地理の勉強法と共通テスト対策|参考書も解説
社会系科目の中で暗記量が少ないとされるのが地理です。
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地理は系統地理を理論で理解してから地誌に進み、演習で資料問題に慣れる順番が基本です。丸暗記ではなく、気候や地形から理由を説明できる状態を目指します。地図帳とデータブックを手元に置き、間違えるたびに調べ直す習慣が得点を安定させます。
2026年9月時点の情報です。
地理の特徴
地理は社会系科目の中で暗記量が少ないとされる一方、地図から読み取る問題のように思考力を問う出題が以前から多い科目です。初見でもやれそうでやれない、という点が特徴の1つです。
地理の分野は「系統地理」と「地誌」の2つ
地理の分野は大きく2つに分かれます。1つは「系統地理」、もう1つは「地誌」です。
- 系統地理:地形や天候、それに関連する産業などを分野別に学ぶ。人口や都市問題なども扱い、範囲が広い
- 地誌:地形や天候などをエリアごと、大陸ごとに学ぶ
100%暗記科目ではない
地理はすべてを暗記して点数を稼ぐ科目ではありません。系統地理の項目や範囲だけで膨大にあり、世界全体の事柄を暗記するのは非効率で、非常に困難です。
気候や地形など覚えるべきことは当然あります。ただし、気候や地形からそれなりに類推できる事柄も多い科目です。要所を覚えたうえで、その知識を活用したり関連知識を広げたりする進め方が向いています。
2022年度から高校で必修に
これまで地歴科目では世界史が必修で、日本史と地理は選択履修でした。2022年度からは地理が「地理総合」として必修化されています。日本史と地理なら日本史を選ぶ人が多かった状況だったため、必修化によって地理を受験科目にする学生が増えることが予想されます。近現代史を中心に扱う「歴史総合」も導入されており、地歴科目は大きく変わりつつあります。
地理の勉強法とは?
地理の勉強は、系統地理のインプットから始めて演習と復習を往復させる形が基本です。ここでは流れとコツを整理します。
地理の勉強の流れを5ステップで解説
1. 講義形式の参考書で系統地理から学ぶ
地理は系統地理から学び、その後に地誌へ進むのが基本です。系統地理が地理における基礎体力にあたり、地誌の理解がその上に積み上がるためです。講義形式の参考書で1つずつ分野を確認し、要所として押さえるべき場所をチェックします。
2. 覚えるべき用語を暗記していく
系統地理を学ぶと、覚えるべき用語や考え方が出てきます。たとえば「ケッペンの気候区分」は地理を学ぶうえでの最重要ワードであり、最重要知識です。気候区分は13種類あり、この区分はどこに多いのかまで押さえます。ここが曖昧だと、系統地理だけでなく地誌に入っても理解が進みません。
3. 演習問題を解いて知識の定着を確認する
系統地理の知識や考え方を学習したら、演習問題で定着を確認します。暗記した内容が使える状態になっているかを見る段階です。
4. 解説を読んで解き方を学ぶ
演習問題を解くと正解・不正解に目が向きがちですが、重要なのはそこではありません。解説を読み、どのように解けばよかったのか、どう答えを導けばよかったのかを理解します。解き方が分かれば、次に解く際に明確な根拠を持って選べるようになります。
5. インプットとアウトプットを繰り返して単元をこなす
間違えた部分を改めてインプットし、次に解く際に間違えないようにします。演習を解く、間違えたら解説を読み込む、再び暗記する。この作業を繰り返して1つずつ単元をこなし、地誌へつなげていきます。
地理の勉強のコツ
暗記より前に理論で学ぶ
「ケッペンの気候区分」を闇雲に地図帳を見ながら暗記しようとするのは、非常に大変で効率的ではありません。1つずつ理論で覚えていくと、このエリアはだいたいこの気候だ、という見当がつくようになります。
たとえば日本は温暖湿潤気候ですが、同じような緯度で海に面している地域は温暖湿潤気候であることが多いです。暖流が流れている近くは雨が降りやすいという特徴もあります。講義形式の参考書で理論立てて中身をつかめば、無理に暗記しなくても内容を理解できます。理論で押さえておくと、入試で初見の資料や地図が出ても対応できます。
