慶應義塾大学に浪人差別はある?浪人率を学部別に解説
全国的に知られている大学であり、早稲田大学と並んで学生たちの憧れと…
FAST-UP
慶應義塾大学の入試で、浪人を理由に減点するといった扱いは報道も含めて確認されていません。一方で合格者に占める現役生の割合は近年高まっており、浪人が有利に働くとは言えません。学部によって浪人率の傾向は大きく異なります。
2026年9月時点の情報です。
以下では、早稲田大学との浪人率の比較、学部別の現役率・浪人率の推移、浪人のデメリットと言われる点、浪人生差別のうわさの中身を順に整理します。
慶應義塾大学と早稲田大学の浪人率を比較
合格者に占める現役生の割合は、慶應義塾大学より早稲田大学の方が高く出ています。まずは合格者数と現役率、浪人率の比較です。
| 合格者数 | 現役率 | 浪人率 | |
|---|---|---|---|
| 慶應義塾大学 | 9,975人 | 67.2% | 1浪:29.0%<br>2浪以上:3.8% |
| 早稲田大学 | 13,038人 | 75.4% | 24.1% |
慶應の方が現役率が低く、早稲田の方が現役合格をしやすいことがわかります。次に、過去5年間の推移を見ます。
慶應義塾大学の過去5年間の推移
| 慶應義塾大学 | 合格者数 | 現役率 | 浪人率 |
|---|---|---|---|
| 2018年度 | 8,817人 | 61.3% | 1浪:35.0%<br>2浪:3.7% |
| 2019年度 | 8,797人 | 59.8% | 1浪:36.1%<br>2浪:4.0% |
| 2020年度 | 8,590人 | 62.1% | 1浪:33.6%<br>2浪:4.3% |
| 2021年度 | 9,237人 | 64.5% | 1浪:31.6%<br>2浪:3.9% |
| 2022年度 | 9,975人 | 67.2% | 1浪:29.0%<br>2浪:3.8% |
1浪して慶應に合格する学生の割合は年々下がり、現役率は上昇しています。67.2%という数字は過去20年を見ても過去最高となっており、浪人はそこまで有利ではない可能性があります。2浪以上の割合には大きな変化は見られません。(参照:代々木ゼミナール)
早稲田大学の過去5年間の推移
| 早稲田大学 | 合格者数 | 現役率 | 浪人率 |
|---|---|---|---|
| 2018年度 | 11,481人 | 67.6% | 31.7% |
| 2019年度 | 11,134人 | 65.7% | 33.9% |
| 2020年度 | 11,527人 | 68.3% | 31.1% |
| 2021年度 | 12,753人 | 73.0% | 26.5% |
| 2022年度 | 13,038人 | 75.4% | 24.1% |
早稲田大学も現役率が年々上昇しています。20年ほど前は現役率と浪人率が半々だった時期があった中で、現在は大きな差になっています。志願者の割合で見ても、20年ほど前は浪人生の方が多かった時期がある一方、明らかに浪人生が減っています。(参照:代々木ゼミナール)
学部別の浪人率
浪人率の傾向は学部ごとに差があります。理系学部で浪人の割合が高く、看護医療学部では現役の割合が高いという形です。以下で学部別に過去5年の数字を確認します。
文学部
| 文学部 | 合格者数 | 現役率 | 浪人率 |
|---|---|---|---|
| 2018年度 | 1,023人 | 61.5% | 1浪:34.0%<br>2浪:4.5% |
| 2019年度 | 1,033人 | 62.7% | 1浪:32.3%<br>2浪:4.9% |
| 2020年度 | 1,022人 | 63.6% | 1浪:31.8%<br>2浪:4.6% |
| 2021年度 | 1,208人 | 64.2% | 1浪:30.8%<br>2浪:5.0% |
| 2022年度 | 1,189人 | 68.8% | 1浪:27.1%<br>2浪:4.1% |
過去5年では現役率が上がっています。10年ほど前までは現状より高く、2018年で一気に現役率が落ち込み、再び回復している形です。一時期は浪人率が巻き返しましたが、段々と戻りつつあります。
経済学部
| 経済学部 | 合格者数 | 現役率 | 浪人率 |
|---|---|---|---|
| 2018年度 | 1,470人 | 59.7% | 1浪:37.5%<br>2浪:2.8% |
