夏休みの宿題を8月下旬になって取り組む人がいるように、ギリギリにならないとやる気が出ない人がいます。夏休みの宿題程度ならいいですが、これが受験勉強となると大変です。高3から受験勉強を始めるのは手遅れなのか気になるところです。
今回は高3からの受験勉強は遅いのか、手遅れなのかについて解説します。もし高3から受験勉強を始めるにあたって何をすればいいのかなどをご紹介します。
高3からの受験勉強は遅い?
高3から受験勉強に取り組み始めるのは果たして遅いのか、リカバリーはできるのか、解説します。
高3からの受験勉強は遅いが十分間に合う
難関大学に現役合格した人についての調査で、高2の12月までに受験勉強を始めた人が全体の6割ほど、高2の3学期の人と合わせると、全体の4分の3が高2までに始めており、残りの4分の1は高3の1学期や夏以降にスタートした人たちです。(参考:Toshin.com)
つまり、高3から受験勉強を始めることは明らかに遅いことが言えます。しかし、難関大学に現役合格した人のうち、4分の1は高3の1学期以降に勉強を始めた人たちなので、可能性が全くないとは言えず、十分間に合うことは明らか。あとはいかにスパートをかけて追いつけるかにかかっています。
高3から受験を決意した人がやるべきこととは?
ステップ❶:受験科目を少なくする
国公立大学を狙う場合、5教科を勉強しなくてはならないため、高3の1学期から着手したとしてもあまりにも範囲が広すぎて対処しきれません。しかし、3科目程度であればまだ間に合うでしょう。しかも、その中に得意科目があれば十分に挽回することは可能です。国語や英語、日本史に絞ってそれで受けられる大学を探し、めぼしいところを見つけたら後は勉強あるのみです。
ステップ❷:猛勉強に備える
高3から受験勉強を始めるのは、マラソン大会でライバルがスタートしてから30分後に走りだすようなもので、これを挽回するには走力で挽回するほかなく、必死に勉強をしないとダメです。そのためには、入試日まで1日たりとも遊ばない、1日10時間以上は勉強するなどの約束事を決めて、スマホは親に預けるなど、環境を整えて猛勉強に備える必要があります。本気で取り組み、必死に勉強をしなければ遅れは取り戻せません。
ステップ❸:予備校で効率よく学ぶ
受験科目を絞り、猛勉強ができる環境を整えたら、予備校で長い時間勉強するようにスケジュールを立てます。予備校は効率よく物事を教えてもらえる場所であると同時に、ライバルがそこらじゅうにたくさんいます。こいつらには負けない!という強い気持ちを持ち、効率よく学ぶコツなどをつかみながら勉強を進めていきましょう。真剣に取り組む人が多い環境は間違いなく成長につながります。
高3夏からでも間に合う受験勉強のコツとは?
1冊の参考書をひたすら解きまくる
参考書は1冊丸々内容が頭に入れば、それだけで相当な知識になります。世の中には多くの参考書がありますが、1教科につき1冊参考書を購入し、それをひたすら解きまくり、何周もするくらいに解いていけば、できる実感がわいてきます。予備校に行けない人でもこれなら実践できるでしょう。何冊も参考書は買う必要がなく、1冊を何度も解いて内容を理解することで劇的なレベルアップにつながるはずです。
楽しく学べる科目を受験科目にして息抜き感覚で学ぶ
苦手科目の勉強は苦行のように感じられ、長く勉強するのが苦痛になるケースもあります。一方で得意科目だと楽しく学べるから不思議です。楽しく学べる科目を受験科目にすることで息抜き感覚で取り組むことができ、ストレスを少しでも軽減させて学んでいくことができます。国語と英語に集中し、息抜きで日本史などを学ぶパターンに入れば、重要な科目にしっかりと時間をかけられます。
急がば回れの精神を持ち、基礎から固める
夏から学び始めるとなるとついつい焦りが先んじてしまい、過去問などから始めてしまって全然できないことに絶望してしまう人がいます。これは最悪のパターンです。とにかく時間はないものの、基礎固めをしないことには成績はとれません。急がば回れの精神を大切にし、まずは基礎から固めていきましょう。
高3夏の模試でE判定でも逆転合格は可能?
