大学受験でTOEICは使える?必要スコアと英検との違い
大学受験でTOEICが使える範囲と使えない理由を整理。
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大学受験でTOEICは使えます。ただし使えるのは一部の大学・学部に限られます。使われ方は出願資格・得点換算や加点・英語試験免除・判定優遇の4つで、総合型選抜や学校推薦型選抜が中心です。まず志望校の募集要項を確認してください。
2026年10月時点の情報です。
TOEICは大学受験で使える?結論と使える範囲
TOEICは大学入試で活用できる英語試験です。全国の国公私立大学を対象にした運営団体の調査では、入学試験でTOEICを活用している大学は390校と公表されています。つまり「まったく使えない」わけではありません。
一方で、すべての大学・すべての入試方式で使えるわけではない点が重要です。使える範囲をまとめます。
| 入試の種類 | TOEICの使われやすさ | 補足 |
|---|---|---|
| 総合型選抜 | 使われやすい | 出願資格や判定の材料になることが多い |
| 学校推薦型選抜(公募制) | 使われやすい | 出願資格・加点の例がある |
| 一般選抜の英語外部試験利用方式 | 一部で使える | 得点換算や試験免除の設定がある |
| 一般選抜の通常方式 | ほとんど使えない | 大学独自の英語試験や共通テストが評価の中心 |
一般選抜の通常方式で使いにくい理由は、評価の中心が当日の英語の学力試験に置かれているためです。したがって、志望校が外部試験利用方式を設けていない場合は、受験英語の学習を優先する判断になります。英語そのものの勉強の進め方は大学受験のための英語勉強法で解説しています。
大学受験でのTOEIC活用方法4つ(出願資格・得点換算と加点・試験免除・判定優遇)
活用方法は大きく4つに分かれます。どの方法に当たるかで、必要なスコアも準備の優先度も変わります。
| 活用方法 | 内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 出願資格 | 基準スコアがないと出願自体ができない | 総合型・推薦型を狙う人 |
| 得点換算・加点 | スコアを英語の得点に置き換える、または加点する | 英語を得点源にしたい人 |
| 試験免除 | 当日の英語試験が免除される | ほかの科目に時間を回したい人 |
| 判定優遇・合否参考 | 書類審査や総合評価でスコアが考慮される | 書類で英語力を示したい人 |
出願資格としてTOEICスコアを使う
出願資格とは、出願するために満たす必要がある条件のことです。基準スコアに届いていなければ出願できません。この方式は国公立・私立のどちらにも見られます。
具体例として、北海道大学工学部の総合型選抜では、TOEICの聞く・読むのテストで550点が出願資格の基準として示されています。基準に1点でも足りなければ出願できないため、余裕を持ったスコアを取る計画が必要です。
出願資格型は「基準を超えれば扱いは同じ」という設計が多く、基準を大きく超えても直接の加点にはならない場合があります。スコアを伸ばし続けるより、基準到達後は他教科に時間を配分するほうが合理的です。
得点換算・加点でTOEICスコアを使う
得点換算は、スコアを英語試験の点数に置き換える方式です。加点は、試験の得点にスコアに応じた点を上乗せする方式です。
例を挙げます。駒澤大学のグローバル・メディア・スタディーズ学部の一般選抜では、聞く・読むのテストで665点以上を160点、860点以上を190点に換算する設定が公表されています。横浜市立大学医学部の学校推薦型選抜では、600点で3.0点の加点という例があります。
ここで注意したいのは、換算や加点の幅です。加点が小さい方式では、スコアを上げるより受験科目の学習に時間を使うほうが総合点は伸びやすくなります。配点表を見て、投資する時間に見合うかを先に判断してください。
英語試験免除・判定優遇でTOEICスコアを使う
