語彙力を高めるために必要とされるのが漢字の知識です。テストでは現代文において漢字の書き取り問題がある程度で、点数に大きな影響を与えないように見え、軽視する人もいますが、本当に軽視していいものなのでしょうか。
今回は高校生にとって漢字の勉強は必要なのかどうか、勉強すべき理由、覚えるメリット、漢字学習に関する参考書などをまとめました。
高校生に漢字の勉強は必要か?
高校生にとって漢字の勉強は必要なのかどうか。その答えはイエスです。漢字を学ばないといけない理由をまとめました。
高校生が漢字を学習しなければならない理由
漢字の問題が合否を左右することがある
入試における漢字の問題に与えられる点数は全体の1割程度です。ここを完璧にするぐらいなら残りの9割に力を入れた方がいいと考えがちです。しかし、たった1問のミスが合否を左右するのが入試です。漢字の問題は満点が当たり前という状況で、もし1問ミスをすればそれだけで大きなビハインドになります。取りこぼしができないからこそ、漢字の勉強はやっておくべきなのです。
文章がより理解できる
漢字を学ぶことで単語や熟語などもセットで覚えることになるため、語彙力が高まります。語彙力が高まることで文章の理解度がより高まるため、現代文の理解力が向上します。言葉を知らないと、文章の微妙なニュアンスや本来の意味がわからず、自分なりの解釈で読み進めてしまうことが出てきます。漢字を覚えて語彙力が高まることで正確に意味を理解して、問題を解くことが可能です。
語彙力が高まると多くの教科に波及する
語彙力がアップすることで恩恵が得られるのは現代文だけに限りません。例えば小論文を書く際に、多くの言葉を知ることでよりバラエティに富んだ文章に仕立てることができます。また漢字の意味を知ることで言葉を知らなくてもイメージは可能です。地歴公民を中心に漢字を覚えることで、役に立つ機会はどんどん出てくるため、覚えておいて損はありません。
高校生が覚えるべき漢字数
高校生はどれだけの漢字を覚えるべきかについては、日本漢字能力検定のレベルを参考にするのがわかりやすいです。漢検では高校卒業レベルとして2級が設定されており、常用漢字2136字の読み書きが行えることが目安とされています。「すべての常用漢字を理解し、文章の中で適切に使える。」と書かれており、もし覚えるのであれば漢検2級レベルまで覚えておくのが確実です。(参考:公益財団法人日本漢字能力検定協会)
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高校生が漢字を覚えるメリットとは?
高校生が漢字を覚えるメリットとしてどんなことがあるのか、詳しくご紹介いたします。
文章が理解できる
日本人の母国語は日本語ですが、海外で暮らして語学堪能でない限りは、日本語力を英語力が上回ることはありません。英語長文も自らの国語力を使って解いていくため、英語長文が苦手な人は実は国語も苦手だったということも考えられます。その国語力は語彙力が大きく影響し、漢字を多く知ることで文章理解力が上がっていきます。漢字を覚えることは語彙力アップにつながるのです。単なる記号の羅列では内容理解は絶対にできませんが、1つ1つの意味を知り、熟語なども把握できれば、何が書かれているかもよくわかるようになります。
漢検で評価される
高校生が漢字を覚えるメリットで一番大きいのが漢検で評価される点です。漢検2級に合格すると、現代文の通知表の評価が自動的に上がるケースがあったり、単位として認定されたりすることがあります。漢検2級を取得することで履歴書にも書けるため、一生涯にわたって自慢できるものとなるでしょう。また漢検を持つことは一般常識があることを示すことにもなるため、漢字を覚えるメリットは十分にあると言えるでしょう。
教養につながる
テレビ番組を見ると、簡単な漢字の問題すら解けないタレントに対し、「こんなのもわからないのか?」とか「こんなの常識だよ!」など辛辣な感想を抱く視聴者が多いです。漢字を知っているということは、常識的なことであり、正しく漢字を書ける人に教養を感じる人も多いです。高校卒業レベルの常用漢字はまさに日常用いられる言葉の数々なので、すべて網羅していれば常識がある人物と判断されます。高校卒業後就職を目指す人にとっても、いい印象を与えられるチャンスです。
高校生の漢字勉強法
高校生はどのように漢字を勉強していけばいいのか、その方法やテクニックなどをまとめました。
漢字に特化した参考書を活用する
入試対策で漢字を勉強する場合、どんな漢字がどれくらい出てくるか、把握するのは大変です。そこでおすすめなのが参考書です。参考書はこれまでのデータからどんな漢字が出るのかを研究して作られているため、実践的なものばかりです。要所を押さえつつ、学ぶべきものを学んでいけるため、漢字に特化した参考書を活用して、1つでも多くの漢字を覚えていくことができます。
書いて言葉に出して覚える
昔からよくある漢字の勉強法に、書いて覚えるやり方があります。ノートに何回も書いて覚えていくやり方は有効であると同時に、声に出して覚えるやり方もプラスすることで五感をフルに活用した暗記が行えるので、覚えやすくなります。参考書をパラパラと見て覚えられる人は少なく、書いて、見て、声に出して覚えるやり方によって定着するでしょう。
意味までセットで覚える
漢字のみを淡々と覚えていくことは、いわば記号を覚えるようなものであり、その漢字がどんな意味を持つかまで理解していないケースが出てきます。漢字の問題は解けても、語彙力アップとまではいかないでしょう。おすすめなのは、漢字と意味をセットで覚えることです。例文と一緒に覚えることで漢字の意味や用途が理解できます。
