ゲーミフィケーションとは何か?メリット・デメリットややり方を解説

ゲーミフィケーションとは何か

ゲーミフィケーションとは、ゲームに用いられる手法を他の分野に応用することです。英単語の「gamification」に由来し、日本語では「ゲーム化」と呼ばれることもあります。

ゲームは人を惹きつける魅力をたくさん備えています。勉強や仕事を続けていると苦痛を感じますが、ゲームならばずっと続けていられると感じたことがある人は多いのではないでしょうか。このゲームが持つ魅力を仕事や勉強に応用すれば、高い成果を上げられるのではないか、という考えからゲーミフィケーションという概念が誕生しました。

ゲーミフィケーションの歴史

ゲーミフィケーションという概念が登場する以前から、ゲームの魅力を他の分野に応用しようという考え方そのものは存在しました。たとえば、子どもが夏休みにラジオ体操に参加したら、その成果に応じてスタンプを付与するのは典型例です。成果が目に見えて分かることで、子どもたちのモチベーションは向上します。

しかし、ゲーミフィケーションという言葉が誕生したのは2011年のことです。世界的に有名な米国の調査会社ガートナーがビジネスのトレンドを示す言葉として「ゲーミフィケーション」を使用しました。2015年までには企業の半数がゲーミフィケーションを取り入れると予測を述べ、この発表がゲーミフィケーションという言葉を世界中に知らしめることになりました。

ゲーマータイプの分類方法「バートルテスト」とは?

一口にゲームと言っても、楽しみ方は人それぞれです。一人で世界を冒険することに楽しみを見出す人もいれば、他のプレイヤーとの情緒的な関わり合いに重きを置く人もいます。

誰がどのようなことを重視するのかを把握できれば、それをゲーミフィケーションにも応用できます。たとえば、他プレイヤーとのかかわりを重視する人であれば、仕事でも他者とのコミュニケーションが鍵を握るゲーミフィケーションを導入すると良いでしょう。

そして、どのような要素を重視するタイプなのかを判断するためのテストがバートルテストです。

4種類のゲーマータイプ

バートルテストでは、人を以下の4種類に分類します。

達成者(アチーバー)

ゲーム内で何かを達成することを重視するタイプです。

達成する対象の代表例がレベル上げです。アチーバーは一人でゲームに邁進し、キャラクターを限界まで強化します。装備品の収集やクエストの網羅などにも余念がなく、ゲームに搭載された全ての課題を完遂することに喜びを感じます。

仕事上でもこの個人主義・完璧主義的な側面を活かすことで、大きな成果を上げると考えられます。たとえば、作業をコツコツを遂行して終わらせる必要がある事務仕事などに向いているでしょう。

探検家(エクスプローラー)

アチーバーと同様の個人主義者ですが、新しい物事の発見に大きな喜びを見出す点で異なります。

アチーバーは先述した通り、同じことを繰り返して達成することに喜びを感じます。目新しさは重要ではなく、好奇心は強いほうではありません。

一方、エクスプローラーは同じことを繰り返しているとむしろ飽きてしまうタイプです。反対に、新しいものを見つけ、知識を獲得し、他の人が知らないことを知っている・体験したことがあることに喜びを見出します。

仕事では、研究や分析など、新しい事実を見つける活動が適しているでしょう。

殺人者(キラー)

ここまで紹介したアチーバーとエクスプローラーは個人主義者的傾向の強いタイプでした。それに対し、キラーは他者との関わりを重視するタイプです。

しかし、それは協調的という意味ではありません。むしろ、独立心が強く、他者の誰よりも強くあろうとします。ゲームでは他のプレイヤーを打ち負かし、ランキングで頂点に立つことに喜びを見出します。その意味ではキラーも個人主義的と言え、アチーバーと似たところがあるかもしれません。

ただし、競争相手がいなければ意気消沈してしまいます。常に、他者の中で自分がどのような位置づけにいるのか、自分の順位が何位なのかを気にしているのです。

仕事でも、同期と比べて自分の業績がどうなのか、人事評価ではどのように評価されているのかなどを気にします。営業のように、成果がはっきりと見える職種で高い実力を発揮するタイプと言えるでしょう。

社交家(ソーシャライザー)