何度も復習を行う
理論で内容を把握しつつも、暗記は必要です。暗記をスムーズに進めるには反復しかありません。演習問題を何度も解く、一問一答形式(用語を一問ずつ答える短答形式の問題集)を何回もこなすなど、繰り返しが知識の定着につながります。内容を理解したうえでの暗記なら、そう簡単には抜け落ちません。
地図帳やデータブックを常に携帯する
入試では多様なグラフが出て、無数のデータを目にします。作物のグラフ、降水量と気温のグラフなど、さまざまな国のものが登場します。資料問題で分からないことや間違えた問題があれば、地図帳やデータブックで調べ、常に確認する癖をつけましょう。携帯して調べることを繰り返すうちに、国名と場所の把握も進みます。
よくある間違い:答え合わせで正誤だけを確認して終える
最も多いつまずきは、演習の答え合わせで○×だけ付けて次に進むことです。地理は選択肢を絞る根拠が勝負の科目なので、正解しても根拠が曖昧なら次に同じ形式で落とします。回避策は、解説を読んだあとに「どの資料のどこを見れば決まったのか」を一言で書き出し、日を空けて同じ問題を根拠付きで解き直すことです。
共通テスト地理の対策・勉強法
共通テスト(1月に全国一斉で実施される大学入試の共通試験)の地理は、資料読み取りの比重が高い試験です。出題分野ごとに対策を組むと効率が上がります。
共通テスト地理の特徴
毎年同じような大問構成
2021年の共通テストでは大問が1つ減って5つになりました。問題数も減り、1問あたりの重要性が増しています。2017年から2021年にかけて、大問構成は同じような形で推移しています。
| 大問 | 出題分野 |
|---|---|
| 1 | 世界の自然環境 |
| 2 | 資源と産業 |
| 3 | 都市・生活文化 |
| 4 | 世界の国々 |
| 5 | 日本の地理 |
ある年はスペインとドイツ、ある年はウクライナとウズベキスタンというように、取り上げられる地域はバラバラです。日本の地理も同様です。大問が1つ減ったのは世界の国々に関する分野で、元々2つあったものが1つになりました。構成が同じということは、その分野が出やすいことを意味します。分野ごとに対策を進めましょう。
暗記だけでは太刀打ちできない
共通テストでは丸暗記だけでは対応できません。思考力や表現力を問う問題が出題されるためです。2021年度はセンター試験から共通テストに切り替わった初年度のため、それまでの傾向を残しつつ、新しい形式が挟まれました。地理はもともと思考力を問う問題が多く、その傾向がさらに強まっています。暗記は効果的に使えば大きな力になりますが、すべてを暗記に頼るのは共通テストでは悪手です。
資料問題が多い
2021年度の地理では多くの資料が登場し、問題数が減ったにもかかわらず1問にかける時間が足りなくなるケースが多く見られました。資料問題は時間を圧迫します。資料から読み解く作業が必要で、初見の内容が多いためです。地図帳やデータブック、教科書や参考書で資料に目を通すだけでなく、演習問題で積極的に資料問題に触れておきましょう。
共通テスト地理の勉強のコツ
系統地理を重点的に押さえる
共通テストでは系統地理がさまざまな分野でムラなく使われます。深いところまで学習し、内容理解を心がけましょう。系統地理は丸暗記するものではなく、流れをつかめば理解力が増し、想像力が働くようになります。なぜこの作物はこの地域で多いのかを理論立てて説明できれば、思考力を問う問題にも向き合えます。
問題演習で慣れる
一問一答だけで点数を稼ぐことが難しい地理では、資料問題など新形式に触れるしかありません。解けなかった場合は、インプットが足りなかったのか、解き方が分かっていなかったのかを解説から判断します。知識不足なら暗記を徹底し、解き方の不足なら問題を解いて解説から型を学びます。
時間を意識して過去問を解く
資料問題が多い地理では、1問あたりにかけられる時間に余裕がありません。1つの問題を2分で解くにしても、ギリギリで解けるのか余裕を残せるのかで大きく違います。時間を意識しすぎて焦る人もいますが、結局は経験の有無の問題です。模試でも時間を意識して解き、少しでも余れば見直しに回しましょう。
共通テスト地理は教科書だけで学習可能?
