大学入試の科目であると同時に一般教養として学ぶことも有益性がある世界史。学生が学ぶことはもちろん、社会人の人も独学で勉強する人が増えています。
今回は独学で大学入試の世界史に挑めるのか、そのために必要な参考書、独学で攻略できる日数、そして社会人でも独学は可能なのかをまとめました。
大学受験の世界史は独学でも大丈夫?
高1の時に世界史を必修で学び、高3になって世界史を受験科目にしたいと思い立った場合、独学でやらざるを得なくなりますが、それでも可能なのかどうかをまとめました。
大学受験の世界史は独学の方が効率が良い
定期テストの場合、学校の先生が授業中にどんなことを発信したかがテストに出てくる場合が多いため、参考書での学習よりもノートをしっかりととって振り返った方が点数が高くなることがあります。しかし、大学受験では教科書の内容、参考書での振り返りなどが間違いなく重視されます。独学であれば、自分なりに内容をまとめて効率よく学習することができるため、誰かに教えてもらうよりも成績を伸ばすことも十分にできるでしょう。
世界史を独学で学習するメリットとは?
通史が分かりやすい参考書を教科書代わりにできる
世界史の教科書から出題されることが多い世界史ですが、大切なことは通史、いわゆる歴史の流れをつかむことです。これができないと暗記も機械的なものとなり、知識が抜け落ちやすくなります。後程参考書をご紹介しますが、通史が分かりやすい参考書は多く、教科書代わりにしても十分得点につながるものが存在します。ノートまとめをしなくても参考書そのものがノートまとめのような状態になっているので、自分にとって理解しやすいものを追い求められるのがポイントです。
定期テストに左右されずに済む
独学のいいところは定期テストとは関係なく勉強が行える点です。例えば、数学や英語など教科書を丸暗記したところで点数にならず、本来の力をつけることで点数を上げていく科目は定期テストが大学受験に直結することがあります。しかし、国語や社会系科目は授業で扱ったことを暗記し、内容を理解しないと定期テストで点数が取れず、それが大学入試で威力を発揮するかとなると微妙です。自分なりに効率的な勉強法があるものの、定期テストの度にそれが邪魔されたり、予備校で授業を受ける際に小テストの準備をしないといけない場合があったりするので、独学の方が自分のペースを保ちやすくなります。
基礎の基礎から学習できる
予備校など塾で世界史を学ぶ場合、基礎の基礎まで世界史がわかっていなかった時にそこまで対応していない可能性が出てきます。ある程度の基礎を理解している人に来てもらいたいというのと、1人にそこまで時間を割けない部分もあり、基礎の基礎から学習できないため、それであれば独学の方が基礎の基礎から学ぶことができます。世界史は流れをつかめば、あとは暗記をどんどんしていけばいい一方、基礎の基礎から理解しないと流れをつかむことすらできません。世界史を独学でやっていくメリットはそこにあり、一歩一歩着実に積み重ねることができれば、揺るがない自信につながっていきます。
世界史の独学勉強法を5ステップに分けて徹底解説
世界史はどのように独学で学んでいくべきか、5つのステップに分けてご紹介します。
ステップ❶:市販の教科書を読み込む
共通テストなど様々な試験問題で参考にされることが多い山川出版社の教科書はAmazonなどで購入可能です。このため、教科書を使って独学に励むことができます。そして、この教科書という存在は世界史の基礎をつかむ上でとても重要な存在。教科書を読み込むことで流れをつかむことができるからです。まずは教科書を読み込むことから始めましょう。
ステップ❷:参考書で詳細をつかむ
教科書とは別に、教科書の内容を解説、補足するような参考書を用意しましょう。これを用いることで流れを正しくつかむほか、どんなことを覚えるべきかが把握できます。教科書だけではつかみきれない部分があっても、参考書があれば詳細がつかめます。
ステップ❸:覚えるべき単語を覚える
流れをしっかりとつかんだ上で、重要語句の暗記に取り掛かります。これにより、世界の知識を立体的につかむことができ、抜け落ちにくい状態を生み出します。一問一答形式の問題集を始め、アプリなども存在するため、スキマ時間を積極的に活用した勉強が行えます。
ステップ❹:過去問を積極的に解く
