慶應通信の難易度と学費・卒業要件を解説
昼間は会社で働くサラリーマンなどが、夜は大学生として勉強を行う
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慶應義塾大学の通信教育課程は、志願理由書などの書類選考で入学でき、入学の難易度は通学課程より低い一方、卒業は難関です。文学部・経済学部・法学部の3学部があり、学費は4年間でおよそ90万円弱に収まります。
2026年9月時点の情報です。
慶應義塾大学には通信教育課程がある
慶應義塾大学には、通学課程とは別に通信教育課程が設置されています。1948年から「大学通信教育講座」がスタートし、1950年には「新制大学通信教育課程」に生まれ変わりました。一般入試などで入学した学生が学ぶ課程は「通学課程」と呼ばれます。
設置されているのは文学部・経済学部・法学部の3学部です。実際に教える教員は通学課程と同じで、一定の単位を修得できれば、一般入試で入学した学生と同じ慶應卒の学歴となります。
現在8,000人以上が通信教育課程に在籍しており、全国各地で慶應の学びを受ける人がいる状況です。
通信制大学とは何か
通信制大学は、昼間にキャンパスへ通うことが難しい人が大学の学びを受けられるようにした課程です。高校卒業後すぐに社会人として働き始めた人が利用することが多くあります。
学習の中心は、教科書を使った自主学習と、スクーリング(定められた期間・回数だけ通学して授業を受ける形式)です。テレビ放送を見ながら学習する放送大学が最たる例です。
通学課程との違いは主に3つ
- 入試:通学課程は一般入試などを突破する必要がありますが、通信教育課程は志願理由書などを提出する書類選考に近い形で合否が決まります
- 単位:通学課程はキャンパスで授業を受けて試験やレポートで単位を得ますが、通信教育課程はレポートが中心です。自分で学習を進めるため疑問点をすぐに聞きに行けず、相当な勉強量が求められます
- 学習環境:通学課程の学生と一緒にキャンパスで授業を受けられません。支え合う同級生がすぐに見つからない点はデメリットですが、勉強を行うサークルに入って通学課程の学生と交流を深める手もあります
学部選びの考え方そのものを知りたい場合は、慶應義塾大学の受かりやすい・入りやすい学部も参考になります。
慶應義塾大学の通信教育課程の概要
概要は次の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大学名 | 慶應義塾大学通信教育課程 |
| 学部 | 文学部/経済学部/法学部 |
| 選考方法 | 志願理由書などの書類 |
| 入学時期 | 春・秋 |
| スクーリングの種類 | 夏期スクーリング/夜間スクーリング/週末スクーリング |
| 住所 | 東京都港区三田2-15-45 |
学費の内訳は次の通りです。
| 費目 | 金額 |
|---|---|
| 在籍基本料 | 年間3万円 |
| 授業料 | 年間14万円 |
| スクーリング受講料 | 1単位5,000円(大阪は2単位2万円) |
スクーリングは夏期・夜間・週末から選べます。夏期は8月に6日間、授業が集中して行われます。夜間は平日夜、週末は土日に集中して受講する形です。
学費は4年間でおよそ90万円弱で、通学課程の学生の1年分の学費を大きく下回ります。月々の支払いは「ちょっとしたお稽古事」ぐらいの額に収まります。
慶應義塾大学の通信教育課程の特徴
特徴は、ブランド力の高さと文系分野の広さ、そして卒業要件の厳しさに集約されます。順に見ていきます。
知名度と高いブランド力がある
卒業すれば、学歴の上では通信教育課程も通学課程も同じです。在籍している時点で慶應生として扱われるため、ブランド力は高いものがあります。
また慶應の通信教育課程には長い歴史があり、その存在を知る人が意外と多く、知名度の高さも特徴です。早慶上智の位置づけを整理したい場合は、早慶上智ICUの偏差値ランキングと序列も合わせて確認できます。
文系分野に強い
通信教育課程は文学部・経済学部・法学部の3学部で構成されており、この3学部で文系学部をある程度網羅しているといえます。文学部には17の専攻があり、その中には教育学も社会学も心理学も含まれるため、文系全般をカバーしているとも言えます。心理学の学び方に関心がある場合は、早稲田大学で心理学を学べる学部も比較材料になります。
通信教育課程の学生同士で交流ができる
