早稲田大学の入試はなぜ難化?難しさの例え
偏差値70前後の学部学科が数えきれないほど存在する早稲田大学。
FAST-UP
早稲田大学の入試が難化した主因は、入学定員の厳格化による倍率上昇と、推薦・総合型の枠拡大による一般選抜枠の縮小です。難しさは、私立大学の偏差値ランキング上位を文系・理系ともに占め、倍率が高い学部が並ぶ水準です。
2026年9月時点の情報です。
偏差値70前後の学部学科が数えきれないほど存在し、少子化が進んでも人気が落ち込まないのが早稲田大学です。ここでは難化の理由、難しさの目安、入試制度、狙い目の学部を順に整理します。
早稲田大学の入試が難化した2つの理由
難化の理由は、入学定員の厳格化と、一般選抜枠の縮小に集約されます。どちらも受験生の努力とは関係のない外部要因で、競争を押し上げる方向に働きます。
定員が厳格化し倍率が上昇したから
ここ数年、大学は入学定員を厳格に管理しています。全体の入学定員が8,000人以上の大規模校の場合、定員の1.1倍までしか受け入れられません。これを超えて入学させると補助金削減の対象になるため、厳格化せざるを得ませんでした。
結果として合格者数はほぼ据え置きとなり、受験人数が増えればそれだけ倍率が高まります。倍率の上昇は合格最低点の上昇につながりやすく、より多くの得点が求められる状況を生みます。合格者数が増えないまま志願者が増えれば、上位から順に区切る線が上がるためです。もともと難関大学である早稲田で、難しさがさらに際立つ形になっています。
推薦枠が増加し一般入試枠が減少したから
早稲田大学では、AO入試や推薦入試の枠をここ10年で一気に増やし、2017年の段階で4割程度にまで達しています。これが過半数を超え、6割程度にまで増えるのではないかとも言われており、そうなれば更なる難化が想定されます。
定員の厳格化と一般枠の減少は競争を強め、偏差値にも反映されます。少数精鋭のハイレベルな戦いになれば、同じ得点でも通りにくくなります。
早稲田大学の入試の難しさを例えると?
難しさを一言で例えると、「私立大学の上位ランキングを文系・理系の両方で占める位置」です。偏差値と倍率の両面から見ていきます。
偏差値はほとんどの学部で上位
私立大学の偏差値ランキングを見ると、文系・理系ともに早稲田が上位を席巻しています。文系では文化構想学部と文学部が共通テスト併用の入試で偏差値70をオーバーし、複数の学部・学科も追随しています。ライバルである慶應義塾大学もいくつか入っていますが、その数は早稲田が凌駕している状況です。
私立全体のトップは慶應の医学部ですが、早稲田も理工系3学部を中心に偏差値が高く、理系大学のトップと言われる東京理科大学を上回る学部がいくつもあります。文系・理系の双方でランキング上位に並ぶ点が、早稲田の難しさを表しています。
序列や偏差値帯の全体像は、早慶上智ICUの偏差値ランキングと序列でも整理しています。
倍率5倍以上の学部も多い
ブランド力が衰えず人気が続いているため、倍率が高い学部が数多く存在します。2022年度入試の倍率は次の通りです。
| 学部 | 2022年度入試の倍率 |
|---|---|
| 文学部 | 全体で8倍 |
| 文化構想学部 | 9倍近く |
| 社会科学部 | 9倍超 |
| 教育学部 | 6倍 |
| 政治経済学部 | 3倍程度 |
政治経済学部は一見すると人気がないように見えますが、偏差値は高い水準を保っています。ハイレベルな戦いが知られるうちに記念受験が減り、強く志望する人や国公立志望者の併願先として受ける人による少数精鋭の構図になったと考えられます。いずれにしてもいばらの道であることは確かです。
難化した早稲田大学の合格への第一歩!入試制度を知ろう
入学ルートは一般選抜だけではありません。方式ごとに求められるものが異なるため、全体像を先に押さえると戦略が立てやすくなります。
| 入試方式 | 主な実施学部・対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 一般選抜 | 全学部 | 現状では過半数の学生を一般選抜で受け入れ |
| 英語4技能テスト利用 | 一部の学部 | 英検などの点数を英語の得点に置き換え |
| 大学入学共通テスト利用入試 | 積極的に実施 | 政治経済学部は5教科7科目で得点率8割後半がボーダー |