| 2019年度 | 1,507人 | 60.1% | 1浪:37.0%<br>2浪:3.0% |
| 2020年度 | 1,376人 | 63.9% | 1浪:32.1%<br>2浪:4.0% |
| 2021年度 | 1,603人 | 63.6% | 1浪:32.9%<br>2浪:3.6% |
| 2022年度 | 1,566人 | 67.8% | 1浪:28.9%<br>2浪:3.3% |
現役率はここ5年で上昇傾向にあり、1浪が占める割合も減っています。過去は多くても4割程度で、3割台がしばらく続きましたが、2022年度でついに1浪の割合が3割を切りました。
法学部
| 法学部 | 合格者数 | 現役率 | 浪人率 |
|---|---|---|---|
| 2018年度 | 666人 | 69.5% | 1浪:28.7%<br>2浪:1.8% |
| 2019年度 | 643人 | 68.0% | 1浪:28.5%<br>2浪:3.6% |
| 2020年度 | 637人 | 70.8% | 1浪:27.0%<br>2浪:2.2% |
| 2021年度 | 680人 | 72.6% | 1浪:24.4%<br>2浪:2.9% |
| 2022年度 | 679人 | 71.7% | 1浪:25.5%<br>2浪:2.8% |
法学部は現役率が7割程度、浪人率がおおむね3割程度と、やや現役率が高めに出ています。過去と比べると明らかに今の方が現役率が高めです。2浪以上の割合は非常に少なく、2浪以上が有利とは言い難い状況を示しています。
商学部
| 商学部 | 合格者数 | 現役率 | 浪人率 |
|---|---|---|---|
| 2018年度 | 1,558人 | 62.8% | 1浪:35.0%<br>2浪:2.2% |
| 2019年度 | 1,651人 | 59.2% | 1浪:37.9%<br>2浪:2.8% |
| 2020年度 | 1,636人 | 61.0% | 1浪:34.8%<br>2浪:4.2% |
| 2021年度 | 1,905人 | 62.5% | 1浪:34.8%<br>2浪:2.7% |
| 2022年度 | 1,993人 | 69.1% | 1浪:28.4%<br>2浪:2.5% |
商学部の現役率は全体の平均とさほど変わりません。ただしA方式・B方式(一般選抜の区分で、数学を使うのがA方式)で分けると差が大きく、A方式の方が現役率が下がることが明らかになっています。浪人生は数学系になると有利になりやすいことを示している可能性があります。
医学部
| 医学部 | 合格者数 | 現役率 | 浪人率 |
|---|---|---|---|
| 2018年度 | 180人 | 67.2% | 1浪:27.8%<br>2浪:5.0% |
| 2019年度 | 159人 | 69.2% | 1浪:27.0%<br>2浪:3.8% |
| 2020年度 | 166人 | 63.9% | 1浪:32.5%<br>2浪:3.6% |
| 2021年度 | 171人 | 69.0% | 1浪:27.5%<br>2浪:3.5% |
| 2022年度 | 178人 | 72.5% | 1浪:25.8%<br>2浪:1.7% |
医学部は2浪以上で合格する学生が多く、一時期は2浪以上の合格者が20%という年もありました。ところがここ5年で一気に減り、2022年度には1%台にまで低下しています。医学部も現役合格がしやすい時代になったと言えます。
理工学部
| 理工学部 | 合格者数 | 現役率 | 浪人率 |
|---|---|---|---|
| 2018年度 | 2,532人 | 59.4% | 1浪:37.9%<br>2浪:2.7% |
| 2019年度 | 2,411人 | 56.1% | 1浪:41.1%<br>2浪:2.9% |
| 2020年度 | 2,444人 | 57.6% | 1浪:39.6%<br>2浪:2.8% |
| 2021年度 | 2,309人 | 63.0% | 1浪:34.6%<br>2浪:2.3% |
| 2022年度 | 2,641人 | 65.7% | 1浪:32.1%<br>2浪:2.2% |
理工学部は他の学部と比べると浪人率が高く、現役率が低いことがわかります。ただし2浪以上では合格者の割合が下がるため、1浪までは浪人が有利に働く可能性があると言えます。
総合政策学部
| 総合政策学部 | 合格者数 | 現役率 | 浪人率 |