キャンパスがない分、学生同士の交流の場はスクーリングなどに限られます。一方で、通信教育課程の学生が参加できる「慶友会」という団体があり、全国に地方の支部が点在しています。慶友会の地方支部が主催する講演会なども行われており、交流の場は用意されています。
スクーリングの代わりにメディア授業を受けられる
スクーリングの会場は東京と大阪にあります。遠隔地に住みながら学ぶ学生は通うのが大変です。
そこで、スクーリングの代わりにメディア授業(インターネットを通じて受講する授業)を利用できます。メディア授業は最大10単位までスクーリングの単位として扱われるため、通学が難しい場合は最大限活用することが可能です。
卒業要件が多く卒業難易度が高い
入学は書類選考で決まるため、通学課程と比べれば入るハードルは低いといえます。一方で、卒業までのハードルはとても高くなっています。スクーリングで取得できる単位は全体の3割程度に限られ、残りは自主学習とテキストでの単位取得になるためです。
文学部の場合、卒業には124単位が必要です。そのうち総合教育科目は48単位必要で、さらにその中で24単位以上はテキストでの単位取得が求められます。どれだけ自主学習を積めるかがポイントになります。
卒業率は非公開とされていますが、一説には5%にも満たないのではないかと言われています。レポートが多いことや、通学課程と同じ講師陣が判定を行うことも要因です。働きながらレポート量に対応するのが厳しくなることもあります。入るのは簡単で卒業するのは大変と言われるアメリカの大学と、構図は近いといえます。
各学部の特徴
3学部は必修科目の修得方法が異なります。違いを押さえてから出願先を決めると、入学後の計画が立てやすくなります。
| 学部 | 区分 | 必修科目の修得方法 |
|---|---|---|
| 文学部 | 第1類・第2類・第3類 | 必修科目はスクーリングでの修得も単位として認められる |
| 経済学部 | 経済学・商学のカリキュラム | 必修科目はテキストでの単位取得が必要 |
| 法学部 | 甲類・乙類 | 必修科目はテキストでのみ修得可能 |
文学部
文学部は17の専攻があることで知られる学部ですが、通信教育課程では主に第1類・第2類・第3類に分けられています。3分野科目として人文科学分野・社会科学分野・自然科学分野があり、必修外国語科目もあります。
通学課程と同様に専攻もあるため、学んでいく中でどの専攻にするかを時間をかけて選んでいく形になり、方向性は通学課程と変わりません。専門教育科目については、文学部のみ必修科目をスクーリングで修得しても単位として認められます。経済学部・法学部とは異なる点です。
経済学部
経済学部は商学部の要素も含むため、カリキュラムは経済学と商学の2つに分けられます。専門教育科目はミクロ経済学・マクロ経済学を始め、スクーリングなしですべてテキストで単位取得を目指す形です。分からないことがあったら質問したい内容をまとめておくなど、創意工夫が必要になります。
経済学部にはいくつかのコースが用意されています。学びたいコースと、それにちなんだ科目を履修していく中で方向性を定めていきます。
法学部
法学部は、通学課程における法律学科と政治学科に対応する形で甲類・乙類に分かれます。甲類はいわゆる六法のほかに国際法や経済法、法の理念、法制史など様々な学びを行います。乙類は政治史や政治思想史などを学び、政治が抱える課題を考える学習も取り入れます。
専門教育科目は甲類と乙類で異なり、甲類では民法と刑法の総論、乙類では政治学がそれぞれ必修科目です。経済学部と同じく、必修科目はテキストのみでしか修得できない形になっています。
入学する3つのメリット
最終学歴「慶應卒」を手に入れられる
通信教育課程を修了した場合、最終学歴は慶應義塾大学卒業になります。教員が通学課程と同じで、一定の単位を修得すれば同じ学歴として扱われるためです。履歴書にも慶應義塾大学卒業として記載できます。
制約が多く卒業率も低いため、卒業するだけで相当なハードルを越えたことを意味します。通信教育だから楽という考えは通用しません。
通学課程と同じクオリティの講義を受けられる
通信教育課程の講師陣・教授陣は通学課程と同じで、学習のレベルも同様です。学ぶ内容もクリアすべき課題も変わりません。
一方でテキストでの単位取得が中心になるため、ハードルは高くなりやすく、勉強のコツも自力で見つけていくことになります。その分、自分で考えながら学習する習慣が身につきやすい環境です。
通学課程よりも学費が安い
通信教育課程の学費は4年間で90万円を割り込みます。通学課程では1年間で100万円以上の学費を納める必要があり、4年間にすれば400万円以上、場合によっては500万円、600万円と膨らみます。
