数学は読むだけで伸びる?青チャート活用法
とにかく書いて書いて書きまくる、それが勉強だと思っている人はかなり…
FAST-UP
数学は読むだけでも伸びます。ただし条件があり、1回ごとに読む目的を変え、分からない箇所に付箋を貼って読み返すことが必要です。手を動かすのは演習のときだけに絞ると、時間を大きく節約できます。
2026年9月時点の情報です。
数学の「読むだけ勉強法」とは
読むだけ勉強法は、問題を書いて解く前に解説を繰り返し読み込み、理解と記憶を進めるやり方です。広く知られるきっかけは、2015年にリリースされた電子書籍「数学嫌いの東大生が実践した『読むだけ数学勉強法』」でした。タイトルから関心を持つ人が多く、Amazon Kindleストアの数学ランキングで1位を記録しています。
著者の矢野友理さんは、「わからなくてもどんどん読み進めていって、繰り返し読むことでできるようになる」と説明しています。学生時代に青チャート(数研出版のチャート式数学のうち標準〜難関向けの版)に取り組んだ際、書きながら理解することができず、書いたあとに読まないと理解できないと気づいたことから生まれた方法だといいます。数学に限らず他科目にも応用できる点が特徴です。(参考:STUDYHACKER)
とにかく書いて覚えることが勉強だと考える人は多いものの、書く作業は時間がかかります。2027年度入試に向けて残り時間を計算しながら進めるなら、読む時間と書く時間の配分を見直す価値があります。
読むだけが書くよりも効率的になる理由
読むだけ勉強法が有利になるのは、同じ時間でこなせる量が増えるからです。理由を3つに分けて整理します。
インプットにかかる時間が短い
読んで覚えるほうが、短時間で多くの範囲を回せます。書く時間がゼロになり、その分を繰り返しに充てられるためです。英単語を書いて覚える場合、1語を覚えるまでに時間がかかり、1000語、2000語と重ねればその合計は大きくなります。頭の中で何度も繰り返し、エビングハウスの忘却曲線(時間経過で記憶が薄れる様子を示した記憶の研究結果)に沿って復習すれば、記憶は定着していきます。
スキマ時間を使える
読むだけなら、机に向かえない時間も勉強時間に変えられます。通学時間や学校の休み時間でも数学に触れられ、机に向かうのはノートで演習問題を解くときだけに絞れます。書く勉強だけの場合はスキマ時間を使いにくく、演習にかけられる時間も短くなります。
教科書や参考書は読むために作られている
教科書も参考書も、読んで理解する前提で作られています。解説を読んだ上で理解してもらう構成になっているためです。何度も読み進めれば自然と覚えられる一方、書いて覚える設計ではないので、書き写す学習は時間がかかりがちです。線を引いたり赤ペンを使ったりするのは有効ですが、まずは自分にとって読みやすく理解しやすい形を優先します。
読むだけで覚えられる人と覚えられない人の違い
差がつくのは、読む回数と、1回ごとの目的の有無です。読む勉強法には7回読み勉強法のような形もあり、1冊を何度も読むタイプの東大生が多いことも知られています。読むこと自体には一定の効果があるといえます。
覚えられない人は目的を決めずに読んでいる
覚えられない人は、闇雲に読んでいるだけになっています。覚えられる人は、読み返すたびに目的を変えています。回ごとの目的は次のように設定します。
| 読む回 | 目的 |
|---|---|
| 1回目 | 流し読みして全体の流れをつかむ |
| 2回目 | 大枠を理解し、単元の構造を押さえる |
| 3回目以降 | 細かい式変形や条件まで確認する |
覚えられる人は分からない箇所に付箋を貼る
覚えられる人は、理解できなかった場所に付箋を貼ってから読み進めます。次の周回では付箋を貼ったページだけを見返し、それを繰り返します。付箋を片手に、1回1回の読みに意味を持たせている点が大きな違いです。
少ない回数で覚えようとしてしまう
読んでも覚えられない人は、2回や3回で覚えようとしている場合があります。記憶の引き出しからすぐ取り出せる状態にするには、少ない回数では届きにくいものです。7回読み勉強法のように回数を重ね、1回ごとにテーマを設けて読むことで定着します。
よくある間違いと回避策
よくある間違いは、理解できたかどうかを確認せずに読み流し、先へ進んでしまうことです。読むだけ勉強法は、内容の理解を問わずページをめくる方法ではありません。
回避策は2つです。1つは、読み始める前にその回の目的を1つだけ決めること。もう1つは、分からなかった行に必ず付箋を貼り、次の周回でそこだけを読み直すことです。付箋が減っていく様子が理解度の目安になります。
読むだけ勉強法の効率的な手順
手順は5ステップです。範囲を絞って始めると負担が小さくなります。
| STEP | やること |
|---|---|
| 1 | 読み進める範囲を決める |
| 2 | その回の方針・テーマを定める |
| 3 | 公式を覚え、例題を解いてみる |
| 4 | 解説を読み、分からなければ付箋を貼る |
| 5 | 付箋を貼った場所を重点的に読み返す |
STEP1:読み進める範囲を決める
