英検やTOEICなど、自己研鑽のために資格勉強をする人は年々増え、英検などに興味を持つ人もそれ以上に増えている状況です。学校で習うわけではないので、基本的には独学であり、英語をいかに独学で学ぶかが色々と左右しそうです。
今回は英語の独学を始める前に注意すべきことや独学の勉強法、スケジュール、そして独学におすすめの教材やアプリについて解説します。
英語の独学を始める前に現状とゴールを把握しよう
英語の独学を始める前にまずは自分の現状と明確なゴールを設定する必要があります。それらをどのように把握すべきか、ご紹介します。
現状把握のやり方
現状把握のやり方として、一番確実なのは何もしない状態でTOEICを受けてみることです。明確に点数が出て、どのあたりにいるのかがはっきりとします。また中学英語までの知識があるかどうかを見たい人は英検3級を受けてみましょう。合格すればそれ以上の知識があり、不合格なら中学英語からやり直せばいいからです。過去問にチャレンジするのもいいでしょう。
「自分はこれくらいの実力ではないか」と思ったレベルの検定を受けるなり、過去問で解くなりして、これはいけそうなのか、かなり厳しそうなのか、それで現状を理解するのが確実です。
ゴール設定のやり方
ゴールの決め方は、なぜ英語力を鍛えなければならないかの状況にもよります。例えば楽天のように英語が社内公用語となっており、社員のTOEICの平均が800点のような場合、もし楽天を目指す人であれば、この800点が1つの目安になります。推薦入試で大学に入りたい学生であれば、推薦入試の出願要件が目標になるでしょう。このように、明確な理由があって英語を学ぶ場合にはその明確な目標をゴールとすべきです。
一方で、漠然とした目標を立てている人も、明確な目標を設定した方がやる気が出やすいです。高校卒業レベルの英検2級をとりたい、グローバル企業へ入社しても恥ずかしくないTOEICのスコアを残したいなど、あえて数値化、具体化することでやる気を高めることが可能です。
英語初心者の独学勉強法を分野別に解説
英語初心者はどのように独学をしていけばいいのか、その勉強法を分野別に解説します。
リーディング
語彙力を中学卒業レベルまで上げる
英語長文を読む際に、まず必要となるのが語彙力です。例えば、ネットや新聞の記事を読む際、分からない言葉だらけだと一体どんな内容の記事なのかわかりません。言葉を知ることで長文の中身がわかるようになります。少なくとも中学卒業レベルまで上げることがおすすめで、英検3級を受験する人向けに作られた英単語帳で単語を覚え、同時並行で中学レベルまでの英文法を学習しましょう。スポーツにおける基礎練習のようなもので、これなしには長文問題を解くことは難しいです。
読み返さずに長文に取り組む
初心者の場合、英語長文を行う際に同じ文章を何度も読み解く人がいます。また後ろから読み進めるなど、なかなかスピーディに読めないことがあるため、読み返さずに取り組んでいく努力をしましょう。前から翻訳を行っていくだけでも、何が書いてあるかはわかります。英語の勉強においてすべてを翻訳する必要はなく、英語を英語としてできる限り理解することが重要です。そのためにも、読み返さずに取り組んでいくことが求められます。
英文解釈に取り組む
より長文読解の精度を高めたい場合におすすめなのが、英文解釈です。英文解釈は、英単語と英文法の知識を駆使して正しく英文を理解できるかをチェックします。長文は、1つ1つの英文の集合体であり、英文解釈がすんなりと行えれば長文も普通に読めるようになります。英文解釈の参考書は多く、最初のうちは同じ参考書を何回も読み解くことで十分です。
ライティング
簡単な文章から書いてみる
いきなりライティングを完璧にこなすことは難しく、最初のうちは簡単な文章から始めるのが確実です。一行日記のように、英語で今日の日記を書いてみましょう。ライティングで大事なことはアウトプットをすることであり、正確性は度外視。それをGoogleの翻訳機能などを使って翻訳してみて、日本語として意味が通じるかどうかを見てみましょう。
フレーズを暗記していく
ライティング力を高める際におすすめなのがフレーズの暗記です。英語には構文が多く存在します。構文を1つでも覚えていくと文章のバリエーションが出てきます。英文法の例文を覚えるのも1つの手であり、その単元の内容に即した内容だけを切り取って覚えていくことで、例文を無駄に暗記せず、効率よくフレーズを吸収することが可能です。あとはアレンジすればよく、そこまでいければ初心者は脱したようなものです。
添削サイトを活用する
ライティングを独学で行う際に大きな壁となるのが添削の問題です。学生であれば学校の先生、塾講師に聞けばいいですが、独学ではそうもいきません。そこでおすすめなのが添削サイトです。最近ではAIが添削を行うなど、正しく添削をしてくれるサイトやアプリが増えています。またスペルミスレベルの添削であれば文書作成ソフトでも対応をします。これらを活用して、正しい英文を作り上げましょう。