試験免除は、基準スコアを満たすと当日の英語試験を受けなくてよくなる方式です。英語の得点を満点とみなす「みなし満点」の形をとる大学もあります。免除になれば、英語の対策時間を他科目に回せます。
例として、京都ノートルダム女子大学の現代人間学部の学校推薦型選抜では、聞く・読むのテストと話す・書くのテストの合計790点以上、かつ各テストの最低基準を満たすと英語試験が免除される設定があります。
判定優遇・合否参考は、スコアを総合評価に反映する方式です。志願者が募集人員を超えた場合に有利に働くこともあります。評価の仕組みが公開されないことも多いため、確実な得点として当てにしすぎないほうが安全です。
大学受験でTOEICは何点必要?スコアの目安
必要スコアは方式によって幅があり、400点台から800点台まで設定があります。目安としては、平均を上回る水準が求められます。
入試方式別に求められるスコアの目安
方式ごとの目安を整理します。あくまで一般的な傾向で、最終判断は募集要項で行ってください。
| 方式 | 目安となるスコア | 例 |
|---|---|---|
| 加点・得点換算 | 聞く・読むで550〜650点台 | 駒澤大学で665点から換算 |
| 出願資格 | 聞く・読むで600点以上 | 北海道大学工学部で550点 |
| 試験免除・高評価 | 4技能で800点前後 | 工学院大学は400点以上から利用可 |
学部系統でも差があります。外国語系・国際系・経済経営系は高めの基準が並びやすい一方で、工学部など理系学部では比較的低い基準から利用できる例もあります。英語の比重が学部ごとに違うことが理由です。
高校生のTOEIC平均スコアの目安
運営団体が公表する2025年時点のデータでは、高校生の聞く・読むのテストの平均スコアは535点、話す・書くのテストは245.4点です。内訳は聞く力が302点、読む力が233点です。
つまり、出願資格でよく見る600点前後は「高校生の平均より少し上」の水準です。到達不可能な数字ではありません。ただし、平均は受験した高校生の中での数字です。英語を得意にしている層が多く受けている可能性があるため、学校の英語が平均的な生徒にとっては対策が必要な水準と考えてください。
TOEICのスコア別レベルと難易度(500・600・700・800・900点)
スコアごとの難易度の目安を表にまとめます。学習時間や大学レベルの対応は一つの見立てで、個人差があります。
| スコア | 難易度 | 目安の学習時間 | 英検の目安 |
|---|---|---|---|
| 500点 | 比較的易しい | 450時間 | 2級レベル |
| 600点 | 普通 | 700時間 | 2級〜準1級レベル |
| 700点 | やや高い | 950時間 | 準1級レベル |
| 800点 | 高い | 1,225時間 | 準1級〜1級レベル |
| 900点 | 非常に高い | — | 1級レベル |
満点は990点で、5点刻みのスコアで表示されます。合否はありません。800点を超える受験者は全体の13%、900点を超えるのは3%という数字もあり、高校生が短期間で届く水準ではないと考えるのが現実的です。
受験生が目標にしやすいのは500〜700点台です。この範囲は出願資格や得点換算の基準として設定されることが多く、学習の費用対効果が見込めます。
TOEICが大学受験で使えないと言われる理由
「使えない」と言われる理由は3つあります。どれも事前に調べれば回避できる落とし穴です。
TOEICを採用していない大学・学部が多いから
最大の理由は、採用していない大学・学部が多いことです。高いスコアを持っていても、採用していない大学を受けるなら評価には反映されません。
また、運営団体は大学入学共通テストへの英語民間試験としての参加を辞退しています。理由は、受験から成績提供までの日程に関する要請に対応できないと判断したためと説明されています。年間の受験者が多く、試験日程を日本側だけで決められない事情も挙げられています。この経緯もあって、共通テストの枠組みでは使えないという理解が広がりました。