地理の出題範囲は教科書に載っているものが大多数で、教科書重視の勉強は決して悪いことではありません。一方で、講義形式の参考書は教科書より分かりやすく、親しみやすい文体で取り込みやすいことがよくあります。教科書に加えて参考書を活用するほうが、効率はよいと言えます。
共通テスト地理対策におすすめの参考書
| 参考書 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 村瀬のゼロからわかる地理B | 丁寧な説明と図・イラストで理解しやすい。系統地理編と地誌編に分かれる | 地理が苦手な人から極めたい人まで |
| 地理B 統計・データの読み方が面白いほどわかる本 | 統計やデータの例題と解くポイントを紹介。何をどう読み取るかまで確認できる | 資料問題・新形式に備えたい人 |
| 大学入試共通テスト地理B集中講義 | インプットとアウトプットが1冊で行える。重要項目を絞った予想問題を収録 | 基礎を固めて一段上げたい人 |
村瀬のゼロからわかる地理Bは、共通テストだけでなく私大入試で地理を使う人にも欠かせない1冊です。地理B 統計・データの読み方が面白いほどわかる本は、読み取りに必要な視点まで整理できます。大学入試共通テスト地理B集中講義は内容がコンパクトで、効率的な学習に適しています。
地理の論述対策について
論述は、知識を素早く引き出して制限字数にまとめる練習が中心になります。私大や国立二次(共通テスト後に各大学が個別に課す試験)で地理を使う場合に必要です。
論述のポイント
国立二次の論述は大学によって性格が分かれます。問題数が多い大学では、始まってすぐ答案を書き始めないと厳しいこともあります。字数制限が厳しく、意味が伝わるように要約するのが難しい場合もあります。
大阪大学で出題された地理の問題では、難民にまつわるテーマで150字や200字の設問がいきなり3題続きました。すべてが論述のため、素早く知識を引っ張り出し、適した文章にまとめる作業が求められます。
すべての大学がこのパターンではありません。私大は国立二次に比べて論述問題が少ない傾向ですが、資料を見て問題文に沿った解答を瞬時に考えるには、それ相応の演習量が必要です。
地理の論述におすすめの参考書
| 参考書 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 地理の研究 | 解説が非常に詳しく、地理の参考書の中でもトップクラスとされる | 東京大学で地理を選択する人、調べ物の軸がほしい人 |
| 実力をつける地理100題 | 早慶や東京大学などの論述問題を中心に100題を収録。ジャンル別に演習できる | 難関大の論述対策、苦手分野の克服 |
地理の研究は、演習で分からないことが出てもすぐ調べられるため、内容理解が進みます。実力をつける地理100題は、解き方や必要な知識に加えて付随情報も得られます。
地理の学習計画について
地理は高3の4月から徐々に始め、夏までに系統地理の基礎を固める流れが理想です。
勉強はいつから始めればよい?
