ソーシャルラーニングとは何か?メリット・デメリットや事例をご紹介

ソーシャルラーニングとは?

ソーシャルラーニングとはどのような学習形態を言うのでしょうか。

ソーシャルラーニングの定義

ソーシャルラーニングとは、ソーシャルメディアを活用した学びのことです。メディア内のコミュニティで教え合うのを特徴とします。

従来の学習は、教える側と教わる側に別れて行うのが一般的でした。しかし、ソーシャルラーニングではそのような役割分担はありません。たとえば、誰かがソーシャルメディア内で質問を投げかければ、同じコミュニティにいる誰かがそれに答えるという、相互的な支援によって学習を行います。社内のノウハウを共有できる学習方法として、さまざまな企業に取り入れられています。

フォーマルラーニングとインフォーマルラーニングとは?

ソーシャルラーニングと関係の深い言葉に、フォーマルラーニングとインフォーマルラーニングがあります。

フォーマルラーニングとは、公的な学習のことです。たとえば、企業研修やセミナーなどで知識や技能を獲得するケースを指します。大抵の場合は講師などの指導的立場の人と、その人から教わる学習者で構成されます。

一方、インフォーマルラーニングとは、公式な学びの場以外で学習することを言います。たとえば、個人的に本を買って勉強したり、友人や同僚と教え合ったりする活動が該当します。必ずしも独学である必要はなく、誰かとともに学習する場合もインフォーマルラーニングに含まれますが、あくまで私的なものであって公的に設けられた学習機会ではありません。

ソーシャルラーニングはインフォーマルラーニングの一種

ソーシャルラーニングは、インフォーマルラーニングの一種です。ソーシャルメディアの中で繰り広げられる教え合いは、個々人の学習意欲によって展開されるものであり、公的に提供されたものではありません。そこでは上司も部下も関係なく、それぞれが自らの気になったことを調べたり誰かに尋ねたりし、知識や技能を深められます。

時には、実際にはまったく対面したことのない人同士がメディア内で交流し、互いに切磋琢磨することもあります。固定的な従来のフォーマルラーニングと比較し、幅広い可能性を備えた学習形態と言えるでしょう。

eラーニングとの違いとは?

eラーニングとソーシャルラーニングの違いは、学習者同士のコミュニケーションの有無にあります。

eラーニングとは、インターネットを利用して教材を配布することで行う教育です。学習者は専用のシステムにアクセスするなどして教材を取得し、それを活用して知識や技能を獲得します。こうした学習者の学習進捗状況は、多くの場合管理者によってシステム上で管理され、時には軌道修正を行いながら、事前に定められたカリキュラムを進めていきます。

したがって、eラーニングはフォーマルラーニングの一種と言えます。学習者と指導者の間には、学習進捗の管理を目的としたコミュニケーションが存在しますが、学習者同士のやり取りは基本的にありません。

一方、ソーシャルラーニングは指導者と学習者という役割分担が存在しません。すべてのやり取りは学習者同士の間で繰り広げられます。誰かから管理を受けることのない自発的な学習形態として、インフォーマルラーニングの一種に該当します。

ソーシャルラーニングで用いられるツール例

ソーシャルラーニングでは、具体的に以下のようなツールが用いられます。

Facebook

20~40代の人が多く利用しているSNSです。世界的に広く使用されているSNSであり、年齢層が前述の通りであることから、ビジネス目的での利用も珍しくありません。

他のSNSと異なるのは、実名での登録が原則となっている点です。そのため、オフラインでの人間関係がそのままFacebookでの人間関係につながります。会社のコミュニティを作成し、ソーシャルラーニングを行うのに適したツールと言えるでしょう。

Twitter

幅広い年代に利用されるSNSです。一度に投稿できる文字数が少ない代わりに、気軽に発言できるのを特徴とします。リツイートによる発言の拡散や、モーメント機能で複数の投稿のまとめることによりノウハウを共有できます。

LINE

現在、老若男女を問わず非常に多くの人に使われているSNSです。グループを作成し、その中で物事を共有できます。個人向けのLINEのほか「LINE for Business」というビジネス向けのものもあります。ソーシャルラーニング目的で利用するならそちらの方が良いかもしれません。