S&W(スピーキング・ライティング)のスコアを求められる場合があるから
2つ目は、話す・書くのテストのスコアも求める大学があることです。一般にTOEICといえば聞く・読むのテストを指しますが、入試では4技能を要件にする大学が少なくありません。
運営団体の2022年度の調査では、聞く・読むのテストを活用する大学が236校、聞く・読むと話す・書くの両方を活用する大学が250校でした。両方を求める大学のほうが多い結果です。聞く・読むのテストだけ受けていて、出願直前に要件を満たしていないと気づく例は避けたいところです。
話す・書くのテストは会場のパソコンで受けます。スピーキングは11問を約20分、ライティングは8問を約60分で解答します。実施回数も形式も聞く・読むのテストとは違うため、必要なら早めに受験計画へ組み込んでください。
IPテストのスコアが認められない場合があるから
3つ目は団体受験の扱いです。学校や企業単位で実施する団体特別受験制度(IPテスト)のスコアを認めない大学があります。公式認定証に記載されたスコアの提出を求める大学が一般的です。
ただし一律ではありません。神戸大学工学部の総合型選抜のように団体受験のスコアを認める例や、立教大学経営学部の総合型選抜のように団体受験可と明記する例もあります。学校で受けたスコアを使う予定なら、募集要項で可否を必ず確認してください。
よくある間違い:学校で実施された団体受験を「公式のスコア」と思い込み、出願時に使えないと分かるケースです。回避策は、申し込み前に志望校の要項で団体受験の可否を調べ、不可なら個人で公開テストに申し込むことです。公式認定証の有無で判断できます。
TOEICを入試で使える大学の傾向(国公立・私立・早稲田など難関私大)
国公立と私立で使われ方の傾向が異なります。採用の有無だけでなく、どの選抜で使えるかを見てください。
国公立大学の傾向
国公立大学では、総合型選抜や学校推薦型選抜の出願資格・要件として使われるケースが中心です。一般選抜での加点や試験免除は限定的です。
| 大学・学部 | 入試方式 | 利用方法 | 基準 |
|---|---|---|---|
| 北海道大学 工学部 | 総合型選抜 | 出願資格・判定優遇 | 聞く・読む550点 |
| 横浜市立大学 国際教養学部 | 総合型選抜 | 出願資格・加点 | 500点または600点以上 |
| 京都大学 農学部 | 特色入試 | 出願資格 | 聞く・読むおおむね600点以上 |
| 神戸大学 工学部 | 総合型選抜 | 出願資格 | 750点以上(団体受験可) |
| 千葉大学 法政経学部 | 一般選抜 前期 | 加点 | 合算1420点以上で5点加点 |
千葉大学の例では、話す・書くのスコアを2.5倍して合算します。大学独自の換算式があるため、公式スコアの単純合計とは違う数字になる点に注意してください。
私立大学の傾向と早慶・GMARCHでの扱い
私立大学は使われ方の種類が豊富です。出願資格、加点、得点換算、英語試験免除まで幅があります。同じ大学でも学部や方式で条件が変わります。
| 大学・学部 | 入試方式 | 利用方法 | 基準 |
|---|---|---|---|
| 早稲田大学 社会科学部 | 総合型選抜(全国自己推薦) | 出願資格・判定優遇 | — |
| 慶應義塾大学 | — | 一般選抜での採用例は確認されていない | — |
| 青山学院大学 総合文化政策学部 | 一般選抜A方式 | 出願資格 | 合算940点以上 |
| 中央大学 商学部 | 英語外部試験利用方式 | 出願資格 | 合算790点以上 |
| 立教大学 経営学部 | 総合型選抜 自由選抜方式 | 出願資格 | 合算1,150点以上(団体受験可) |
| 明治大学 全学部 | 学部統一(英語4技能3科目) | 試験免除・得点換算 | 学部により異なる |
| 学習院大学 経済学部 | 学校推薦型(公募制) | 出願資格・判定優遇 | 合算650点 |
