慶應義塾大学の推薦入試|日程・倍率と指定校推薦
難関の国公立大学の学生も併願するなど
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慶應義塾大学の推薦入試は、総合型選抜と学校推薦型選抜の2種類です。総合型は文学部の自主応募制、法学部のFIT入試、理工学部や湘南藤沢キャンパス各学部のAO入試に分かれます。学校推薦型は指定校推薦にあたり、校内選考の通過が前提です。
2026年9月時点の情報です。
難関の国公立大学の受験生も併願する、私立大学の最高峰が慶應義塾大学です。偏差値は70前後の学部が多い中、一般入試以外に推薦入試で入る道もあります。2027年度入試に向けて、方式ごとの出願資格・選考内容・過去の日程と倍率を整理します。日程や要項は年度ごとに変わるため、出願前には必ず当該年度の募集要項で確認してください。
慶應義塾大学の推薦入試は大きく分けて2種類
慶應の推薦入試は、総合型選抜と学校推薦型選抜に分類できます。学力以外の要素を評価する総合型と、高校の校長推薦で出願する学校推薦型という違いがあります。
総合型選抜
総合型選抜は他の大学におけるAO入試にあたり、学業面でのハードルがそこまで高くない代わりに、それ以外の要素で魅力ある学生かどうかが問われます。慶應では主に3種類です。
自主応募制による推薦入学者選考
文学部のみが行う選抜方法で、1994年から実施されています。学力だけで選考するのではなく、文学部に入りたいという強い気持ちや学生が持つ資質を吟味し、「新しい文学部」を作っていってほしいという願いが込められています。
FIT入試
法学部のみが取り扱う選抜方法です。2006年度からスタートし、法学部への志望度合いが強い学生を対象としています。FITの正式名称は「Flexible and Intelligent Thinking」です。
難しい問題でふるいにかけるのではなく、学問を学びたいという純粋な姿勢を評価するため、勉強以外の面から人物本位の形で選抜を行っています。
AO入試
湘南藤沢キャンパスで授業を受ける総合政策学部・環境情報学部・看護医療学部のほか、理工学部でも採用しています。もともとAO入試は、総合政策学部と環境情報学部が新設された1990年に日本で初めて導入されました。
1990年代は偏差値至上主義が今よりも激しく、偏差値だけで判断されるような時代でした。学力ではない部分をピックアップし、学生のポテンシャルを引き出す入試方法として初導入され、その後全国に広がっていきます。
学校推薦型選抜(指定校推薦)
学校推薦型選抜はいわゆる「指定校推薦」と同じで、校長推薦で出願ができる形の選抜方法です。2022年度の推薦入試結果では、600人程度の志願者のうち不合格となったのは1人だけでした。
その代わり、指定校推薦を勝ち取るまでに高校内で志願者同士の競争が激しく展開されます。高1から計画的に勉強を行い、校内選考を通る姿勢が問われます。学部選びを広く比べたい場合は、慶應義塾大学の受かりやすい学部も合わせて確認すると判断しやすくなります。
慶應義塾大学における推薦入試の募集要項・日程【総合型選抜】
方式ごとに出願資格と選考内容が大きく違います。以下の日程は2022年度に実施されたものです。出願スケジュールの確認は高2のうちに済ませておくと安全です。FIT入試は8月に出願登録が始まり、夏休み中に書類をそろえる必要があるためです。
自主応募制による推薦入学者選考
出願資格のうち特筆すべき点は、高校3年1学期までの評定(各教科の成績を5段階で平均した数値)が4.1以上であることです。そのほか、文学部が第一志望であること、卒業見込みであることなどが条件になります。
選考は小論文形式の総合考査Ⅰと、テーマが与えられてそのことについて書く総合考査Ⅱで合否が決まります。
| 項目 | 日程(2022年度) |
|---|---|
| 出願登録・入学検定料の支払い | 10月14日〜11月4日 |
| 出願書類の郵送 | 11月1日〜11月4日 |
| 選考 | 11月20日 |
| 合格発表 | 11月25日 |
| 入学手続き期間 | 11月28日〜12月16日 |
選考から合格発表まではわずか5日間と短いものの、入学手続き期間は長めに取られています。
FIT入試
FIT入試はA方式とB方式に分かれます。A方式は学業やボランティアなど特筆すべき実績があるかどうかが出願資格で、評定の条件はありません。B方式は高3の1学期までの全体の評定平均と、外国語・数学・国語・地理歴史・公民の各教科それぞれの評定平均が4.0以上であることが主な要件です。
選考はA方式・B方式共通で、第1次選考が書類選考です。第2次選考はA方式が論述試験と口頭試問(面接形式で口頭の質問に答える試験)、B方式が総合考査と面接です。