E判定が出たら、かなり厳しい戦いになっていくことは確かです。しかし、E判定から逆転合格を果たしたケースは非常に多く、決してレアではありません。逆転合格を果たした人は基礎からやり直し、徹底して学び直したケースが多く、焦らずに取り組み続けることができたのが勝因と言えそうです。逆転合格は十分に狙えますが、あとは基礎固めなどやれることをコツコツと、そして、長い時間濃厚に取り組み続けることが求められます。
高3の受験勉強は何をやればよい?科目別に解説
高3の受験勉強ではどんなことに取り組んでいけばいいのか、科目別に解説します。
国語
国語は語彙力をつけることはもちろん、多くの演習問題を解き、なぜその答えになったか解説を読み込んで何度も解いていくのがいいでしょう。解き方を学んでから臨むのでは時間が足りないのでは、実践の中で解き方を学ぶのが理想的です。幸い、古文や漢文は単語や文法、返り点などの知識を一通り覚えてから問題に挑むのでも十分間に合います。現代文は演習に、古文漢文は単語などの知識の暗記に努めましょう。
数学
数学はまず何を受けるかでやるべきことが変わります。数学1Aであればじっくりと解いていけばいいですが、数学2Bまでとなると急ピッチでこなす必要が出てきます。基本的に夏までに基礎的な問題を終わらせ、秋以降に演習問題をどんどん解いていくのがおすすめです。ですので、夏場で基礎固めを終わらせる勢いで勉強をしていくのがいいでしょう。
英語
英文法や英単語の暗記をまずは行い、基礎的な力をつけていきます。そこから読解問題を多くこなして長文読解の解き方を学んでいく流れが理想的です。英単語は志望校の偏差値に応じたものを利用し、その1冊すべて丸暗記して活用できるまで勉強を重ねていくことができれば、おおよその長文読解の内容は理解できるようになります。
社会科目
基本的に暗記科目が多いため、日本史や世界史に関しては通史の勉強を行って流れで歴史を学んでいくことが必要で、地理や公民に関しては基本的な内容を1つ1つ覚えていくことが大切です。ただ社会系に関しては高2から始めている人たちもそこまで熱心にやっているとは言い難く、高3夏に本格的に社会の勉強を始める人もいます。ですので、覚えるべきことを覚えていけば、社会に関してはすぐ追いつける可能性があります。
理科科目
理科系は科目によって性質が異なるため、アプローチ方法も変化しますが、基本的には基礎的な内容を徹底して勉強し、物理基礎や化学基礎などから始めていくのがいいでしょう。段階を経て勉強を行うことで知識が定着しやすくなるからです。そして、1科目だけを受ける人は、得点になりそうな科目を吟味して絞った上で勉強を始めるのが効率的です。
高3の受験勉強で失敗しないコツとは?
失敗が許されない高3の受験勉強、失敗しないコツについて解説します。
実力以上の参考書に挑もうとする
焦り過ぎて基礎固めをしないで演習問題に取り組んだり、偏差値的に明らかに不相応な参考書を使ったりして混乱する人も出てきます。もちろん時間はありませんが、基礎を固めないことには発展的な問題を解くことは非常に難しいです。まずは基礎を固めること、今の実力に見合った参考書を使うことが求められます。
睡眠時間を削らない
猛勉強を行ってリカバリーをすること自体はやらなければいけないことですが、睡眠時間を削って確保するやり方はおすすめできません。生活リズムが崩れやすく、睡眠不足が蓄積して身体的精神的な不調につながりやすくなります。考え方としては今まで部活に費やしてきたものを丸々勉強に置き換えながら、無駄な時間を見つけて確保していくのが理想的です。これなら睡眠時間を確保しながら勉強時間を作り出すことができるでしょう。
志望校はできるだけ変えない
直前になって猛勉強をし始めていることへの焦りは本人が強く感じているはずです。すると、高い目標を掲げたのはいいけど達成できるのだろうかという不安に襲われるでしょう。また猛勉強を重ねても結果につながりにくい時期もあり、弱気になって志望校のレベルを落とそうとする人もいますが、これは失敗の原因です。必死に頑張れば届くかもしれない目標に挑むからこそそれに近い結果を出せるのであって、簡単にハードルを下げれば相応の結果になります。多少高くても必死に頑張ることでモチベーションは維持されます。
高3の受験勉強のスケジュールとは?
