最近になって重要性が高まってきたリスニング。授業でもあの手この手でリスニングに対する興味を持たせようとしますが、いかんせんリスニングの勉強をどのようにしていけばいいのか、よくわからない学生が多いのが実情です。
今回は高校生が英語リスニングの勉強を行う際にどのようにしていけばいいのか、リスニングの勉強法やおすすめの参考書、得意分野にするコツなどをまとめました。
高校生の英語リスニングの勉強法をレベル別に解説
英語のリスニングはレベルに応じて勉強法を変える必要があります。ここでは初心者、中級者、上級者に分けて解説します。
初心者
初心者が最初に取り組むべきことは、英語の正しい発音を覚えることです。カタカナ英語と実際の英語は全く異なり、正しい発音を覚えていないと違う単語として捉え、何を言っているのか全く分からない状態に陥ってしまいます。英単語を覚える際にも普段から発音を意識して覚えることが大事であり、文章を音読する際にも発音に気を付けていきましょう。それだけでリスニングに取り組み始める際に、ある程度練習を重ねるだけで聞き取りやすくなっていきます。聞きなれない音は単なる雑音として認識されますが、馴染みのある音になれば、意味のある言葉になります。
そして、最初のうちは英語の文章を読み、内容をある程度理解してからリスニングを行うことで、内容を把握している分、聞き取りがうまくいくようになります。少しずつ段階を経て理解度を深めていく、これが初心者レベルで必要なことであり、効率的な勉強法です。
中級者
中級者になると、ある程度のリスニングであればなんとか聞き取ることができます。あとはスピードアップした時に聞き取れるかどうか、長めの文章を集中力を切らさずに聞き取れるかなど、よりレベルアップをするために必要なことにチャレンジする必要があります。とはいえ、語彙力が不足しており、いわゆる「意味理解」にまだ成長の余地がある場合もあるので、語彙力は常に高めておくことが大切です。
外資系企業で働き、ビジネス英語の研修会社を設立している浅場眞紀子さんは、「隅から隅まで聞き取れている状態」を目指すべきだと主張します。単語だけを認識するのではなく、構文で認識していくことが大事だと浅羽さんは語ります。ディクテーションが効果的な学習方法であると示しており、書きとった文章が文法的に正しいのかを知ることで、弱点が分かるようになるのだとか。リスニングの弱点を知り、それを克服することが中級者卒業の条件と言えるでしょう。(参考:アルク)
上級者
上級者になると、ネイティブスピーカーの普段の会話をしっかりと理解できるか、ネイティブ同士のトークを聞き取れるかどうかがポイントになります。日本人向けに作られたリスニングの参考書などはネイティブではない人に向けられたもので、一定のレベルを経験するとそれだけでは不十分になります。このため、参考書で勉強することがいい勉強法とは一概に言えず、それ以外の音源で学んでいくことも検討しないといけません。
例えば英語のニュースやインタビュー、ドラマなどの音源を活用し、聞き取っていきます。最初は短い動画などで聞き取りを行い、シャドーイングも一緒に行って聞き取る力をつけていくとネイティブ同士のやり取りが段々とわかるようになります。スクリプトがあればそれを読み込んでからシャドーイングを行うなど、地道に行っていけばおのずとリスニング力がつくものです。
高校生の英語リスニング勉強におすすめの参考書・教材
高校生の英語リスニング勉強でどんな参考書が役に立つのか、レベルごとにご紹介します。
初心者
英語耳
「英語耳」は、初心者が最初に取り組むべき参考書です。登場する英単語が簡単で、速度も遅く、発音の基礎からやる時にこれ以上ない教材です。発音の方法から説明し、CDの後に続けて発音していくことで発音とは何かが理解できます。発音が分かれば、聞こえてくる言葉も「雑音」ではなくなるため、リスニングの基礎を叩きこむのにおすすめの1冊です。
キクタン
「キクタン」は、リズミカルに単語を学んでいける参考書です。付属のCDにはリズミカルに単語が流れるので、印象に残りやすく、口ずさんでいくことで自然と体の中に入っていきます。リスニング教材ではないものの、単語を学びつつリスニング力を高めたい時におすすめで、キクタンシリーズの中でも一番易しいものから始めていくと、より力がつきやすくなるでしょう。
中級者
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関正生の大学入試プラチナルール
「関正生の大学入試プラチナルール」は、独学でも勉強できるよう、シャドーイングのやり方をわかりやすく書いている参考書です。1カ月で学習できるようプランを立てられるようになっており、自分のペースで学習が行えます。共通テストで高得点を狙えるような仕様になっており、解説がとても詳しいため、注意点などが明確なのも魅力的です。