最初に範囲を決めます。複数の単元に絞って重点的に進めても構いませんし、数学が苦手な場合は1単元だけに絞る形でも進められます。
STEP2:読み進める上での方針を定める
1回ごとにテーマを設けます。1回目は全体をサッと流す、2回目は範囲を狭めて重点的に読む、といった形です。意味を見出して真剣に取り組むと、記憶にも残りやすくなります。
STEP3:公式を覚え、例題を解いてみる
公式を覚えて使える状態にすることが得点につながります。まず公式を確認し、例題に当たります。ノートに書かず、頭の中で公式を思い描く形で進めます。慣れないうちはノートに書いても構いませんが、その分だけ効率は落ちます。
STEP4:解説を見て分からなければ付箋を貼る
解説と違うやり方で解いていた場合や、まったく分からなかった場合は付箋を貼り、解説を読み込みます。終わったら次のページへ進み、同じことを繰り返します。
STEP5:付箋を貼った場所を重点的に読み返す
決めた範囲を一通り読んだら、付箋の箇所を読み返します。理解できたら付箋を外していくと、理解度が見た目で分かります。やるべきことが可視化され、モチベーションにもつながります。
読むだけ勉強法におすすめの参考書3選
解説が読み物として成立している参考書が向いています。3冊の位置づけを整理します。
| 参考書 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| チャート式参考書 | 例題→チャート→解説の流れ。青チャート、黄色チャートなどレベル別 | 読むだけ勉強法の中心教材 |
| 「数学が面白いほどわかる」シリーズ | 基本から省略せずに解説 | チャート式で苦戦するとき |
| 「単問ターゲット」シリーズ | 一問一答方式でスキマ時間向き | 演習量を増やしたいとき |
チャート式参考書
チャート式参考書は、読むだけ勉強法で使われることが多い教材です。「数学嫌いの東大生が実践した『読むだけ数学勉強法』」の矢野友理さんも、青チャートで実践していました。矢野さんは東京大学に進学しましたが、数学が苦手な場合は黄色チャートで代用する形も選べます。例題からチャート、解説という流れで書かれているため、読む学習と相性がよい構成です。
「数学が面白いほどわかる」シリーズ
解説が詳しいシリーズです。基本的なところから書かれ、他の参考書なら省きそうな部分まで残されているため、読むだけでも効果が出ます。チャート式の例題にも似ているので、チャート式で苦戦している場合は先にこちらへ取り組み、その後チャート式に戻る進め方もあります。
「単問ターゲット」シリーズ
一問一答方式で、スキマ時間に使いやすい参考書です。頭の中で計算して答えを出す形で進められ、英単語帳のように、できなければチェックを付けて何度も繰り返します。チャート式で公式を覚えたあと、演習量を増やしたい時期に向きます。
FAST-UPが見てきた「読むだけ」でつまずく地点
指導現場で多いのは、読むだけ勉強法を「ラクな方法」として受け取ってしまうケースです。読む速度は上がるものの、理解できていない行を飛ばしたまま周回してしまい、模試で手が止まります。つまずく地点は決まっていて、公式の適用条件と、解説が省略している式変形の2か所です。
もう1つ目立つのは、付箋を貼る基準が曖昧なまま進めてしまうことです。「なんとなく分かった」を通過させると、付箋が減らず、どこが弱点なのか分からなくなります。自分の言葉で解法の一行目を説明できるかどうかを基準にすると、判断がぶれにくくなります。
読み込み中心の学習は、暗記量の多い科目にも応用できます。理科の進め方は生物の勉強法とおすすめ参考書、資格試験での使い方は英検4級に合格するための勉強法も参考になります。
まとめ
読むだけ勉強法は手抜きに見えますが、教材の作りと記憶のしくみに沿った方法です。ただ読むのではなく、読むたびにテーマを決めることで定着します。演習問題をノートに解くのも有効ですし、「単問ターゲット」シリーズのように演習自体を読む形で回すこともできます。勉強法の相性は人によって違うため、まず短い範囲で試し、自分に合うかを確かめる進め方が現実的です。
よくある質問
Q. 青チャートは読むだけで本当に力が付きますか。 A. 読み方次第です。1回目は流し読み、2回目以降は目的を変えて読み込み、分からない例題に付箋を貼って読み返す形なら効果が出ます。理解を確認せずにページを進めるだけでは伸びにくくなります。
Q. 書く勉強は完全にやめてよいのでしょうか。 A. やめる必要はありません。公式の確認や解説の読み込みは読むだけで進め、机に向かえるときに演習問題を書いて解く配分にすると、時間を有効に使えます。
Q. 何回読めばよいのでしょうか。 A. 回数の目安を決めるより、1回ごとに目的を設けることが先です。2回や3回で覚えようとすると定着しにくいため、7回読み勉強法のように回数を重ねる前提で計画を立てます。
Q. 数学以外の科目にも使えますか。 A. 使えます。読むだけ勉強法はもともと他科目への応用も想定された方法で、暗記量の多い科目や資格試験の対策でも読み込み中心の進め方が機能します。