学ぶ内容は共通しているため、費用対効果の面では通信教育課程が優位です。ただし学費が安いといっても毎月それなりにかかります。4年で卒業できるよう、計画的に学習を進める形が望ましいといえます。
入学する2つのデメリット
一定の英語力がなければ入学後に苦労する
通信教育課程は書類で合否が決まるため、英検準1級レベルの語彙力がなくても入学そのものは可能です。しかし入学後は、そのレベルの語彙力を持つ学生と同じ授業を受けることになります。
求められる語彙力も同水準以上になるため、力が足りない場合は苦労が大きく、単位を落とし続ける可能性があります。社会人として働きながら猛勉強するのは負担が重いため、入学前から計画的に英語力を高めておく形が有効です。
スクーリングのスケジュール調整が難しいことがある
メディア授業で修得できる単位には上限があるため、すべてをメディア授業で賄うことはできません。どこかのタイミングでスクーリングを受ける必要があります。有給休暇を取得して夏の6日間に集中して受講するか、土日を休みにして週末に集中して学ぶなど、スケジュール管理が重要です。
調整で躓くと他の予定にもしわ寄せが出ます。手帳などで逐一確認できる状態にしておき、効率的にスクーリングを組み込む計画性が求められます。
よくある間違い
「入学が書類選考だから卒業も楽」と考えて準備なしに入学するのが、最も多い誤解です。スクーリングで取得できる単位は全体の3割程度にとどまり、残りは自主学習とテキストでの単位取得になります。入学の難易度と卒業の難易度は別物です。
回避策は、出願前に志望学部の卒業要件と必修科目の修得方法を確認することです。文学部は必修科目をスクーリングで修得できますが、経済学部と法学部の必修科目はテキストでの修得が前提になります。年間で何単位を、どの方法で取るのかを先に決めてから出願する形が安全です。
FAST-UPが見てきた通信課程で伸び悩む人の共通点
指導現場で見ていると、つまずきの原因は意志の強さより学習設計の粗さにあります。レポート提出が中心になる環境では、締め切りから逆算して読む範囲を割り振る作業が欠かせません。ここを決めずに「空いた時間に進める」と考えた場合、繁忙期に一気に遅れが出ます。
もう一つの共通点は、英語と専門科目を同じ時期に詰め込むことです。語彙力の不足は専門科目の読解にも影響します。先に英語の土台を作り、その後に専門科目の単位を厚く取る順番にした人のほうが、途中で止まりにくい傾向があります。
質問できる相手を早めに確保しておくことも大きな差になります。慶友会やスクーリングで知り合った学生、通学課程の学生など、聞ける相手がいるかどうかで、同じ教材でも進み方が変わります。
まとめ
慶應義塾大学の通信教育課程には多くの人が在籍し、多様な経歴を持つ人たちが学んでいます。協力しながら卒業を目指す形になりやすいため、学生が集まる場に積極的に参加する価値があります。
通学課程の学生も同じ内容を学んでいるため、勉強を教えてもらうこともできます。人脈が築かれやすい環境を活かし、交流を広げていく形が学習の支えになります。通学課程での受験を検討する場合は、早慶上智の穴場学部ランキングも選択肢の整理に役立ちます。
よくある質問
Q. 慶應義塾大学の通信教育課程の入学難易度はどのくらいですか。 A. 選考は志願理由書などの書類で行われるため、一般入試を突破する通学課程と比べれば入学のハードルは低めです。ただし卒業要件が多く、卒業率は非公開ながら一説には5%にも満たないとも言われています。難しさは入学より卒業にあります。
Q. 学費はどのくらいかかりますか。 A. 在籍基本料が年間3万円、授業料が年間14万円、スクーリング受講料が1単位5,000円(大阪は2単位2万円)です。4年間でおよそ90万円弱に収まり、通学課程の1年分の学費を大きく下回ります。
Q. 遠方に住んでいてもスクーリングに通えますか。 A. スクーリング会場は東京と大阪にあります。通うのが難しい場合は、メディア授業を最大10単位までスクーリングの単位として扱ってもらえます。ただし全単位をメディア授業で賄うことはできないため、夏期・夜間・週末のいずれかで受講する計画が必要です。
Q. 卒業すると学歴はどうなりますか。 A. 最終学歴は慶應義塾大学卒業になります。教員は通学課程と同じで、一定の単位を修得すれば通学課程の卒業生と同じ扱いです。履歴書にも慶應義塾大学卒業として記載できます。
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