スピーキング
ライティング力を高める
スピーキング、いわゆる話す能力を高める前にライティング力をつけることが大切です。何を話すべきかを考える際に、ライティング能力がなければ文章を思いつきません。もちろん、ライティング力がなくても話せる人は話せますが、簡単な単語や短い文章が多く、ヨリレベルアップを目指すのであれば、ライティング力をつける、その前に単語を学習することが求められます。
会話表現を多く知る
スピーキングを苦手とする人は、この場合は英語でどのように言えばいいのかわからない人が多く、会話で表現をする方法がわかっていません。挨拶だけでも数多く存在し、How are you?だけが挨拶ではありません。例えば、久しぶりに会う友人がいれば、Long time no see.と言います。こうした表現を1つでも多く知ると、TPOに応じたスピーキングが行えるので、練習も楽しくなってくるでしょう。
オンライン英会話を活用する
スピーキングを鍛えるのはとにかく誰かと話して添削をしてもらうことですが、ライティング以上にその相手を見つけるのは大変です。一番確実なのはオンライン英会話などを活用していくことです。自然な表現に正してくれることだけでなく、発音の正確さをチェックし、変なクセがつかないように指導を行います。オンライン英会話であれば通常の英会話教室よりも安く、コロナ禍であっても安心安全です。あとは練習を重ねていけば、スピーキング力は上達します。
英語を独学で勉強する際に気を付けることをシーン別に解説
英語を独学で勉強する際に気を付けることは何か、シーン別に解説します。
大学受験を控えた受験生
塾にも通わず、独学に挑む場合、模試に積極的に参加するなど、独学の成果を逐一チェックすることが大切です。もしもうまくいってなければ軌道修正をする必要があり、場合によっては独学を諦めることも考えなければならないからです。また自分で管理をしなければならないため、誰かのチェックがないことも注意点になります。ゆえに客観的なデータを常にチェックして、目標に向かって進む必要があるのです。
社会人
本業や副業の時間の合間に勉強をすることが多い社会人ですが、ムダな勉強法をやってしまうことで相当な時間をロスする可能性があります。学生の1時間と社会人の1時間、その重みは全く違います。独学を行う前に、現状の立ち位置と目標までの道のりを明確にし、細かくチェックポイントを設けて、すぐに軌道修正ができる体制を整えましょう。そして、ダラダラと目標を目指すのではなく、できる限り最短ルートを目指すことで次の目標も立てやすくなります。
主婦
主婦の場合は、子どもの有無、子どもの成長具合によって勉強時間や時間帯に違いが生じます。子育てもかなりの重労働、加えて家事全般をこなすとなると、残された体力、時間ともに限られたものになるでしょう。無理をせず余力の中で、できることをやっていくのがおすすめです。時間がない場合には単語帳でインプットし、時間ができたらアウトプットに励むなどしましょう。
英語の独学勉強でのスケジュールについて
どのように英語の独学に関する勉強をしていけばいいか、流れと学習時間をまとめました。
英語の独学学習の流れ
STEP①:英語の独学に使える時間を決める
独学で一番大事なのは、毎日どれだけの時間を勉強のために使えるのかです。社会人であれば、休みの日に独学に時間を割くでしょうし、主婦であれば子どもを保育園に預け、家事などを終えたタイミングや寝る前が確実に時間を確保できるでしょう。このように突発的な出来事で簡単に消えてしまう時間よりも、よほどのことがない限りは勉強ができそうという時間を見つけ出すことが必要です。
STEP②:目標と勉強内容を定める
ある人はTOEIC800点を目指し、またある人は英検2級を目指すものですが、目標が決まれば、あとは勉強内容を決めます。現状できているもの、できていないものを見極めて勉強内容を定めていきます。この時、英単語を覚える時間をわざわざ設けるのはあまり得策ではありません。できるだけスキマ時間を活用し、まとまった時間で勉強をするとなれば英文解釈や読解、リスニングなどにしましょう。
STEP③:勉強時間にアジャストする
高い目標を掲げること自体は何の問題もありません。しかし、時間が限られる場合、高い目標を掲げても何も達成できない場合も出てきます。その際は優先順位を設け、まず何から取り組むべきかを定めてから取り組むのがいいでしょう。勉強時間にアジャストし、ムダにしないことで着実に英語力が高まります。これでは足りないとなれば何かを犠牲にして時間を捻出するのも1つのやり方です。いずれにしても、ちょっとした時間も無駄にしないことが求められます。
英語の独学学習に必要な学習時間はどれくらい?