インプットが完了したと自分で思ったら、いきなり過去問を解いていきます。インプットできていると思っても、変化した問題文などを見て正しくアウトプットできないケースもあるため、色々な過去問に触れてみて積極的に解いていくことで、抜け落ちていた知識や一面的に覚えていた重要語句を多面的に理解できるようになり、より知識が定着しやすくなります。
ステップ❺:改めて教科書を読み込んでみる
ステップ❶の状態で教科書を読み始めてみた時、1冊の教科書すべてを理解しないと高得点は狙えないのかと落ち込む人もいたはずです。しかし、色々と対策を実行してから教科書を読むと最初では全く気づけなかった部分に気づくこともあるでしょう。共通テストではイラストや図表に関する問題も出てきます。文化史を含め、満点を狙うためにより細かなところまで目が届きやすくなるため、過去問まで徹底的に解いてから今一度教科書を読み込むと、まだまだ勉強すべきところがあることに気づかされるはずです。
世界史の独学におすすめの参考書10選
独学を助けてくれる世界史の参考書を10冊ご紹介します。
教科書よりやさしい世界史
「教科書よりやさしい世界史」は、教科書よりも分かりやすく内容がまとめられている参考書です。基礎の基礎から世界史を学びたい場合におすすめで、歴史の流れをざっくりとでもつかみたい人にぴったりです。
一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書
「一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書」は、公立高校で歴史を教えるYouTuberの先生が書いた参考書です。年号が全く登場せず、主語はその国の権力者で固定しているため、1つの視点から歴史を学んでいくことができます。
時代と流れで覚える! 世界史B用語
「時代と流れで覚える! 世界史B用語」は、流れをつかんで用語を覚えるという作業が1冊で行える効率的な参考書です。何周もすることで流れをつかむ作業も覚える作業も行えるため、世界史の独学では必要不可欠な1冊です。
タテから見る世界史
「タテから見る世界史」は、時系列で世界史が学べる参考書です。全世界の歴史を時系列で学べるため、流れをつかむ作業がしやすくなります。ヨコから見る世界史と一緒に活用すると、世界史をより深く理解できるようになるでしょう。
世界史用語集
「世界史用語集」は山川出版社の教科書準拠の用語集です。5000以上の用語が収録されており、重要語句の詳細を知りたい場合やより深いところまで理解したい場合、論述問題にチャレンジする場合におすすめです。
山川一問一答世界史
「山川一問一答世界史」は重要語句の暗記を反復学習で身につけるのに最適な参考書です。世界史用語集に準拠しているため、分からない単語が出てくれば世界史用語集も活用することで理解度が高まります。
詳説世界史 改訂版 ノート
「詳説世界史 改訂版 ノート」は、山川出版社の教科書に準拠する形でノートまとめが行える参考書です。重要語句などが空欄になっており、教科書の内容理解を行いたい場合に欠かせない1冊です。
書きこみ教科書 詳説世界史
「書きこみ教科書 詳説世界史」は山川出版社の教科書の重要語句部分がが空欄になっており、それを書き込んでいける参考書です。ノートに貼り付けることでノートまとめを作りやすくなり、参考書の丸暗記をする人にとって暗記の度合いを確かめるのにぴったりです。
大学入学共通テスト 世界史Bが1冊でしっかりわかる本
「大学入学共通テスト 世界史Bが1冊でしっかりわかる本」は、共通テストで出題される傾向を理解し、対策が行える参考書です。共通テストになってから登場した問題形式にも対応できるため、インプットした内容をより使える状態にし、アウトプットをよりしやすくさせることが可能です。
大学入学共通テスト 世界史Bのグラフと資料の読み方が1冊でしっかりわかる本
「大学入学共通テスト 世界史Bのグラフと資料の読み方が1冊でしっかりわかる本」は、共通テストで登場するグラフ問題や資料問題に対応した参考書です。教科書の丸暗記などでは対応しきれないグラフ・資料問題が1冊でマスターできるので、共通テストを利用する人は必ず手に入れておきたい1冊です。
世界史はゼロから独学で何カ月で攻略できる?