共通テストでしか地理を使わない場合、高3の夏からでも間に合うと紹介しているサイトが少なからずあります。覚えるべきことが少なく要所を押さえれば、夏からでも間に合わないわけではありません。
ただし、できれば高3に入ってから学習を始めるのが理想的です。夏場までに基礎固めを終え、系統地理の全分野をある程度網羅できると安心です。国立二次や私大入試でも使うなら論述の練習も必要になるため、高3の4月から徐々に始めましょう。それまでは、学校の授業がある場合に定期テスト対策の中で基礎固めに励みます。
地理の勉強計画のポイント
| 時期 | やること |
|---|---|
| 開始から最初の1か月 | 系統地理のインプットに徹する |
| 夏から秋 | 演習問題で定着率を高める |
| ラスト2か月(高3の12月から) | 過去問・想定問題を解き込む |
最初の1か月は、基礎固め用の参考書で系統地理の理解を深め、流れをつかみ、必要な知識を暗記します。知識がないままでは思考力を高めようがなく、演習を解いても手がかりがありません。まずインプットに徹し、そこから徐々にアウトプットへ移ります。
夏から秋は、系統地理と地誌のインプットを終えて演習で知識を固めます。最初は忘れていることも多いはずですが、演習と再インプットを繰り返せば抜け落ちが減り、ムラもなくなります。分野別に定着を進めると苦手が減り、模試の点数につながればさらに集中して取り組めます。
ラスト2か月は過去問と想定問題です。高3の12月から始めれば、点数が安定してきた時期にテストシーズンへ入れます。解説をしっかり読み、答えの導き方や資料の読み取り方を学びます。
理科や他科目との並行の組み方に迷う場合は、【生物の勉強法】おすすめ参考書や試験対策をご紹介も参考になります。受験校の組み方で地理の使いどころを決めたいときは、大学受験って何校まで併願可能?選ぶ際の注意点も解説を確認しておくと計画を立てやすくなります。
FAST-UPが見てきた地理のつまずきどころ
指導現場で多いのは、地誌の暗記から入って手が止まるケースです。系統地理の理屈が入っていない状態で国名と産物を結び付けようとすると、覚える量だけが増えて記憶が続きません。逆に、気候や地形の成り立ちを説明できる生徒は、初見の国が出ても見当をつけて選択肢を絞れます。
もう1つ目立つのが、資料問題で時間配分が崩れる形です。読み取りに時間をかけすぎて後半を急ぐと、本来解ける問題を落とします。普段の演習から1問にかける時間を決めて解く習慣があるかどうかで、本番の崩れ方が変わります。
模試の見直しが「正解の確認」で止まっている生徒も多く見られます。どの資料のどこに着目したかまで振り返る生徒ほど、同じ形式の問題で再現性が出てきます。
よくある質問
Q. 地理は暗記科目ですか。 A. 完全な暗記科目ではありません。気候や地形など覚えるべき知識はありますが、理屈から類推できる事柄が多い科目です。理論で理解したうえで、要所を暗記する進め方が効率的です。
Q. 系統地理と地誌はどちらから始めるべきですか。 A. 系統地理からです。系統地理は地理の基礎体力にあたり、地誌の内容はその理解の上に積み上がります。系統地理を一通り押さえてから地誌へ進みましょう。
Q. 共通テスト地理は教科書だけで対策できますか。 A. 出題範囲の大多数は教科書に載っているため、教科書中心の学習は有効です。ただし講義形式の参考書のほうが分かりやすく取り込みやすい場合が多く、併用したほうが効率は上がります。
Q. 地理の勉強はいつから始めれば間に合いますか。 A. 共通テストのみで使う場合は高3の夏からでも間に合わないわけではありません。理想は高3の4月開始で、夏までに系統地理の基礎を固める形です。論述が必要なら早めに着手します。
まとめ
世界史や日本史は暗記を重ねるほど安定しやすい科目と言われますが、地理は資料問題に左右されるため調子の良し悪しが出やすく、勉強量のわりに成績が今ひとつということも起こります。
それを防ぐには、多くの資料問題に触れて苦手を知ること、どんなときにパニックになるのか自分の癖を自覚することです。「敵は己の中にあり」という言葉の通り、ここを整理できればライバルと差をつけるチャンスになります。