高3の受験勉強のスケジュールはどんな組み立て方にすればいいのか、解説します。
春
春はまだ部活動で引退をしていない時期なので、スケジュール的にはこれまでのモノとあまり変わりません。ただこの時期からスキマ時間をうまく見つけ、ムダな時間を省いて勉強時間をできるだけ多く確保しましょう。これまで平日は2時間程度の勉強時間に設定していた人も多いでしょうが、3時間確保できるようにするのがおすすめです。基礎固めに多くの時間を割くのがいいでしょう。
夏
夏になって部活動を引退したら部活動に割いていた時間を丸々勉強に充てるようにしましょう。これだけで高1や高2の勉強時間の倍は稼げるようになります。加えて無駄な時間を削っていく中で捻出できた時間と合わせれば、4時間以上作りだすことも可能です。夏休みに入れば、学校に割いていた時間も丸々使えるので、10時間以上は普通に勉強できます。夏までに基礎固めを終わらせ演習問題にシフトしていくのが理想形です。
秋
秋になると本格的な受験勉強に入るため、プライベートの時間は最小限にして取り組むことが求められ、周囲もそれを期待します。また時間帯別にやることを変えるのもおすすめで、家に帰ってから始める勉強はモチベーションが出やすい得意科目にする、寝る前に行うのは暗記科目など、時間帯別に内容を変えていくことでうまく頭を切り替えながら高いモチベーションで行っていくことができます。
冬
冬になると学校の授業が終わり、自習に切り替わるケースも出てきます。それだけ多くの時間に使えますが、この時期はとにかく演習問題、過去問がメインになるので、本番と同じような時間設定で取り組むのもいいでしょう。この時期になると受験生ほぼ全員必死に勉強するのでここで差がつくことは少ないです。ゆえに春や夏のスケジュールが非常に重要な意味を持ちます。
高3の受験勉強のスケジュールを組む際のコツとは?
受験勉強のスケジュールを組むことに対してはちょっとしたコツがありますので、ご紹介します。
休憩時間と勉強時間はセットで考える
断続的に3時間も4時間も勉強することは脳的にはあまりおすすめとは言い難く、集中力も実際そこまでは続きません。高校の授業と同じく50分勉強を行って10分休憩、それを2セットやったら30分休憩というような仕組みで重ねていくと、50分2セットで何を勉強すればいいかを考えられますし、例えば1セットだけ別の科目を行うこともできます。この方がモチベーションが保ちやすく、何をどれだけやるべきかが明確で、オンとオフもはっきりと分けられるのでおすすめです。ダラダラと勉強するのではなく、意味のある勉強を行えるようにスケジュールを組むことも大切です。
多少遅れてもまとまった休みで取り返せばいい
スケジュールを組んだとしても、その通りに事が運ぶ可能性は少なく、むしろ遅れるのが普通になります。基礎固めに時間がかかり、理解もすぐには深まらないからです。慌てて勉強時間を増やして対応しようにも他のスケジュールにしわ寄せが来ます。ですので、多少遅れても気にせず、決まったスケジュール、時間で進めていき、夏休みなどで一気に取り返すようにしましょう。そうすると無駄な負担がかからずに済みます。
まずは数日単位でスケジュールを決める
これまでほとんど勉強をしてこなかった人が、いきなり10時間勉強する!とぶち上げたところでその通りに行かないのがオチです。無駄な時間を削るとしてもどこを削っても問題なさそうなのか、仮のスケジュールを組んでみて実践し、その中で本当に削れる部分、削ってはいけない部分を見極めていきます。こうして現実的なスケジュールが立てられるようになります。計画を立てる際にもこの考えがかなり役に立ちます。
高3の受験勉強はどれくらいの時間やればよい?
高3になってから受験勉強に挑む際に、どれくらいの時間を費やせばいいのか、解説します。
平日の理想的な勉強時間
部活動を引退するまではだいたい3時間、4時間が理想的です。これ以上勉強しようとなれば睡眠時間を削ることになるからです。スキマ時間を見つけたり早寝早起きを心がけて朝に勉強をしたり、やれることはたくさんありますが、部活動を引退するまでは3時間ないし4時間でいいでしょう。部活動を引退したら部活動の時間を丸々勉強時間に上乗せすると、結構な時間が確保できます。
土日の理想的な勉強時間
土日も部活動があれば4時間程度が理想的ですが、学校がない分、多少ゆとりが出る場合もあるため、できれば5時間、6時間まで重ねられるのがいいでしょう。睡眠時間を削ってまで捻出する必要はありませんが、4時間から6時間を目安に考えてみるといいですし、部活動が終われば10時間近くまで一気に増やしてみてもいいのではないでしょうか。
長期休暇(夏休み等)の理想的な勉強時間
分かりやすいのは、学校の時間割と同じように勉強時間を組み立てつつ、そこに普段の勉強時間を上乗せするやり方です。だいたい5時間ぐらい学校で授業を受けるので、これに普段の勉強時間を上乗せします。通学の時間なども加味すれば最低でも10時間は勉強できます。学校の時間割と同じ生活スタイルにするとリズムを崩さずに済むので、そのあたりも参考にしてみましょう。
まとめ
高3からの受験勉強は決して遅くなく、必死に取り組めば挽回することは可能です。ただ一刻の猶予もないことは事実であり、できるだけ迷いを捨て、目の前に集中することが条件になっていきます。志望校を決めたら変えずに突き進む、これができるかどうかで成功か失敗かが変わるでしょう。