物理基礎は基本的な物理の知識を学ぶために欠かせない科目であり、工業高校の生徒など理系文系に関係なく多くの人が履修する科目となっています。物理と比べて基本的なことを学びますが、取り組み方は同じです。
今回は物理基礎の勉強について解説します。物理基礎を苦手とする要因から物理基礎に関するおすすめの参考書、物理基礎の定期テスト対策や共通テスト対策などをまとめました。
物理基礎が苦手な人が得意になる勉強法とは
物理基礎というだけあって、物理の基礎的な部分について学習するわけですが、それでも苦手にする人がいます。そんな人でも得意になる勉強法があるのかどうか、解説します。
物理基礎が苦手科目になる原因とは
公式が頭に入ってこない
物理基礎を苦手にする人にとって、公式がなかなか覚えられない、頭に入ってこないことが考えられます。基本的に物理は公式をしっかりと覚え、事象に当てはめて結論を導き出していきます。これを覚えきれないとなかなか物理基礎で点数を得ることが難しいかもしれませんし、苦手意識が芽生えてしまうでしょう。
問題文などを読んでもイメージが浮かばない
圧力や引力など、物理は図、イラストでイメージすることができる科目です。得意な人は問題文を読んですぐにイメージできる人が多いですが、苦手な人はこれができません。公式を機械的に覚え、この公式はここで使えるというのがわかっても、それをイメージとして具現化させることが難しく、ただただ機械的に覚えただけに終わり、肝心な場面でど忘れを起こしやすいのです。
そもそも物理用語を理解していない
物理では、様々な用語や考え方が登場します。物理が苦手な人は歴史科目のように暗記をしようとしますが、物理は理解を深めないとなかなか点数がとれない分野であり、物理用語をどれだけ理解しているかは点数にもつながってくる部分です。それぞれの定義が説明できない状況で暗記を行っても右から左へ抜けていくのがオチです。人に説明して伝わるような理解度が必要ですが、なんのことやらさっぱりわかっていない状況では、物理基礎が苦手になっても不思議ではありません。
物理基礎は勉強すれば得意になれる科目
物理基礎は一見すると難しい科目と思いがちですが、実際のところ、学べば学ぶほど点数を得られやすい科目と言われています。基本原理さえわかってしまえば、定義も理解しやすいですし、公式も頭に入りやすく、問題演習をこなせば理解できるようになります。勉強すればするほど得意科目になりやすいため、あとは講義系参考書など理解の助けにつながる参考書を用意して物理基礎に挑みましょう。
物理基礎を得意科目にするための勉強法のコツ
講義系参考書で基礎の基礎から学ぶ
公式を機械的に覚えることは、知識が漏れ出やすく、知識の定着には程遠い状況を生み出します。定着させるには基礎を固める必要があり、基礎を固めることで知識が結びつきやすく、忘れにくくさせます。そのため、講義系参考書を活用し、基礎の基礎から物理を学び、基本原理をイチから理解していくのが得意科目につながる「最短ルート」です。楽して点数をたたき出すことはどの科目でも難しいですが、物理でもそれは同じ。理解できるまで基礎から学んでいくのがいいでしょう。
とにかく絵で書いてみる
問題文を読んで頭の中で理解できればそれに越したことはありませんが、物理はイラストで書いてみた方が理解しやすく、基本原理や仕組みなどがわかりやすいです。イラストとセットで公式を覚えるなどすれば、問題文を読んで混乱が生じたとしても一旦立ち止まって考えなおすことができます。物理用語の定義を説明する際にも本当に理解できているかどうかを知るのに役立ちます。
ひたすら問題演習をこなす
テストで苦戦する人は、問題演習の量が不足しているケースが目立ちます。公式を機械的に覚えている場合、1つの記号として覚えており、その通りに出題されないと導くことができません。ところが、色々な切り口で出されることが多く、公式は覚えたはずなのに使うべきところで使えない状態に追い込まれます。もし問題演習を多くこなしていれば、様々な切り口で出題されることを理解できます。公式や定義などを覚えたらひたすら問題演習をこなし、解説を読み込むことをおすすめします。
物理基礎の勉強法を試験ごとに解説
物理基礎を勉強していく上でどのようなやり方があるのか、試験ごとに解説します。
定期テスト対策
基本的にテスト範囲のところから出題されるため、まずはテスト範囲をチェックして、教科書や講義系参考書で勉強を行うことが大切です。その上で基本原理を理解して、定義を勉強し、覚えるべき公式をしっかりと暗記してから問題演習に取り組んでいくのが理想的な流れです。できれば計画を立てて、時間切れタイムアップにならないよう、長めに計画を立てるのがコツです。時間が余ればひたすら問題演習を行って、間違いやすい部分を克服していけばいいわけです。
共通テスト(センター)対策
共通テストで出題される物理基礎の範囲は、これまでの物理と比べても範囲が狭く、覚えるべき内容はそこまで多くないことが明らかになっています。つまり、しっかりと勉強をすれば高得点が誰でも狙えるというわけです。とはいえ、覚えるべきことはしっかりとあるわけですから、一夜漬けであったり、直前でやればなんとかなるわけではありません。
講義系参考書を1冊購入してしっかりと解き切ることをおすすめします。ただ、共通テストでは現象に関する説明を行うため、講義系参考書と教科書を活用して知識を着実につけていくのが確実です。共通テスト対策ができる問題集などを購入して対策を立てましょう。
私立一般入試・国立2次対策