| 自己推薦入試 | 社会科学部・スポーツ科学部 | 書類審査に加え小論文・面接(スポーツ科学部は面接のみ) |
| AO方式等による入試 | 6つの学部 | 学部ごとに独自基準。国際教養学部は国内・国外選考 |
| FACT選抜 | 人間科学部 | 2023年度から総合型選抜。論述試験などで選抜 |
| 新思考入試 | 対象学部 | 2024年度入試から「地域探究・貢献入試」に変更 |
| 指定校推薦入試 | 社会科学部・スポーツ科学部以外 | 高校ごとの枠を校内選考で決定 |
一般選抜
入試制度のメインは一般選抜です。現状ではまだ過半数の学生を一般選抜を通じて受け入れており、定員厳格化制度の一部緩和も今後始まるとされています。難化している状況ではありながらも、一般選抜から入学することを考えたほうが、努力が結果に結びつきやすい面があります。
英語4技能テスト利用には落とし穴とメリットがある
一部の学部では英語4技能テスト(読む・聞く・話す・書くを測る英検などの外部試験)を利用する方式があります。英検などの点数を一般入試の英語の点数に置き換えられる仕組みで、入試当日だけ調子を崩して本来の結果が出ない事態を避けられます。
外部試験は何度も受けられるため、成績のよい回を活用できるのが大きなメリットです。裏を返せば、同じことを考える受験生が多い分、高い点数での勝負になりやすく、ここで差をつけるのは容易ではありません。場合によっては差をつけられる側に回ることもあります。
早稲田では英検準1級以上の実力が問われやすく、高3の早い時期までにその水準を確保しておく必要があります。準備開始が遅れると、他科目の仕上げと重なって負担が大きくなります。
大学入学共通テスト利用入試
大学入学共通テスト利用入試(共通テストの成績だけ、または併用で合否を決める方式)は、慶應義塾大学では用いられませんが、早稲田は積極的に利用しています。政治経済学部では得点率8割後半がボーダーで、5教科7科目での勝負となります。
この方式は、国公立大学を狙う学生が併願先として使う形と考えたほうがよいでしょう。5教科7科目の高い得点率が前提となるため、私立向けの少数科目に絞って学習している場合は負担が大きくなります。私大専願の場合は、一般選抜を主軸に置くほうが現実的です。
自己推薦入試
自己推薦入試は社会科学部とスポーツ科学部で実施されています。いずれも書類審査が行われ、社会科学部は小論文と面接、スポーツ科学部は面接のみです。評定平均(高校の成績を5段階で平均した数値)や欠席日数の制限もあり、高校時代までに確かな実績を残している人が対象になります。
社会科学部の倍率は高く、2022年度入試はより厳選された傾向があるため、自己推薦入試も「難化」している可能性があります。今後の推移に注目したいところです。
AO方式等による入試
AO方式等による入試は6つの学部で実施されています。先進理工学部では数学オリンピックなどで実績を残した人物を対象とし、スポーツ科学部は既に国際的に活躍する人物を対象とするなど、学部ごとに基準が異なります。
国際教養学部では国内選考と国外選考の2つが用意され、インターナショナルスクール出身者が国外選考に入るなど、多様性を感じさせる手法で選抜が行われています。
FACT選抜
FACT選抜は人間科学部で行われる入試制度です。2022年度までは学校推薦型選抜でしたが、2023年度からは総合型選抜(学力試験以外の書類や論述などで多面的に評価する方式)に変更されています。
求められるのは「対話」「論理」「表現」「分析」「省察」の力で、論述試験などを通して選抜されます。評定平均の基準も設定されており、数学と理科、国語の評定が問われやすいのが特徴です。
新思考入試
新思考入試は「地域への貢献」をテーマに行われ、全都道府県からの受け入れを目標に掲げています。2024年度入試からは「地域探究・貢献入試」へ名称が変わるため、地域貢献をより前面に打ち出した入試になっていくと想定されます。
指定校推薦入試
指定校推薦入試(大学が高校を指定して枠を与える推薦)は、社会科学部とスポーツ科学部以外の学部で実施されています。全国各地の高校に枠が与えられ、高校内でセレクションを行う流れです。品行方正で成績上位の人物が選ばれやすく、校内選考を通過した場合は合格に至るケースが一般的です。
FAST-UPが見てきた早稲田受験のつまずきどころ