|---|---|---|---|
| 2018年度 | 351人 | 53.8% | 1浪:35.3%<br>2浪:10.8% |
| 2019年度 | 385人 | 60.8% | 1浪:28.8%<br>2浪:10.4% |
| 2020年度 | 356人 | 60.7% | 1浪:26.7%<br>2浪:12.6% |
| 2021年度 | 404人 | 65.8% | 1浪:23.3%<br>2浪:10.9% |
| 2022年度 | 518人 | 64.7% | 1浪:25.9%<br>2浪:9.5% |
2浪以上の割合が3%を割るケースが目立つ中、総合政策学部は1浪が少ない分、2浪以上の割合が多いという特殊な状況です。2浪以上の学生が入りやすい学部であることは明らかです。
環境情報学部
| 環境情報学部 | 合格者数 | 現役率 | 浪人率 |
|---|---|---|---|
| 2018年度 | 333人 | 61.0% | 1浪:26.7%<br>2浪:12.3% |
| 2019年度 | 302人 | 61.6% | 1浪:26.8%<br>2浪:11.6% |
| 2020年度 | 282人 | 64.5% | 1浪:23.8%<br>2浪:11.7% |
| 2021年度 | 336人 | 63.4% | 1浪:25.9%<br>2浪:10.7% |
| 2022年度 | 446人 | 58.3% | 1浪:26.5%<br>2浪:15.2% |
環境情報学部も総合政策学部と同様の動きを見せます。全体として年々現役率が高まる中、環境情報学部は2022年度に60%を割り込むなど、浪人にとって勝負しやすい学部と判断できます。総合政策学部と環境情報学部は、湘南藤沢キャンパスにある2学部の通称としてSFCと呼ばれます。
看護医療学部
| 看護医療学部 | 合格者数 | 現役率 | 浪人率 |
|---|---|---|---|
| 2018年度 | 156人 | 82.7% | 1浪:15.4%<br>2浪:1.9% |
| 2019年度 | 174人 | 71.8% | 1浪:21.3%<br>2浪:6.9% |
| 2020年度 | 158人 | 81.0% | 1浪:14.6%<br>2浪:4.4% |
| 2021年度 | 197人 | 81.2% | 1浪:14.2%<br>2浪:4.6% |
| 2022年度 | 160人 | 79.4% | 1浪:16.3%<br>2浪:4.4% |
現役率が高い傾向にある慶應の中でも、看護医療学部はとくに現役率が高い学部です。8割前後の現役率で、浪人の割合がかなり低く、他の学部よりも傾向がはっきりしています。
薬学部
| 薬学部 | 合格者数 | 現役率 | 浪人率 |
|---|---|---|---|
| 2018年度 | 548人 | 56.0% | 1浪:37.0%<br>2浪:6.4% |
| 2019年度 | 532人 | 54.5% | 1浪:40.2%<br>2浪:5.3% |
| 2020年度 | 513人 | 62.2% | 1浪:32.7%<br>2浪:5.1% |
| 2021年度 | 514人 | 62.6% | 1浪:31.9%<br>2浪:5.4% |
| 2022年度 | 605人 | 61.5% | 1浪:34.2%<br>2浪:4.3% |
薬学部は多少現役率が低めで、浪人率が高い傾向にあります。慶應に薬学部ができてからあまり変わっておらず、薬学部ならではの傾向と言えなくもありません。
浪人して入学すると不利になるのか
入試の合否とは別に、入学後の生活や就職活動で浪人が不利になるかという不安があります。結論としては、気にしすぎる必要はない要素です。
大学生活に支障が出ることもある
浪人して入学すると同級生が年下になるため、後輩からタメ口をきかれてムッとしてしまう人もいるかもしれません。コミュニケーションがとりにくいと感じ、同級生との付き合いがしにくい人もいます。
ただし社会に出ると年上の部下など、さまざまな関係が生じます。その練習と思って過ごすのが現実的です。
就職活動がうまくいかないことも
就職活動が不利になると言われることもあります。なぜ浪人をしたのかと問われ、うまくいかなくなる可能性もないわけではありません。