高校生の漢字の試験対策
高校生が漢字に関する試験対策をする場合にどんなことに気を付ければいいのか、定期テストや大学受験、それぞれの対策をまとめました。
定期テストの漢字対策
定期テストの漢字対策はあまり難しくはありません。既に範囲は決まっており、定期テストで出題される漢字も出そろっている状態です。そのため、定期テスト対策でやるべきことは、漢字が読めるかどうか、読めたとしたら書けるかどうか、意味まで理解できるかどうか、この3段階で取り組んでいきましょう。意味まで理解できる場合はケアレスミスやド忘れをしない程度に復習するとして、読めない漢字を中心に勉強を行っていきます。
何度も間違った漢字はノートにまとめて、いつでも見返すことができるようにするのがおすすめです。そして、テストが始まる直前までチェックして試験に臨みましょう。
大学受験の漢字対策
大学受験の漢字対策はかなり難しく、常用漢字すべてを相手にしなければならないため、まずやるべきことは専用の参考書を購入することです。そして、スキマ時間の中で勉強を行っていき、定期的にノートに書きだしてみて書けるかどうかを判断します。漢検2級の勉強を行うのもおすすめです。漢検2級は常用漢字すべてが対象なので、漢検2級の勉強は自動的に大学受験の漢字対策と連動します。すると、苦手な漢字や四字熟語など色々な部分が見えてくることでしょう。ウィークポイントが見つかればそれをカバーする、そのために暗記を重ねていくことで段々と語彙力が高まります。
ノートを用いた漢字の勉強法・覚え方
一般的にノートを使って感じ勉強を行うとすれば、何回も書いて覚えるのが普通です。そうではなく、もっと有意義にノートを用いて漢字の勉強をすることができます。
間違えた漢字を書き留める
人によって苦手な漢字が存在し、どうしても覚えられなかったり、ど忘れしたりするケースが出てきます。そんな時におすすめなのは、ノートに間違えた漢字を書き留めていくやり方です。何度も間違えていればそこが最重要ポイントであり、次に出てきた時に絶対に忘れないという気概をもって覚えられます。小さなノートにまとめ、入試や定期テスト前にチェックするだけでもかなり違います。
知識ノートを作る
教育関係の会社を経営する清水章弘氏が提唱する「知識ノート」は、漢字と熟語のページを4段に分けて、ページ数、ひらがな、漢字、意味という形で書いていきます。書いていく内容は、参考書で間違えた内容だったり、忘れがちな漢字だったりでもかまいません。いわば自分の辞書のように作り上げていくことで、見るだけで覚えていくことができます。(参考:中学受験高校受験パスナビ)
頭で覚えたものをノートに書く
ノートを使った書き取り練習はおすすめできないと主張する人たちがいます。これは、書き取り=写すになっており、写経のようなものだと主張。そうではなく、まずは参考書や教科書などで覚えたい漢字をインプットし、頭で覚えてからノートにアウトプットすることで覚えやすくなるのだとか。インプットする際は、忘れてなるものか!というぐらいに覚えたい漢字を見て、時間を置いてアウトプットする際にそれを取り出します。それでもできないものをチェックし、この作業を繰り返していくことで漢字が覚えられるようになるでしょう。
高校生の漢字学習におすすめの参考書3選
大学受験の漢字の勉強で欠かすことができない参考書。高校生の漢字学習の強い味方となるであろう3つの参考書をご紹介します。
入試漢字マスター1800+
「入試漢字マスター1800+」は、漢字だけでなく例文と一緒に覚えられる参考書です。ハンディタイプになっており、通学の時間や休み時間の合間などスキマ時間に利用できます。1800語が収録されており、これを完璧にすることで、難関大学の入試で出てくる漢字問題にも答えられるようになります。
生きる 漢字・語彙力
「生きる 漢字・語彙力」は、漢字や慣用句2500語が収録された参考書です。特徴的なのは例文で、1つ1つがユニークなので楽しく勉強をすることができます。例文の下に意味やポイントが掲載されており、赤字で答えが書かれているため、赤シートと一緒に使えばすぐに問題の答え合わせが行えます。入試レベルの漢字をほとんど網羅しており、語彙力アップにもつながります。
銀の漢字 必須編
「銀の漢字 必須編」は、漢字の総仕上げをする際におすすめの参考書です。銀の漢字は、あと1問を答えられれば漢字全問正解だけどあと1問が届かないという人に向けられて作られた本で、最低限覚えるべき単語、意味を網羅しています。もう1つ、金の漢字編もありますが、こちらは「最強編」と謳うだけあって、入試漢字を「97%」カバーしていると豪語した内容です。漢字にさほど時間をかけたくない人はまずは銀の漢字で勉強していきましょう。
まとめ
漢字だけをコツコツと勉強するのは何かしらの理由が必要になりますが、一番モチベーションにつながるのが漢検です。漢検に合格すれば大学の推薦入試の出願資格や内申点のアップなどにつながるため、メリットがかなりあります。漢検2級を目指し、合格をすれば少なくとも高校卒業レベルのラインに達するので、漢検の勉強に取り組むことで漢字を1つでも多く吸収することができます。
漢字は覚えておいて何も損はありません。「勉強って社会に出て役に立つの?」となにかと言われがちですが、少なくとも漢字は間違いなく役に立ちます。そして、1つでも多く覚え、教養にあふれた大人を目指し、入試では完璧に解ける状態に持っていきましょう。国語に苦手意識を持っていた人が漢字を勉強することでレベルアップを図り、他の教科にも相乗効果が生まれる、そんな状態を目指すことができれば漢字学習の成果はかなり出ていると言ってもよいでしょう。