Youtube

動画投稿サイトです。気軽にノウハウを共有するのには向いていませんが、動画形式で伝えることにより、文字や画像だけでは共有しづらいノウハウも共有できます。他のツールと組み合わせて補足的に使用するのが良いでしょう。

社内Wiki

Wikiとは、不特定多数のユーザーが共同で編集して作りあげるWebサイトのことです。Wikipediaというサイトがありますが、これもWikiの形式で構築されているサイトです。

そして、社内Wikiとはその名のとおり、社内で活用するWikiのことです。社員が自由にアクセスし、誰もが編集できます。ソーシャルラーニングの仕組みとして非常に適しており、さまざまな社内Wikiがベンダーから提供されています。

ソーシャルラーニングが注目される背景・理由

ソーシャルラーニングはなぜ注目されるようになったのでしょうか。

ナレッジマネジメントの必要性の向上

ナレッジマネジメントとは、企業が保有している情報を管理し、有効活用する概念を指す言葉です。

1つの企業の中でも、ノウハウが適切に共有されているとは限りません。たとえば、ある営業担当者はトーク術について優れたノウハウを持ちながらも、それがその個人のスキルに留まり、社内で共有されていないことがあります。これでは、企業全体として競争力を高められません。

このような事態を打開するために求められているのがナレッジマネジメントです。社員が持つノウハウや技術、人脈などをITツールを活用することで社内で共有し、企業の資産とします。こうした活動の必要性に対する認識が高まり、ソーシャルラーニングが注目されるようになりました。

IT技術の進歩

どれほどニーズが高まったところで、実現が技術的に難しいのであれば意味がありません。しかし、近年IT技術は日々向上しています。ほとんどの人がモバイルデバイスを持ち歩くようになり、さまざまなITツールを用いて円滑に情報を共有できるようになりました。

このような環境の地盤が、ソーシャルラーニングを促進しました。大掛かりなシステムを用いなくても、スマートフォンでSNSにアクセスし、検索したり投稿したりするだけでノウハウを共有できます。

環境の変化の速さ

現在、生活環境は目まぐるしく変化し続けています。十数年前には考えられなかったことが当たり前になり、またその次の十数年で飛躍的な進歩と遂げるという、急激な変化に晒されているのです。

このような環境では、一度身に付けた技術や知識を一生使い続けることはできません。常に新しい情報を取り入れてアップデートを繰り返す必要があります。そのため、昔よりもノウハウを円滑に共有する仕組みが求められるようになり、ソーシャルラーニングが注目されるようになりました。

ソーシャルラーニングのメリット

続いて、ソーシャルラーニングのメリットを見ていきましょう。

ナレッジマネジメントに役立つ

先述したように、ソーシャルラーニングはナレッジマネジメントに役立ちます。これは、企業側から見た際の大きなメリットと言えるでしょう。

ノウハウの管理を個人に任せていたら、情報が散在してしまいます。しかし、特定のSNSや専用のプラットフォームで情報を共有させておけば、それをノウハウのデータベースとして扱えます。

リアルタイムに学べる

疑問を抱いてからそれを解決できるまでに時間がかかるのはもったいないことです。特に、業務を遂行するうえで必要不可欠な知識がなかなか得られないと、業務が停滞しかねません。

しかし、ソーシャルラーニングならプラットフォームにアクセスすればすぐに情報を得られます。既存のデータとして情報がなくても、気軽に質問できれば短時間で答えを得られるでしょう。個人の業務が捗るとともに、企業全体として業務を円滑化できます。

人間関係が良好になる

知識の共有を通じて、社内の人間関係が良好になる効果も期待できます。

一般的に、人が転職を考える際、今所属している会社に対して人間関係に関する不満を抱いていることが多いとされています。人間関係の悪化は、優秀な人材の流出に直結するのです。これでは企業の競争力を高めることはできません。

しかし、ソーシャルラーニングを通じてコミュニケーションを促進し、良好な人間関係を構築できれば、従業員が会社に定着する可能性が高くなります。普段は接点のない部署や部門の人とも関係を築ければ、思わぬコラボレーションも実現するかもしれません。

