい水で顔を洗うことにより、手と顔が冷たさで刺激されます。交感神経が刺激されるため、身体がリラックス状態から緊張状態に切り替わるため、眠気が飛びやすくなります。眠気がある状況は副交感神経が優位に立っており、いわゆるリラックス状態にあるため、これを切り替えることができます。
方法③ストレッチを行う
血行が悪いと自律神経のバランスを崩してしまい、それが眠気につながりやすくなると言われています。そこで定期的にストレッチを行って血行を良くしていくのがおすすめです。ストレッチといっても肩を回るなどの軽いストレッチで十分で、激しいものは体力を使うだけなのでおすすめしません。
方法④目覚ましアプリを活用する
少しだけ寝たい、だけど、ついつい長く寝てしまうという人におすすめなのが目覚ましアプリの活用です。アプリによっては緊急事態を知らせるような音が鳴るため、本人はもちろん、周囲までびっくりすることも。中にはスマホを手にして歩き回らないと止まらないのもあるため、ちゃんと目覚めたい時の必需品としてもいいでしょう。
方法⑤会話をする
ドライブをしている最中に助手席でウトウトした経験を持つ方は多いのではないでしょうか。なぜウトウトするかといえば、聞き役に徹して受け身になるからと言われています。会話のキャッチボールをしたり、場を盛り上げたりしようとすると緊張状態になるため、ウトウトしにくいのです。眠い場合は誰かと会話を行っていき、覚醒させていきましょう。
方法⑥ガムを噛む
噛むという行為は覚醒効果を高める方法として知られています。効率的に噛むためにおすすめなのがガムです。これならリフレッシュにもなりますし、カロリーを気にせず、空腹をごまかすこともできます。これにミントガムなどを食べれば、眠気を飛ばす様子が複数加わるため、より眠気を飛ばしやすくなるでしょう。
方法⑦換気を行いつつ、外に出て深呼吸をする
二酸化炭素が増加することで眠気が生じやすくなることは研究で明らかにされています。大気中の二酸化炭素濃度は350ppmですが、部屋の中で換気をしないと1,000ppmを超え、2,000、3,000と増えていきます。研究では2,500ppmを超えるとパフォーマンスが落ちると言われています。そのため、定期的に換気を行い、たまに外に出て深呼吸をしてリフレッシュしましょう。(参考:年金友の会)
方法⑧仮眠をとる
眠気を飛ばすために寝るというのは本末転倒な感じがするかもしれませんが、この場合は本格的に寝るのではなく、一時的に寝て眠気を飛ばします。たった15分の昼寝で眠気を飛ばすことが可能です。これ以上寝てしまうと本格的な睡眠モードに入るため、途中で起きてボーッとした時間が続き、元に戻るのに時間がかかります。アラームを設定し15分寝るだけであれだけ強かった眠気がどこかに行きます。
方法⑨眠気を飛ばすツボを押す
体中にあるツボを押すことで眠気を飛ばすことができます。例えば、中指の爪の付け根の右側に「中衝(ちゅうしょう)」というツボがあります。痛気持ちいい程度に30秒ほど押すと眠気が飛ぶと言われています。こうしたツボは手や足など様々な箇所にあり、TPOに応じて押すことができます。
方法⑩カフェイン剤を飲む
ドラッグストアではカフェイン剤が販売されています。文字通りカフェインが錠剤になっているもので、比較的安い値段で購入できます。コーヒーが飲めない人におすすめで、1回につき1錠ないし2錠を飲むだけでコーヒー数杯分のカフェインを摂取できます。エナジードリンクが苦手な人にとって手っ取り早くカフェインを摂取できるアイテムです。
勉強中の眠気を飛ばす方法を小・中・高・社会人に分けて解説
眠気の飛ばし方は年代によって様々です。小学生から社会人までの眠気の飛ばし方をご紹介します。
社会人
社会人の場合は、エナジードリンクやコーヒーなどを用法用量を守りつつ、服用し、仮眠などを適宜行うことで眠気を飛ばしていくのが理想的です。学生と違ってカフェインの影響はそこまで受けないため、適量を守っていれば問題はないでしょう。ただ、疲労を段々と感じやすくなるのも事実なので、徹夜続きで仕事に臨むと回復までに時間はかかるため、無理に眠気を飛ばし疲労がたまっていく状態は避けたいところです。
高校生
国によって高校生にエナジードリンクの販売を規制する国があるように、できるだけカフェインを使わない形での眠気の飛ばし方が理想です。休み時間に冷たい水で顔を洗うことや、目薬を差していくことなどもいいでしょうし、休み時間に仮眠をしておくこともありでしょう。コーヒー自体は飲んでもいいですが、1日1本程度にとどめましょう。
中学生
成長期にある中学生において、カフェインを使った眠気飛ばしは避けるべきです。最近ではハーブ系、柑橘系の香りを嗅ぐことで眠気を覚ますことができると言われており、これならカフェインの心配もありません。冷たい水で顔を洗うなどして、できるだけ負担をかけない形での方法をおすすめします。
小学生
中学受験を行う小学生の場合、他の小学生よりも睡眠時間が削られやすく、また親が睡眠時間の管理をしがちなため、眠気を見せようものなら叱り飛ばす人もいるでしょう。とはいえ、いくら若いといっても成長期にあるため、眠そうなら寝させるのが一番です。また夜ではなく朝に勉強を行い、早寝早起きを心がけるのも1つのやり方です。全日本コーヒー協会では、「10歳以下の子どもにコーヒーを飲ませるのは避けた方がよい」とアドバイスしているため、カフェインを使って眠気を覚ますことはやめましょう。勉強嫌いの原因とは?勉強嫌いになるきっかけや克服する方法も解説