他者との関わりを非常に重んじるタイプです。キラーのように競争相手として他者を見るのではなく、協力すべき仲間として認識します。

ゲームではオンラインゲームを好み、他のプレイヤーとチャットなどを通じて交流し、一緒に冒険に出かけたり敵と戦ったりします。あくまで目的は他プレイヤーとの関わりを楽しむことなので、戦いや冒険はそのための手段という位置づけです。そういう意味では、ゲームそのものへの関心はあまり強くないタイプとも言えます。

仕事においてもこの傾向は同じで、周囲の人との協力を重視します。取り組んでいる課題がどのようなものであれ、周囲と適切にコミュニケーションを取り、時には調整役を担いながら、課題の達成まで導いて行きます。人間関係が良好な職場で高い実力を発揮するでしょう。

ゲーミフィケーションの4つの要素とは?

ゲーミフィケーションはゲームの要素をゲーム以外の分野に応用することであると紹介しました。では、その「ゲームの要素」とは具体的にどのようなものをいうのでしょうか。代表的な要素を4つ紹介します。

目的

ゲームでは必ずと言ってよいほど目的が明示されます。たとえば、RPGでは多くの場合、世界を支配する魔王のような悪役の討伐が目的です。目的が明確化されることで行動の方針が明確になり、迷いがなくなります。

仕事や勉強でも、目的を明確化することでモチベーションが向上します。勉強なら、漫然と知識を獲得するのではなく、資格試験での合格を目標にすると良いでしょう。仕事では、営業であれば目標売上の達成など数値化できる目標にするのが有効です。

報酬

ただ目標があるだけではやる気に火が付かないかもしれません。そこで活用したいのが報酬です。

ゲームでは目標を達成するとすぐに報酬が得られるようになっています。モンスターを倒したりクエストをクリアしたりすると、経験値やアイテムを獲得できます。仕事や勉強でも、報酬があった方が高いモチベーションを維持しやすくなるでしょう。

企業の中には、一定の成果を出した社員にポイントを付与し、そのポイントに応じて景品を与えたり、給与に反映したりする仕組みを整備しているところも存在します。課題の難易度や達成度に合わせて適切な報酬を用意することで意欲を引き出しましょう。

可視化

自分がどのような状況に身を置いているのかを把握できるのも重要な要素です。ゲームでは、キャラクターの能力をステータス画面で閲覧したり、クエストの進捗状況を一目で確認したりできます。このように自分の立ち位置が明確になれば、ゴールまでの距離も目に見えて分かるので、モチベーションを維持しやすいのです。

会社では、営業の予算と現状の達成度をグラフにするなどすると良いでしょう。また、ランキング形式で社員の成績を可視化し、競争を促すのも効果的です。特に、前述したキラーやアチーバーには高い効果を発揮するでしょう。

交流

人は誰しも承認欲求を持っています。同じ成果を出しても、それを他者に認められるのとそうでないのでは、達成感がまったく異なるものです。特に、キラーやソーシャライザーのようなタイプは、他者との交流があった方がモチベーションを維持できます。

そのため、気軽に交流できる環境を整備することも大切です。会社では、社内SNSなどを介してコミュニケーションを取れるようにしておくと良いでしょう。

ゲーミフィケーションのメリット

ゲーミフィケーションを導入するとどのようなメリットが得られるのでしょうか。

楽しみながら成果を出せる

努力には苦痛が伴うというのが常識になっていますが、できれば楽しみながら成果を出したいものです。ゲーミフィケーションは、課題にゲーム要素を取り入れることでそれを実現するための試みと言えます。

明確な目標設定や適切な報酬があれば、達成感や充実感を感じながら努力に邁進できます。努力を努力と思うことなく、知らず知らずのうちに成長できるでしょう。

主体性を養える

ゲームが楽しい理由の一つに主体性があります。誰かにやらされているのではなく、自分の意思でやっているからこそ面白いのです。たとえゲームであっても、学校からの宿題として出されたらきっと面白くないでしょう。

ゲーミフィケーションを取り入れて社員や学習者の意欲を引き出せれば、主体性を養うこともできます。やがては、ゲーミフィケーションに頼らなくても自ら率先して動けるようになるかもしれません。