定期テスト攻略に必要な期間
定期テストの場合、テスト範囲に該当した教科書の部分を読み込んで流れをつかみ、重要語句を覚えていけば、ある程度の点数は確保できます。満点を目指すとなると授業中の先生の発言や時事問題を出している場合にはニュースをしっかりと見る必要がありますが、最低でも2週間、長くても1カ月は確保すべきです。
共通テスト攻略に必要な期間
共通テストの場合は、教科書1冊分がテスト範囲なので、世界史全体の流れをつかむ、重要語句を覚える、問題演習を行う作業を徹底します。世界史全体の流れは教科書でつかむのが確実ですが、先ほど紹介した参考書を使ってわかりやすく理解していくのもいいでしょう。あとは急ピッチで重要語句を覚え、問題演習を行うなど、インプットとアウトプットをひたすら繰り返せば一定の点数は狙えます。最低でも数か月は必要です。
一般入試・国立2次攻略に必要な期間
私立入試、国立2次の場合は共通テスト攻略にかかった時間、プラスアルファが必要です。共通テスト対策で行ったことは一般入試でも役立ちますが、共通テストではなかった記述、論述の問題に対応しないといけない場合や過去問を解く場合を考慮すると、さらに1か月、2か月は必要なので、半年は必要でしょう。
世界史は社会人でも独学で習得可能?
一般教養として世界史を学ぶだけでも社会人としての厚みが増します。独学で世界史の知識を習得できるのか解説します。
世界史は社会人でも独学で習得可能
学生と違って社会人は独学に使える時間が限られます。それもあって独学は難しいのではないかと思う人もいるでしょう。しかし、1時間以上の時間を捻出することは可能であり、これができないと資格勉強、スキルアップのための勉強時間すら確保できないことを意味します。毎日1時間でも独学の時間を確保できれば世界史の知識をつけていくことは可能です。あとは効率的なやり方を見つけるのみです。
社会人が独学で世界史を習得する勉強法
マンガで基礎の基礎をつかむ
学生の場合、勉強の習慣が既についていますが、社会人の中には勉強の習慣がなくなっている人も多くいます。勉強する=楽しいという感覚を持っておいた方がいい可能性が高いです。そこでおすすめなのがマンガで基礎の基礎を勉強するやり方です。日本の歴史を学ぶ学習漫画がある一方、世界の歴史を学ぶ学習漫画も存在します。最初にこちらから始めて歴史を学ぶことは楽しいと思えるようになってからでも十分です。
社会人も先に通史から学ぶ
通史から学ぶことは学生であっても社会人であっても同じです。ここで用いる教材は、学生が独学する場合に用いる、先ほど紹介した「一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書」などで十分です。「世界史を最後に学んだのは10年以上前」という人でも読み物として普通に面白く興味深い内容になっており、世界史に興味を持ち好奇心を高めるのに欠かせません。
アプリを活用していく
社会人が世界史を学んでいく際には、できるだけゲーム感覚の方が負担なく学べます。スマホアプリの中には一問一答形式の問題集を始め、様々な世界史関係のアプリがあります。家には参考書を置いておき、通勤時にはアプリを使って学習していくことでスキマ時間をより活用でき、独学に使える時間を増やすことができます。お昼休みはアプリを見ながら食事をとるなど、家に帰ってから1時間捻出するよりもスキマ時間の1時間や2時間を活用した方が効率的であり、より知識を増やすことにもつながります。
社会人の独学の世界史学習におすすめの参考書3選
一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書【経済編】
「一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書【経済編】」は人気シリーズの経済編で、お金から世界史をチェックするという切り口の参考書です。大人になってもお金に対する興味関心が強い人が多く、より興味をもって世界史に取り組む際に参考になるはずです。
大学入試 マンガで世界史が面白いほどわかる本
「大学入試 マンガで世界史が面白いほどわかる本」は、マンガを通じて世界史を理解していく参考書です。大学入試と書いてありますが、社会人でもスラスラと読めるようになっており、楽しく理解するのに最適です。
瞬間記憶! つなげて覚える世界史B用語
「瞬間記憶! つなげて覚える世界史B用語」は、歴史の流れをつかみながら重要な用語を覚えていくことができる参考書です。こちらも大学入試を利用する人向けですが、基礎レベルから積み重ねていくことができるので、マンガなどで歴史の流れをつかんでから読んでみることをおすすめします。
まとめ
世界史は独学がしやすく、論述問題がなければ独学で完結します。また論述問題があったとしても論述問題に関する参考書を購入し、解説を読み込んでいけば論述問題の解き方がわかるので心配はいりません。社会人になってからも世界史を学ぶ価値は十分にあり、教養につながるだけでなく、時事的な話にもついていけます。年齢を重ねてからも学ぶ姿勢を持つことは素晴らしいことです。その取っ掛かりが世界史というのもオシャレではないでしょうか。