勉強中に眠くならないために日常生活の中でできること
眠気を飛ばす方法に頼らずとも、眠気をできる限り感じないような方法としてどんなものがあるのかをまとめました。
質のいい睡眠をとること
真っ先にやるべきことは、質のいい睡眠をとることです。例えば寝る直前にスマホを見る、熱いお風呂に入る、激しい運動をするなどは体にとってよくありません。また夜食も寝ている間に胃を動かすことになるため、避けるべきです。寝る2時間前にはお風呂に入り、食事はだいぶ前に済ませ、スマホなどを見ないで寝ることで質のいい睡眠がとれます。
朝起きたら日光を浴びる
眠気を抑えるには体内時計をリセットする必要があります。体内時計は人によって個人差があるものの、24~25時間の中に収まっている人がほとんどのようです。リセットしないと段々とリズムが狂い、寝たい時に寝られない、起きていたい時に眠い状態になります。これを防ぐには、朝起きたらすぐに日光を浴び、眠気を誘発するメラトニンという成分を抑えることができ、体内時計もリセットされます。太陽光を浴びて目覚めるのが理想的です。(参考:dヘルスケア)
朝食はバナナヨーグルトを食べる
人間は寝ている間もブドウ糖を消費し続けるため、朝目覚めた段階では既に脳のエネルギーは不足気味です。朝食を抜こうものならエネルギー切れの脳で勉強などをしなければならず、眠気も感じやすいでしょう。できれば和食を食べるのが理想的ですが、なかなか本格的な和食を朝から食べるのは大変です。そこでバナナにヨーグルトをかけて食べるバナナヨーグルトを毎朝食べるのがおすすめです。糖質を補給でき、ビタミンや乳酸菌なども摂取でき、作るのも簡単なので負担になりません。
鉄分を摂取する
どれだけ対策を立てていても、鉄分が不足することで眠くなりやすいと言われています。鉄分が不足することで酸素を届ける役割をする存在が少なくなり、貧血のような状態になります。鉄分は摂取して効果が出るのに数時間はかかると言われているため、眠気を感じてからサプリメントなどを摂取しても遅いです。日ごろから鉄分を豊富に含んだ食べ物を食べる、もしくは眠くなる時間を見越して数時間前にサプリメントで服用するなどの対策がおすすめです。
マスクにミントの香りをつける
新型コロナウイルスの影響で1日ずっとマスクをつけることがほとんどになっています。そこでおすすめなのが、マスクにミントの香りがするリキッドを染み込ませることです。これを毎日続けることで、常に爽やかな気持ちで、ミントの刺激で眠気も飛ばします。花粉症の人でも鼻の通りが良くなったと言われるほど刺激が強めなものもあり、快適に日常を過ごすのに最適なアイテムです。
勉強中の眠気対策でやらないほうが良いこと
色々な眠気対策をご紹介しましたが、中には加減を注意しないと危険なこともあります。できるだけ避けるべきことをまとめました。
カフェイン剤を飲み続ける
カフェイン剤は確かに眠気を飛ばすには効果的で、コーヒーをがぶ飲みするわけではないため、そこまで胃を荒らさずに済みます。しかし、1回分でコーヒー数杯分のカフェインがあるため、絶対に寝ないぞ!という意思で何錠も飲んでしまい、カフェイン中毒になってしまう可能性があります。最悪死に至るまで用法用量を正しく守る必要があるのと同時に、依存性もあるため、カフェイン剤を飲むのは最終手段にとどめるのがいいでしょう。
エナジードリンクに頼る
エナジードリンクもカフェイン剤と同じくカフェインの摂り過ぎに注意です。厚生労働省では、健康な成人で1日あたり400mgまで、妊婦などは300mgまでとされています。エナジードリンクの中には1杯で上限ギリギリに到達するものもあります。これを何倍も飲むとカフェイン中毒になってしまいます。そもそもカフェインに頼って常に眠気を飛ばしている状態はあまり健全とは言えず、抜本的な対策の見直しが求められます。
体を傷つけることは避ける
足ツボなど眠気を飛ばすためにツボを押すのも1つのやり方ですが、むやみやたらに力を入れることで体を傷つけてしまうことがあります。特に頭部や首回りなどは注意が必要です。また身体をつねって眠気を飛ばそうとするやり方も、効果はあるでしょうが体を傷つけていることに変わりはありません。非常手段として泣く泣くやるにしても、加減は大切ですし、できるだけ傷つけるようなことはしない方がいいでしょう。
勉強中に眠くなるのはストレスに対する拒否反応の場合も
血糖値や睡眠不足など様々な観点から勉強中に眠くなることをご紹介してきましたが、受験勉強などで強いストレスを感じ、ストレスから守るために回避行動の1つとして眠くなるケースも考えられます。この場合、本人はストレスが原因であると感じることは難しいため、ストレス以外の対策を立てようとします。しかし実際はストレスが原因であることも考えられるため、様々な対策を立てて改善しない場合にはストレス解消を模索していくのがいいかもしれません。
まとめ
昼間に感じる眠気は、マジメに取り組んでいる人でも感じるものであり、決して怠けているわけではありません。そのため、無理に眠気を飛ばすよりかは一杯のコーヒーを飲む、少しだけ仮眠をとるといった自然な対策で十分です。時に徹夜をしないといけない場面も出てくるでしょうが、頻繁にやらず、非常事態で行い、そのあとには規則正しい生活に戻す努力が必要です。理想は8時間睡眠、最低でも6時間は寝ることを心掛け、途中で軽く仮眠をとるなどして過ごしていきましょう。