飽きにくい

同じことを繰り返していると人は飽きてしまいます。しかし、飽きてやめてしまえば成長は望めません。学習には反復が欠かせないからです。

その点、ゲーミフィケーションを取り入れれば飽きを防げます。他者との交流や報酬など、目新しいものを常に用意しておけば好奇心をそそられ、努力を継続しやすくなります。

ゲーミフィケーションのデメリット

ゲーミフィケーションにあるのはメリットばかりではありません。以下のデメリットもあります。

逆効果になることがある

ゲームをやっていて、つまらないと感じたことはありませんか。残念ながら、世の中にあるすべてのゲームが面白いわけではありません。

あるいは、ゲーム自体の品質がどれほど良くても、好みによって面白く感じられないことがあります。たとえば、他者との協力や競争を何よりも重視する人にとって、オフラインゲームはきっと面白くないでしょう。

面白く感じられない場合、ゲーミフィケーションはかえって逆効果をもたらします。面白くない要素が余計に加わったせいで煩雑に感じられ、モチベーションが低下するのです。

導入に手間や費用がかかる

当然ながら、新しい仕組みを導入しようとすると手間や費用がかかります。たとえば、ゲーミフィケーションにおいて重要な「可視化」の要素を取り入れようとすると、社員や学習者の状況を収集し、反映できるようなシステムが必要になります。また、報酬によってモチベーションを引き出す場合、成果に応じた報酬を常に用意しなければならず、予想外の出費になる可能性もあります。ゲーミフィケーションをうまく成果に結び付けられなければ、かえって費用や手間のほうが大きくなってしまうかもしれません。

本来の目的意識の希薄化

たとえば、営業においてランキング形式で社員の獲得案件数や売上を表示し、競争心を煽れば一定のモチベーション向上効果が得られるかもしれません。しかし、そもそも営業活動の目的は同僚に対して自らの優秀さを誇示することではなく、案件の獲得を通じて企業に利益をもたらすことです。もっと言えば、顧客に対してサービスや商品を提供することが真の価値であるとも言えます。

これは勉強においても同じことです。報酬を用意して学習者の意欲を引き出しても良いですが、これでは勉強することそのものの意義や楽しみを感じられません。本来の目的意識が希薄化し、活動が報酬を得るための手段になってしまうのです。

これでは、報酬に興味を失った途端、やる気を喪失することになりかねません。また、やがては競争や報酬の獲得に食傷する可能性もあります。

ゲーミフィケーションのやり方・活用方法

ゲーミフィケーションはどのように活用すれば良いのでしょうか。

仕事

まず目標を設定するところから始めましょう。これは部門によって異なってくるはずです。たとえば、営業であれば獲得案件数や売上、事務であれば処理すべき書類の数などを目標としましょう。

そして、自分の達成度が今どのくらいなのかを把握できる仕組みを用意します。日報からデータを収集し、全員が閲覧できるシステム上でグラフ化するなどの方法があります。できるだけ早くシステム上に反映することでフィードバックの速度を高めれば、より高い効果が期待できます。

最後に、業績に応じた報酬を設定しましょう。高い成果を上げた人を表彰したり、何らかの景品などを与えたりすることでモチベーションを引き出します。

あとは、上記のサイクルを繰り返していきましょう。

勉強

主な流れは仕事の場合と同じで、次のサイクルを繰り返すことになります。

まずは目標を設定します。多くの場合はテストで一定の点数を獲得することが目標になるでしょう。

達成度は、教材の進捗状況や確認用の小テストなどを通じて可視化します。グラフなどで目に見える形で表示すればやる気を維持しやすくなります。

学習者が興味を持てる内容のものを用意しましょう。ポイントやスタンプ等、具体的な利益につながるものでなくても報酬になることがあります。子どもの場合は特に、物品のような形あるものよりも、頑張りが認められたり友達とともに成長する喜びを感じられたりする報酬が理想的です。

ゲーミフィケーションを行う上での気を付けるべきポイントとは?