物理基礎を一般入試や国立2次で使うケースはさほど多くないのが実情で、あったとしてもかなり限られます。そのため、やれることは共通テスト対策とそこまで変わりなく、あとは論述問題に対応できるかどうかです。論述問題に対応するには定義を正しく理解することが重要なので、講義系参考書を活用していくことをおすすめします。そして、過去問を解きまくって解説を読み込み、自分で解けるまで何度でも挑むことを続けていくのがいいでしょう。
物理基礎の勉強におすすめの参考書5選
物理基礎の勉強を助けてくれるであろう参考書がありますので、ご紹介します。
橋元の物理基礎をはじめからていねいに
「橋元の物理基礎をはじめからていねいに」は、物理基礎を基礎の基礎から学ぶことができる講義系参考書の1つです。公式を機械的に覚えるのではなく、イメージで理解して吸収していくことをコンセプトにしており、イラストが豊富で視覚的に物理を理解し、わかりやすく物理基礎が学べる内容となっています。
高校物理基礎の解き方をひとつひとつわかりやすく。
「高校物理基礎の解き方をひとつひとつわかりやすく。」は、物理を苦手とする文系学生などにとって大変理解しやすい参考書です。問題の解き方などがとても丁寧に紹介されており、解説もわかりやすさが見られます。物理基礎を非常に苦手としている人にとって理解を助けてくれる1冊です。
大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[力学・熱力学編]が面白いほどわかる本
「大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[力学・熱力学編]が面白いほどわかる本」は、物理基礎や物理を分野ごとに学びたい人向けの参考書です。範囲によって分かれており、苦手な分野がある人は特定の分野だけ購入するのもいいでしょう。キャラクターが分かりやすく説明を行うので、親しみやすさがあります。
きめる! 共通テスト物理基礎
「きめる! 共通テスト物理基礎」は、共通テストで物理基礎を使う際に持っておきたい参考書です。効率重視で作られた参考書のため、最低限何を覚えるべきかがしっかりとわかります。要点集も収録されており、テストの直前にチェックして物理基礎対策を行うこともできます。
入試標準問題集[物理基礎・物理]
「入試標準問題集[物理基礎・物理] 」は、物理基礎で高得点を狙いたい人向けの参考書です。レベルとしては標準レベルですが、解説がわかりやすく、説明もコンパクトなので、何度も解いていく中で要点をつかみやすいのでおすすめです。
物理基礎の勉強はいつから始めるべき?
共通テストなどで物理基礎を受験科目とする場合、いつから受験勉強を始めればいいのか、気になるところでしょう。既に物理基礎を得意としている人であれば、他の科目を優先して秋から冬にかけて取り組んでも十分間に合うはずです。一方、物理基礎が苦手、もしくはほとんど知識がない場合でも秋ぐらいから取り組めば高得点は狙えると言われています。発展的な内容はあまり出てこないため、基本さえ網羅していればそれなりの点数はすぐに狙えることが要因となっています。
物理基礎は一夜漬けでもなんとかなる?
秋から始めれば高得点が狙えるのであれば、一夜漬けでも大丈夫なのではないかと考えるのは、決して間抜けな考え方ではなく、普通に考えられることです。果たして一夜漬けでなんとかなるものなのでしょうか?
毎日コツコツやっておいたほうが良い
受験において基本的に一夜漬けで何とかなる科目はありません。定期テストでもそうで、一夜漬けで何とかなるのは暗記科目ぐらいで、物理に関しては計算問題なども出てくるため、一夜漬けで結果を出すのは大変です。物理基礎は基本的な内容が多く出てくるものの、範囲は広いため、毎日コツコツやっておくのが無難です。秋から始める場合でもまとまった時間をかけてようやく高得点が狙えるわけですから、その前からコツコツと知識を入れていくのが確実でしょう。
物理基礎の一夜漬けを効果的に行うためのポイント
それでも一夜漬けに頼らざるを得なかった場合、効果的に一夜漬けを行うポイントをご紹介します。
よく出てきそうな単元を集中的に勉強する
共通テストには傾向があり、よく出てきそうな単元はおおよそ絞り込むことができます。例えば、波動や電気、力学は毎年出題されるのと同時に、小問集合の問題では定義や用語を正しく理解できているかの問題を出されます。傾向がどちらかといえば定まっている分、あとはそのあたりの基礎的な内容を中心に勉強していけばいいわけです。ヤマを張るにしても、傾向をつかんでからヤマを張った方が空振りに終わる可能性を下げられます。
問題を解いて間違って覚えていた公式などをメモにまとめる
一夜漬けをするといっても、直前にある程度の知識がないと機械的に覚えるには限度があります。問題演習をある程度解ける段階までの知識は事前につけておくことが求められます。ここでやれることは、問題をたくさん解いて間違えて覚えている部分、定義をあぶり出すことです。そして、メモにとり、共通テストなどが始まるギリギリまでチェックできる状態にしておくと一夜漬けの状態を維持しやすくなります。
絶対に覚えたいことは書いて覚える
効率を求めると教科書や参考書を眺めて覚えがちですが、これだと絶対に覚えられるかどうかは微妙です。一夜漬けを確実にうまくいかせたい場合にやれることは、書いて覚えることです。ボールペンを活用し、たくさんのノートを使って覚えたいことをとにかく書いて覚えると忘れにくくなります。その代わり、全ての範囲は難しいので、覚えるべき部分を絞るのがいいでしょう。
まとめ
物理基礎自体は覚える範囲が狭く、基礎的な内容が中心なので覚えるべきものを覚えれば高得点は狙えるでしょう。間違いやすい部分はあるため、その部分をケアすることが大切です。一夜漬けに頼ることなく、できれば長期的なスパンで物理基礎に取り組むことをおすすめします。