A方式の論述試験は教員の模擬講義を受け、それにちなんだ論述試験が出されます。口頭試問では試験官から口頭で出されたテーマでディスカッションを行います。B方式の総合考査は最初に資料が与えられ、それを読み解いて400字にまとめるのが特徴です。その後に面接があります。
| 項目 | 日程(2022年度) |
|---|---|
| 出願登録・入学検定料の支払い | 8月9日〜9月5日 |
| 出願書類の郵送 | 9月1日〜9月5日 |
| 第1次選考合格発表 | 9月18日 |
| 第2次選考 | A方式 9月24日/B方式 9月25日 |
| 合格発表 | 11月1日 |
| 入学手続き期間 | 11月28日〜12月16日 |
出願登録が8月からと早い時期に始まります。第1次と第2次のスパンは1週間程度と短い一方、第2次から最終的な合格発表までは1カ月以上かかります。
AO入試
AO入試は学部ごとに日程が異なるため、学部別にまとめます。
理工学部
出願資格は、高3の1学期までに全体の評定平均が4.1以上、かつ数学と理科の評定平均がそれぞれ4.0以上であることです。英語などの外国語の単位を14単位以上修得していること、欠席日数が30日を超えないことも要件に含まれます。
選考は第1次が書類選考、第2次は数学・物理・化学に関する口頭試問と面接です。
| 項目 | 日程(2022年度) |
|---|---|
| 出願登録・書類郵送 | 10月4日〜10月7日 |
| 第1次選考合格発表 | 10月21日 |
| 第2次選考 | 12月11日 |
| 第2次選考合格発表 | 12月16日 |
| 入学手続き期間 | 2023年1月6日〜1月12日 |
第1次選考と第2次選考の間が1カ月以上空くのが理工学部の特徴です。入学手続き期間も他学部より遅めに設定されていました。
総合政策学部・環境情報学部
両学部には夏秋AOと春AOがあります。どちらも希望学部・入学時期・面接で用いる言語の指定を最初に行い、その後の変更はできません。
出願資格はどちらもほぼ同じで、評定平均などの条件はありません。ただし入学時期が異なるため、2022年度の例では4月入学を希望する場合に夏秋AOが推奨されていました。
選考は1次が書類選考、2次が面接です。1次選考は、学業に関連するコンテストで一定の成績を残している場合に免除されます。
| 春AO | 夏秋AO | |
|---|---|---|
| オンライン申請 | 5月6日〜6月1日 | 8月9日〜9月1日 |
| 郵送での書類提出 | 5月31日〜6月2日 | 9月1日〜9月2日 |
| 1次選考合格発表 | 7月7日 | 10月20日 |
| 2次選考 | 7月16日 | 総合政策学部 10月29日もしくは10月30日/環境情報学部 11月5日もしくは11月6日 |
| 2次選考合格発表 | 7月20日 | 11月8日 |
看護医療学部
A方式とB方式があります。A方式は評定平均の条件がなく、学業やスポーツなどの実績があることが要件です。B方式は評定平均4.5以上が条件で、性格が大きく異なります。
選考はA方式・B方式共通で、第1次が書類選考、第2次が面接です。面接はオンラインで行われます。
| 項目 | 日程(2022年度) |
|---|---|
| 出願期間 | 9月15日〜9月20日 |
| 第1次合格発表 | 10月14日 |
| 第2次選考 | 10月22日 |
| 第2次選考合格発表 | 11月1日 |
| 入学手続き期間 | 12月5日〜12月9日 |
慶應義塾大学の推薦入試の倍率
倍率は方式によって大きく変わります。以下は2022年度の数値です。
自主応募制による推薦入学者選考
| 募集人員 | 志願者数 | 合格者数 | 倍率 | |
|---|---|---|---|---|
| 文学部 | 120名 | 343名 | 123名 | 2.7倍 |
倍率は2.7倍でした。男女別では圧倒的に女性が多く、女性の倍率は2.6倍と男性より若干低い結果でした。
FIT入試
| 募集人員 | 志願者数 | 合格者数 | 倍率 | |
|---|---|---|---|---|
| 法律学科 | 最大80名 | A方式 212名/B方式 180名 | A方式 43名/B方式 65名 | A方式 4.93倍/B方式 2.77倍 |
| 政治学科 | 最大80名 | A方式 269名/B方式 166名 | A方式 40名/B方式 61名 | A方式 6.73倍/B方式 2.72倍 |
A方式とB方式で倍率が大きく異なります。これはA方式に評定平均の条件がなく、B方式にはその条件があったことが考えられます。男女別で見ると女性が多く、法律学科B方式における女性の倍率は2.1倍と男性より明らかに低い水準でした。