共通テスト英語〔リスニング〕 満点のコツ
「共通テスト英語〔リスニング〕 満点のコツ」は、文字通り共通テストで満点を狙うために作られた参考書です。著者がまとめた25か条のルールが紹介されており、これらをすべて守ることで共通テストで高得点が狙える形になっています。リスニングテストに挑む際の心構えなどが書かれているため、点数を確保したい時に取り組むべき1冊です。
上級者
キムタツの東大英語リスニングSUPER
「キムタツの東大英語リスニングSUPER」は、大学入試の中でもレベルがとびぬけている東大リスニングの対策が行える参考書です。スピードが速いことに加え、本番を想定してリスニング音源に雑音が入り混じるのも特徴的です。難易度の高い大学で行われるリスニングで高得点を狙いたい人は必ず持っておくべき1冊であり、何周もすることで自信にもなります。
鉄緑会 東大英語リスニング
「鉄緑会 東大英語リスニング」は、毎年数多くの東大合格者を出している鉄緑会が手掛けたリスニングの参考書です。読み上げるナレーションはインド英語や北欧英語など様々であるため、しっかりと聞き取る練習になります。東大を目指す人が使うべきというよりは、あくまでもリスニング力アップのために使うべき1冊であり、東大を狙う人は、キムタツの東大英語リスニングSUPERなどとセットで利用することをおすすめします。
高校生が英語リスニングを得意分野にするためのコツ
楽しくリスニングが行える環境を作る
リスニング対策の中には海外ドラマや映画などが有効であるとされていますが、これは英語のスクリプトで答え合わせが行えるほか、日本語版で内容を知ってからリスニングに取り組めることも関係しています。身構えてリスニング対策をするというよりも、リラックスしながら息抜き感覚でリスニングに取り組める点も大きいです。ガツガツと勉強机でリスニング対策を行い、寝る前にhuluやNetflix、Amazonプライムなどで海外ドラマを見ながらリスニング対策をすることで、上達するごとに理解度が深まる分、楽しく取り組めるようになります。
基礎の基礎から積み重ねていく
1つの小さな躓きがやがて大きな障壁になるのが勉強でよくある姿であり、これが苦手意識につながっていきます。特にリスニングは最初に躓きやすく、難しいと感じるポイントが多いため、最初が肝心なのです。そのため、得意分野までもっていくには、高校生であっても中学生が取り組むリスニング対策から始めるのも1つのやり方となります。例えば、「スーパーステップ 中学英語リスニング」では、中学リスニングを網羅し、58ステップでトレーニングが行えます。リスニングの基礎の基礎から固めていき、しっかりと取り組めばリスニングは簡単であると思えるようになれば完璧です。
ゲーム感覚で取り組む
皆さんには得意分野の教科があると思います。まるでゲームに取り組むかのように数学式を解いたり、謎解きをするように英語長文を解いたりする感覚を持つ人もいるはずです。得意分野の教科を勉強するというのは、まさにゲームのように取り組めるものなのです。リスニングもゲーム感覚で取り組めるようになるのが一番です。この後紹介するリスニングアプリは、ゲーム感覚で取り組めるものも多く、楽しみながらリスニング対策ができます。
【大学受験のための英語勉強法】おすすめの参考書もレベルごとに解説
高校生のリスニングの試験対策
リスニングの試験対策はどのようなことをすればいいのか、解説します。
定期テスト
定期テストでリスニングが出てくる場合、それを作っているのは英語教師であることが多く、その内容も教科書に準じたものである可能性が高いです。その場合はテスト範囲に出てくる英文を音読するなど、内容を頭の中に叩き込むのが確実です。すると、ある程度聞けばだいたい何のことを言っているのかがわかるので、それに関連した答えを出していけばいいわけです。そして、テスト範囲に出てきた単語や構文はしっかりと学び、同じ文章を何度も音読し、何度も聞くのがいいでしょう。
共通テスト
共通テストの場合、ベースになるのがリーディングの勉強で、単語や文法、長文読解などの勉強をしっかりと行う必要があります。リスニングは、読み解く力がないと何を言っているかがわからず、瞬時に理解することができません。文章で読んでも理解できないのに、聞いてわかるはずがないからです。そして、リスニングならではの表現がよく出てくるため、これを知っておくことも必要になるでしょう。あとは共通テスト対策の参考書を使って、追い込みをかけましょう。
私立一般入試・国立二次試験