ゲーミフィケーションにおいて対象者のやる気を大きく左右する要素が、課題の難易度です。これにはかなり繊細な気配りが必要で、難易度を間違えると急激な意欲低下を招くことがあります。

簡単すぎる課題は、やる気を引き出しません。すぐに興味が失われることになります。反対に、高すぎる難易度も不適切です。高い壁を前にしり込みしてしまううえ、せっかく挑戦してもなかなか達成できず、フラストレーションばかりが溜まることになります。

ある程度の努力が必要な反面、その努力を行えばクリアできる難易度が理想的です。そして、これは対象者によって異なります。一人ひとりの力量を見極めたうえで適切な難易度の課題を設定する必要があり、管理者にとっては大きな負担になることもあります。

ゲーミフィケーションの事例3選

ゲーミフィケーションは具体的にどのように活用されているのでしょうか。事例を3つ紹介します。

くら寿司のビッくらポン

大手回転ずしチェーン店のくら寿司は、顧客の購買意欲を引き出すために、ビッくらポンという仕組みを導入しています。これは、お寿司を5皿分食べるたびに1回ガチャガチャに挑戦できる仕組みです。

皿の数は注文用タッチパネルで可視化され、顧客は常に自分の食べた皿数を把握できます。専用の投入口に皿を入れると、すぐにそれがタッチパネルに反映されて表示されるのです。そして、投入数が5の倍数になるとゲームが始まり、ガチャガチャに挑戦できます。

これは「状況の可視化」「目標の明確化」というゲーミフィケーションの要素をうまく活用した事例です。顧客は「あと1皿食べればガチャができる」という風に現状と目標を比較し、購買意欲を引き出されることになります。

四谷学院の55段階個別指導

大手予備校の四谷学院は、55段階個別指導という仕組みを導入しています。これは受験に必要な知識や能力を55段階に並べ、その達成度に応じて生徒を分類する仕組みです。生徒が課題に取り組むとその場で採点され、クリアすると表にハンコが押されて次の段階に昇れます。

この仕組みは、ハンコという報酬や目に見えて進捗が分かる可視化、またゲームの特徴の1つである迅速なフィードバックを活用した事例です。生徒は常に自分の実力を把握し、それを高められている実感を抱きながら新しい課題に挑めます。

Progateのプログラミング学習

Progateはプログラミング学習のオンラインサービスです。学習の進捗度がキャラクターのステータスとして表示されます。

まるでキャラクターのレベル上げのような、非常にゲームらしい仕組みで、自らの成長を実感しながら課題に取り組めます。オンライン上の学習サービスという、ゲームと相性の良い媒体に上手くゲーミフィケーションを取り入れた事例と言えるでしょう。

ゲーミフィケーションを活用したアプリ3選

最後に、ゲーミフィケーションを活用したアプリを3つ紹介します。

Duolingo

英語の学習をゲーミフィケーションで行えるアプリです。レベルやスキルなど、ゲームのキャラクターを育てるような感覚で学習できます。

Apple:https://apps.apple.com/jp/app/duolingo-%E8%8B%B1%E8%AA%9E-%E9%9F%93%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%84%E5%8D%98%E8%AA%9E%E3%81%AE%E7%B7%B4%E7%BF%92/id570060128 Google:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.duolingo&hl=ja&gl=US

やる気が上がるToDoアプリ-LvUP

勉強やダイエットに活用できる、iPhone向けタスク管理アプリです。レベルアップやグラフなど進捗状況を確認できる機能が魅力です。

Apple:https://apps.apple.com/jp/app/%E3%82%84%E3%82%8B%E6%B0%97%E3%81%8C%E4%B8%8A%E3%81%8C%E3%82%8Btodo%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AA-lvup-%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%84%E5%8B%89%E5%BC%B7%E3%81%AE%E3%82%84%E3%82%8B%E6%B0%97%E3%82%92%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%82%8B%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E7%AE%A1%E7%90%86%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AA/id523946175

国語海賊~小学漢字の海~

小学生向け漢字学習アプリです。カラフルなデザインやコレクション要素など、子どもを惹きつけるゲーム要素が取り入れられています。

Apple:https://apps.apple.com/jp/app/id1527202558 Google:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.fantamstick.japirate

まとめ

ゲームは多くの人にとって身近な娯楽品となりました。これほどまでに普及したのは、ゲームが人を惹きつける特徴を多く備えているからです。その特徴を学習や仕事に応用すれば、楽しみながら成果を出せるようになるかもしれません。対象者や課題に合わせて上手にゲーミフィケーションを取り入れましょう。

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