指導現場で目立つのは、「早稲田対策」をひとまとめに考えてしまうことです。早稲田は学部ごとに科目構成や出題の癖が違い、入試方式も並行して存在します。学部を決めずに勉強を続けると、どの過去問にも手が合わないまま時間が過ぎていきます。
もう一つは、英語4技能テストの準備を後回しにする流れです。外部試験は申し込みから結果が出るまでに時間がかかるため、受け直す余地を残すには早い段階からの着手が前提になります。英語の仕上げと社会・国語の演習が同じ時期に重なり、どちらも中途半端になるケースを多く見てきました。
併願設計の遅れも共通するつまずきです。難化の影響は慶應やMARCH、日東駒専にも波及していると言われ、滑り止めの位置づけが昨年の感覚のままだとかみ合いません。学部研究と併願計画を、過去問演習と同時並行で進めるのが現実的です。
よくある間違い:共通テスト利用を本命にしてしまう
私大専願なのに共通テスト利用入試を本命に据えるのが、よく見られる間違いです。政治経済学部のように5教科7科目で8割後半の得点率が求められる方式では、少数科目に絞った学習との相性がよくありません。
回避策は、主軸を一般選抜に置き、共通テスト利用はあくまで追加の受験機会として扱うことです。国公立を併願していて5教科7科目を仕上げている場合には、有効な選択肢になります。
早稲田大学のねらい目の学部
狙い目は、入試方式が複数あってチャンスが増える学部です。方式の数だけ受験機会が増えるため、得意科目を生かしやすくなります。
たくさんのチャンスを得られる「文学部・文化構想学部」
文学部と文化構想学部は、共通テスト利用入試や英語4技能テスト利用入試など方式がいくつかあり、英語に自信があるほどチャンスが広がります。両学部はもともと成り立ちが同じで、文学部の再編をきっかけに文化構想学部が独立しました。
そのため選抜方法も似通っており、どちらを受験しても対策の親和性が高いのが利点です。入学後の方向性も大きく離れておらず、どちらでも文学的な学びができます。
準備が遅れても勝負できる「教育学部」
教育学部もチャンスの多さという点で面白い学部です。英語がそこまで得意ではない場合、他科目で挽回できる可能性があります。
注意したいのは学科の多さです。学科によって偏差値にばらつきがあり、専門性の高い学科もあります。偏差値だけで選んで入ると、入学後に苦戦することもあるため確認が必要です。
学部単位での狙い目をさらに広く比べたい場合は、早慶上智の穴場学部ランキングと慶應義塾大学の入りやすい学部も合わせて読むと、併願の組み方が見えてきます。学部の所在地を確認したい場合は早稲田大学の全キャンパスと所属学部、学問分野から探す場合は早稲田大学で心理学を学べる学部が参考になります。
まとめ
早稲田大学は難化傾向にあり、その影響は慶應やMARCH、日東駒専にも波及していると言われています。一方で、時間をかけて確かな学力を積み上げれば、難化の影響は小さくなります。
入試制度が豊富で、地方に住む学生にとって魅力的な制度もそろっています。志望学部と方式を早めに決め、対策を組み立てることが攻略の出発点です。
よくある質問
Q. 早稲田大学の入試の難しさは、どのように例えられますか。
A. 私立大学の偏差値ランキングで文系・理系の上位を占める位置です。文化構想学部と文学部は共通テスト併用で偏差値70を超え、理工系3学部を中心に東京理科大学を上回る学部もあります。2022年度入試では倍率5倍を上回る学部も複数ありました。
Q. なぜここ数年で難化したのですか。
A. 入学定員の厳格化で合格者数がほぼ据え置きとなり、志願者が増えると倍率が上がる構造になったことが一つです。もう一つは、AO入試や推薦入試の枠が拡大し、一般選抜の枠が相対的に縮んだことです。
Q. 英検準1級は取っておいたほうがよいですか。
A. 英語4技能テスト利用方式を使う場合は有効です。早稲田では準1級以上の実力が問われやすく、高3の早い時期までに確保しておきたい水準です。外部試験は複数回受けられるため、良い成績を残すには早めの着手が前提になります。
Q. 私立専願でも共通テスト利用入試は使えますか。
A. 使えますが、主軸にはしにくい方式です。政治経済学部は5教科7科目で得点率8割後半がボーダーとなるため、少数科目に絞った学習とはかみ合いません。国公立併願で5教科7科目を仕上げている場合に向いています。