TOEIC800点レベルを目指すのであれば、だいたい1000時間は必要と言われています。毎日1時間の勉強を続ければだいたい3年です。そこまでの年月はかけられないとなると、1日3時間で1年です。毎日続けてこれだけの勉強時間が必要なので、確かな力をつけるのにそれなりに時間がかかることがわかります。しかも、英検3級合格の水準から1000時間なので、それ以下の水準からスタートするとなるとその時間はかなりのものになるでしょう。
しかも、正しい方向性で正しい労力をかけて1000時間なので、プライベートを犠牲にする勢いで取り組まないとなかなか大変であることはおわかりいただけるでしょう。
英語の独学勉強におすすめの教材3選
英語の独学勉強におすすめの教材がありますので、ご紹介します。
中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく
「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく」は、中学英語からやり直したい人向けの参考書です。中学英語の内容が1冊にまとめられており、英検3級レベルの基礎を固めたい人におすすめの1冊です。
キク英文法
「キク英文法」は、主要大学や過去のセンター試験で登場した問題をまとめ、7週間でマスターできるという触れ込みの参考書です。英文法212項目を7週間でマスターできるため、文法力がつくほか、「キク英文法」と書かれているだけあって、実際に音声をダウンロードでき、英文法を聴きながら勉強できるのが特徴的です。
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング
「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」は、瞬時に英作文を作れるようになる参考書です。基本文型に単語を当てはめて素早く作っていけることができ、トレーニングを行う中でライティングやスピーキングの力をつけられます。
英語の独学勉強におすすめのアプリ3選
早打ち英文法
「早打ち英文法」は、中学と高校の英文法の範囲をカバーしたアプリです。1500問が出題され、並び替えや空所補充、スペル入力で問題に挑むことができます。ゲーム感覚で取り組める他、英文法がしっかりと理解できているかを客観的に知る上でおすすめです。
POLYGLOTS
「POLYGLOTS」は、180万人の学習履歴とAIを活用し、その人にとってぴったりの学習カリキュラムを作り出すアプリです。3カ月続けて学習することでTOEICのスコアにして200点程度アップするとされており、効率的に英語学習をしたい人におすすめです。
abceed
「abceed」は、TOEICや英検に対応し、AIがTOEICや英検のスコアを予測するアプリです。その誤差は6%とほぼ正確で、アプリでの回答状況から現状のスコアを算出します。学習機能が豊富にあるほか、TOEICの参考書をアプリ内で購入できるなど、様々な使い方が可能です。
まとめ
英語の独学での勉強法には色々なやり方がありますが、効率的に集中的に取り組むことが目標達成の近道です。1日1時間の勉強だけではスコアを上げるのに時間がかかるため、アプリなどを活用し、常に客観的に自分の事を見て、足りない部分にフォーカスを当てていかないと大変です。学ぶことに楽しさを感じれば1時間では済まなくなり、何時間でもやるようになるでしょう。その状況になれば、短期間での目標達成も夢ではありません。