AO入試
理工学部
| 募集人員 | 志願者数 | 合格者数 | 倍率 | |
|---|---|---|---|---|
| 理工学部 | 若干名 | 7名 | 2名 | 3.5倍 |
選考方法の難しさや募集人員の少なさもあり、志願者は7名、合格者は男女それぞれ1名ずつの合計2名でした。倍率は3.5倍ですが、母数が小さいため年度によって大きく変動しやすい点に注意が必要です。
総合政策学部・環境情報学部
以下は夏秋AOのみの数値です。
| 募集人員 | 志願者数 | 合格者数 | 倍率 | |
|---|---|---|---|---|
| 総合政策学部 | 150名 | 583名 | 113名 | 5.16倍 |
| 環境情報学部 | 150名 | 554名 | 130名 | 4.26倍 |
他学部と異なり、この2学部は男性の志願者が多く、環境情報学部では男性が過半数を占めていました。一方で合格者数は女性が多く、実際の倍率よりも男性には厳しく、女性には緩い結果でした。
看護医療学部
| 募集人員 | 志願者数 | 合格者数 | 倍率 | |
|---|---|---|---|---|
| 看護医療学部 | 若干名 | A方式 71名/B方式 17名 | A方式 8名/B方式 4名 | A方式 8.88倍/B方式 4.25倍 |
A方式は評定平均の条件がなく志願者も多いため、倍率は9倍近くに達しました。B方式は評定平均のハードルが高く、倍率は4倍程度にとどまりました。男性の受験者もいましたが、この年度は合格者が出ていません。
よくある間違い:倍率の低さだけで方式を選ぶ
倍率の数字だけを見て方式を決めるのは危険です。評定条件のある方式は倍率が低く出やすい一方、出願そのものに高い評定が必要です。看護医療学部B方式を狙う場合は、早い段階から評定平均を高く保つことが前提になります。出願資格が評定平均4.5以上と、他方式より高く設定されているためです。
回避策は、志望学部の出願資格を先に確認し、評定が届く方式と届かない方式を分けてから対策を始めることです。評定が足りない場合は、評定条件のないFIT入試A方式や看護医療学部A方式、総合政策学部・環境情報学部のAO入試のように、実績や志望理由で勝負する方式に照準を合わせます。
FAST-UPが見てきた推薦入試のつまずきどころ
指導現場で多いのは、推薦対策と一般入試対策を同時に進められず、どちらも中途半端になるケースです。推薦は夏から秋に出願と選考が集中するため、一般入試の演習が止まりやすくなります。
もう一つのつまずきは、書類と面接の一貫性です。志望理由書に書いた関心と、面接や口頭試問で話す内容がずれると、志望度が伝わりません。学部の教育内容を調べ、自分の経験と結び直す作業が必要になります。
口頭試問の練習は筆記対策とは別に時間を取る必要があります。答案用紙に答えを書き込む普段の試験とは形式が異なるためです。声に出して説明し、追加の質問に答える練習まで含めて準備すると、本番での沈黙を減らせます。
対策のまとめ
推薦入試は、評定平均の条件を設けている方式では倍率が低く、条件がない方式では倍率が高い傾向が見られます。志望方式が決まったら、評定の積み上げと実績づくりのどちらを軸にするかを早めに決めることが重要です。
推薦で不合格だった場合に備え、一般入試の学習も並行させる前提で計画を立てると安全です。併願先の設計を考えるときは、早慶上智ICUの偏差値ランキングや序列や早慶上智の穴場学部ランキングも参考になります。
よくある質問
Q. 慶應義塾大学の指定校推薦の高校一覧はどこで見られますか。 A. 指定校の一覧は大学が広く公開していないため、在籍する高校の進路指導室で確認するのが基本です。慶應の指定校枠がある高校では、校内選考の基準や過去の枠の有無も合わせて教えてもらえます。
Q. 推薦入試の合格発表日はいつですか。 A. 方式ごとに異なります。2022年度の例では、FIT入試と看護医療学部AO入試が11月1日、文学部の自主応募制が11月25日、理工学部AO入試が12月16日でした。年度ごとに変わるため、当該年度の募集要項で確認してください。
Q. 評定平均が足りない場合でも推薦入試に出願できますか。 A. 評定平均の条件がない方式があります。FIT入試A方式、看護医療学部A方式、総合政策学部・環境情報学部のAO入試は評定の要件が設けられていません。ただし学業やスポーツなどの実績が問われ、倍率は高めに出る傾向があります。
Q. 推薦入試と一般入試はどちらが入りやすいですか。 A. 一律には決まりません。評定条件のある方式は倍率が低く出る一方、出願資格の段階で絞られます。学校推薦型選抜は校内選考を通れば合格可能性が高い反面、高1からの成績で校内の競争に勝つ必要があります。