ソーシャルラーニングのデメリット

ソーシャルラーニングにはデメリットもあります。

あくまで個人任せ

ソーシャルラーニングはインフォーマルラーニングであるという特性上、会社側で社員の学びをコントロールできません。従業員個人の意欲に委ねられます。そのため、フォーマルラーニングの代わりとして用いるのは困難です。

慣れるまでに時間がかかる

これまでSNSなどを使って情報を共有することに慣れていない人にとってはハードルが高く感じられることがあります。また、そもそも必要を感じず、積極的に利用したいと思わない従業員もいるかもしれません。そのため、導入しても社内に浸透するまでに時間がかかります。

業種によって合わないことがある

たとえば、プログラマのように情報の共有が鍵を握る業種では、ソーシャルラーニングは大きな効果を発揮するでしょう。しかし、接客業のように求められるスキルが固定的でない場合は、あまり役に立たないかもしれません。自社の場合は具体的にどのようなノウハウを共有できそうなのか、想定したうえで導入を検討したほうが良いでしょう。

ソーシャルラーニングの事例

次は、ソーシャルラーニングを導入した事例を2つ紹介します。

SNSを利用した事例

ある建設会社は、ベテラン社員・若手社員間の意思疎通に難を感じていました。若手から、疑問を感じた際にベテラン社員に電話で聞くのが躊躇われるという意見が出てきたのです。相手は今忙しいのではないか、という気遣いが裏目に出て、業務の円滑性が損なわれてしまっていました。

そこで、同社はビジネス版のSNSを導入。若者が使い慣れたツールを使うことで、質問のハードルを下げることに成功。グループでのやり取りはすべての社員が見られるため、分かる人が質問に答えれば良く、問題解決が効率化したといいます。

社内Wikiを導入した事例

求人広告業を手掛けるある企業は、社内Wikiを導入しました。リモートワーク環境下での情報共有を円滑化するためです。

それまではチャットツールなどを用いてコミュニケーションを取っていましたが、古い情報が流れていくというチャットの特性上、長期的な情報共有に不向きでした。また、一部の情報は社内の専用ネットワークでなければアクセスできないなど、リモートワーク環境下では利用が難しかったと言います。

そこで、手軽に使える社内Wikiを導入。高い検索性により、欲しい情報がすぐに見つかるようになったといいます。

ソーシャルラーニングを運用する際の注意点

ソーシャルラーニングは、ツールを導入したからと言ってすぐに浸透するものではありません。では、社内に浸透させるにはどのような工夫が必要なのでしょうか。

盛り上げ役を用意する

まだ他の人が使っていないツールに手を付けるのは躊躇われるものです。興味があっても、ハードルは高く感じられるでしょう。

そこで、まずは盛り上げ役となるような社員を用意し、ツールの利用を促します。普段からコミュニケーション能力に長け、周囲からムードメーカーとして認識されている従業員を抜擢すると良いでしょう。その社員がツールでコミュニティを立ち上げるなどし、他の皆を導く形でやり取りを促進していきましょう。少しずつ使う人が増え、やがて抵抗を感じる人も少なくなるはずです。

情報の蓄積を意識する

ソーシャルラーニングで活発に情報交換が行われるようになれば、ノウハウの共有が円滑化するでしょう。しかし、ただ単発のやり取りとして情報を交換するだけでは、その場しのぎにしかなりません。長期的に企業の利益を考えるなら、情報の蓄積を意識することが大切です。

過去のやり取りをまとめるページを作成したり、社内wikiのように検索性が高いツールを使うと良いでしょう。新しい社員が入ってきた際、改めて誰かが質問に答えなくても、過去の記録を閲覧すれば自力で疑問を解消できるようになります。

まとめ

ソーシャルラーニングは、社員同士が相互に教え合うことで企業全体としてノウハウの共有を円滑化する学習形態です。個々人が持つノウハウを企業の資産とすることで競争力を高められます。適切なツールを選定し、社内への定着を図り、学習を促進しましょう。

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