しかし慶應の場合、2浪程度であればそこまで何も思われない可能性が高く、むしろ学歴の面で評価される可能性もあります。医学部に何浪かして入学した場合も、医師になることが重要なので浪人歴は問われにくく、苦労人であるという評価になることもあります。あまり気にしなくてもよい要素です。
慶應義塾大学に浪人生差別はあるのか
入試で浪人を理由に差別があるという話は、根拠のあるものとしては確認されていません。うわさの中身を分けて見ていきます。
入試での浪人生差別は確認されていない
慶應義塾大学の大学院生のブログでは、慶應に浪人生差別はないという見解が述べられています。入試で年齢による区別をしていると考えるのは不自然です。社会人が入学するケースがあり、年齢で区別をつければ、大人になってから学問を究めたい人を排除するような状況を生み出すことになるためです。
1浪か2浪かと浪人歴を気にしがちですが、広い視野で見れば、1浪も2浪も大学からすればさほど関係ないと言えます。(参照:大学受験情報blog)
医学部では浪人生に一部減点するうわさも
医学部では浪人生が不利になるという話もあります。これは慶應以外の大学で問題になったもので、複数の大学が浪人を理由に減点を行っていました。女性の評価を落として男性を多く合格にさせる大学もあり、この流れを受けて慶應も同様のことをしているのではないかと言われています。
しかし慶應義塾大学医学部でこのような減点があったという話は報道されておらず、一部の大学のみで行われていただけとも考えられます。なお、浪人を繰り返して入学した場合に留年が目立ちやすいという理由で浪人の評価を下げているという風潮もあるため、1浪までで決める方針を取ることは有効です。
よくある間違い:浪人率の高い学部を「入りやすい学部」と読む
浪人率の高さは、浪人生が受かりやすいことを直接示す数字ではありません。合格者の構成比であり、その学部をどんな層が多く受けているかにも左右されます。理工学部やSFCの2学部で浪人の割合が高いのは、志願者層の偏りが反映されている面もあります。
回避策は、浪人率を志望校決定の理由にせず、科目構成と出題傾向で選ぶことです。たとえば数学を使う方式で浪人の割合が高い学部なら、その方式の数学で得点できる状態を作れるかどうかを基準にします。構成比ではなく、自分の得点力で判断します。
FAST-UPが見てきた浪人生のつまずきどころ
指導現場で目立つのは、浪人の1年を「全科目をもう一度やり直す年」にしてしまうケースです。現役時に手が回らなかった範囲だけでなく、すでに仕上がっている範囲も最初から回し直し、秋になって過去問演習の時間が残らないという流れをよく見ます。
もう一つは、学部ごとの方式の違いを詰めないまま、総合的な学力だけを上げようとする型です。慶應は学部で科目構成も設問形式も変わるため、同じ勉強量でも配点の重い部分に当たらないことがあります。浪人差別を気にする時間よりも、受ける方式を早く確定させ、そこに時間を寄せる方が差が出やすいところです。
まとめ
浪人に絞って見ると、学部学科によって傾向がかなり異なります。理系学部は浪人の割合が高く、SFCの2学部は2浪以上の割合が多いなど、データを見なければわからない違いがありました。ただ、できるだけ現役で合格した方がよいことも明らかで、浪人が有利になるのは一部です。
現役で合格するためには、早い段階から勉強を重ねて対策を立てることが必要になります。併願校を考える際は、学部ごとの難易度の動きや費用も合わせて確認しておくと判断しやすくなります。難易度の推移の見方は立教大学の偏差値推移を学部ごとに解説した記事、費用の見方は学習院大学の4年間の学費を解説した記事が参考になります。
よくある質問
Q. 慶應義塾大学の入試に浪人生差別はありますか。 A. 浪人を理由に減点するといった扱いが行われているという報道は確認されていません。社会人の入学もあるため、年齢で区別する前提自体が考えにくい状況です。
Q. 浪人は合格に有利ですか。 A. 全体としては現役率が上昇しており、浪人が有利とは言えません。ただし理工学部のように浪人の割合が高い学部や、数学を使う商学部A方式のように浪人の割合が高い方式もあります。
Q. 2浪以上でも合格できますか。 A. 2浪以上の合格者は各学部に存在します。総合政策学部と環境情報学部は2浪以上の割合が比較的多く、法学部や医学部では少ない傾向です。
Q. 浪人すると就職で不利になりますか。 A. 2浪程度であれば大きく問われない可能性が高いと言われています。医学部のように資格が前提となる進路では、浪人歴よりも資格取得が重視されやすい面があります。