私立でリスニングを使う大学はそれなりにあり、国立二次試験でもリスニングを用いるところがあります。この場合、最初に過去問で傾向をつかむのがおすすめです。おおよその難易度や傾向などをつかみ、それに沿った対策を立てていけば対応することは可能です。もちろん自分が受験する年になって急に変わることもありますが、これは特定の大学の過去問を解くだけでなく、複数の大学の過去問を解いて、一定の出来を目指すやり方を行えば対応できます。リスニングは毎日でも練習を行い、シャドーイングやディクテーションをできる限りこなしていくことで、耳が英語に対応します。東大リスニングなど、難しいリスニングにも挑戦していき、力をつけていきましょう。
高校生の英語リスニングの勉強におすすめのアプリ5選
英語の友
「英語の友」は、旺文社が発行した英語本の音声を網羅したアプリです。旺文社は英検対策本に定評があり、関連書籍も根強い人気を誇ります。対応書籍一覧を見ると、「英検でる順パス単」シリーズや、「TOEIC L&Rテスト 壁越えトレーニング シリーズ」、「はじめてのTOEFLテスト完全対策」、「2022年受験用 大学入学共通テスト 英語[リスニング]」シリーズなど、英語全般を網羅していることがおわかりでしょう。
英語の友で行えるのは、スマホで再生してリスニングが簡単に行えることのほか、「英語の友プレミアム」という毎月課金制のサービスを利用すると、リスニング練習には欠かせないシャドーイングやディクテーションも行えるようになります。英語学習をするのに欠かせないアプリであることは間違いなく、英語のリスニングでもかなりの効果を発揮します。
スタディサプリENGLISH
「スタディサプリENGLISH」は、リスニング力をはじめとする英語力アップにつながるアプリです。英語学習で挫折しやすいポイントを分析して作られており、初心者の人でも続けやすく、92%の人が継続するというデータも出ています。1回3分から取り組むことができ、スキマ時間を有効に活用できます。シャドーイングやディクテーションも行えるほか、正しいイントネーションでシャドーイングができているかなどもチェックできます。
月額3000円ほどするため、高校生からすると結構な出費ですが、リスニング力や英語力を高めるためであると同時に、英語系の塾に通うよりも安く済むため、経済的と言えるでしょう。とても使いやすく分かりやすい分、高校生にはぴったりなアプリと言えるでしょう。
英語リスニング
「英語リスニング」は、1分ほどのニュースをリスニングできるアプリです。ニュースは毎日更新され、英文と日本語訳が出てくるほか、倍速にしたり、速度を半分に落としたり、何度もリピートさせたりと色々な使い方が行えて、リスニングやシャドーイングも行えます。1分程度なので、スキマ時間でもすぐに利用できるので通学中にもおすすめです。
高校生にとって魅力的なのは、これだけの高機能なサービスがたくさんありながら完全無料である点です。課金の必要がなく、様々な機能を最初からフルで活用できるのが魅力的です。アプリのレビューの評価が非常に高く、リスニング対策をしたい人はぜひともダウンロードしておきたいアプリと言えるでしょう。
ディクトレ
「ディクトレ」はリスニング対策では欠かせないディクテーションに特化したアプリです。これは「英語リスニング無料学習館」というページをアプリにまとめたもので、例えば「元お医者さんとの英会話」というタイトルであれば、それぞれの人物の英文を聞き取り、入力していきます。再生速度は0.5倍、標準、1.5倍とあり、何度も再生できます。そのあとに原稿をチェックしますが、何が聞き取れて、何が聞き取れなかったかがしっかりわかるのが特徴的です。
ディクトレも完全無料となっており、ディクテーション練習をしたい人におすすめです。シャドーイング練習ができるアプリは多いですが、ディクテーション練習ができるアプリはさほど多くないため、完全無料で利用できるのは高校生からすると重宝されます。
POLYGLOTS
「POLYGLOTS」は、1人1人の好みに合わせてリスニングのメニューが変わるアプリです。AIを活用し、英語スキル、重点スキル、1日の学習時間から、自分自身の学習カリキュラムを作りだしてくれます。これを3カ月続けることでTOEICのスコアに換算して200点ほど英語力がアップするなど、かなりの期待を集めます。ニュースでリスニングが行えるほか、会話表現に関するリスニング、AIによる発音のチェックなど多岐にわたります。
日常英会話レベルの英語力から始めたい人は月額480円で始めることができます。自分に合った学習カリキュラムをAIが作り出してくれるので、学習計画を立てるのが苦手な人から重宝されるアプリとなっています。
まとめ
リスニングこそ一夜漬けが非常に難しい分野であり、単語をしっかりと叩き込み、聞き取る練習をすればするほど、理解力がついていきます。そのような意味では勉強のし甲斐のある分野とも言えるでしょう。とにかく毎日リスニングの練習は行い、継続できるかどうか、ここがポイントです。