早慶の扱いをまとめると、早稲田大学は社会科学部や人間科学部の総合型・推薦型で利用例があります。一般選抜の主要方式で広く使える状況ではありません。上智大学は学校推薦型の公募制推薦で複数学部が採用しています。GMARCHでは、青山学院大学・中央大学・立教大学・明治大学に採用例があり、英語外部試験利用方式や総合型選抜が中心です。
難関私大の一般選抜を第一志望にする場合、TOEICで優遇を受けられる方式は限られます。そのため、受験英語の実力をそのまま伸ばす戦略のほうが選択肢は広がります。
一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜で扱いはどう変わるか
選抜ごとの扱いを整理します。
| 選抜 | 主な扱い | 出願までに必要なこと |
|---|---|---|
| 一般選抜 | 外部試験利用方式での得点換算・免除・出願資格 | 出願期間までにスコアを確定させる |
| 総合型選抜 | 出願資格・判定優遇が中心 | 夏から秋の出願に間に合わせる |
| 学校推薦型選抜 | 出願資格・加点が中心 | 評定平均との組み合わせ条件を確認 |
総合型選抜と学校推薦型選抜は出願時期が早いため、スコアの取得時期も前倒しになります。一般選抜の外部試験利用方式しか使わないなら、出願直前までに間に合えば足ります。
TOEICと英検、大学受験で有利なのはどっち
大学受験での汎用性を基準にすると、多くの受験生にとっては英検のほうが有利になりやすいです。理由は2つあります。1つ目は、大学入試で以前から評価されてきた英語資格が英検であり、TOEICの扱いは大学ごとの差が大きいことです。2つ目は、英検の級が学校で学ぶ内容と連動しており、学習計画を立てやすいことです。
| 比較項目 | 英検 | TOEIC |
|---|---|---|
| 評価の形 | 級ごとの合否とスコア | 5点刻みのスコア |
| 測る技能 | 4技能(面接あり) | 聞く・読む、または話す・書く |
| 出題場面 | 日常場面が中心 | 仕事の場面が中心 |
| 大学入試での採用 | 私立を中心に広く採用 | 大学・学部により差が大きい |
| 受験層 | 小学生から社会人まで | 学生から社会人 |
英語を重視する難関私立大学を目指すなら、英検準1級の受験を検討する価値があります。準1級から語彙と読解の水準が上がり、難関大の英語に近い負荷がかかるためです。
ただし、志望校がTOEICだけを採用している、またはTOEICのほうが基準に届きやすい場合は、TOEICを選ぶ判断もあります。採用状況は大学ごとに違うので、資格の優劣ではなく志望校の要項で決めてください。
TOEICとTOEFL・IELTS、今から取るならどれがいいか
大学受験で使うことだけを目的にするなら、英検を軸に考え、志望校がTOEICを採用していればTOEICを追加するのが現実的です。TOEFLやIELTSは、海外大学進学や留学を視野に入れる場合に検討対象になります。
| 試験 | 主な目的 | 大学受験での使いやすさ |
|---|---|---|
| 英検 | 学習到達度の測定 | 採用大学が多く使いやすい |
| TOEIC | 仕事で使う英語力の測定 | 採用大学・方式が限られる |
| TOEFL | 英語を母語としない人の学術英語力 | 採用はあるが数は限定的 |
| IELTS | 留学・移住向けの英語力 | 採用はあるが数は限定的 |
判断の順番を示します。
- 志望校と志望方式を決める
- 募集要項でどの外部試験が使えるかを調べる
- 使える試験の中から、基準に届きやすいものを選ぶ
- 受験日程と出願期限から逆算して申し込む
この順番を守る理由は、先に試験を選ぶと使えない資格に時間を使う恐れがあるためです。
大学受験英語とTOEICの違い(問題形式・時間・単語)
両者は測る力が違います。同じ英語でも対策はそのまま流用できません。
出題形式と求められる力の違い
違いを表にまとめます。
| 項目 | 大学受験英語 | TOEIC(聞く・読む) |
|---|---|---|
| 求められる力 | 精読力と論理的な読み取り | 限られた時間での情報処理 |
| 英文の内容 | 学術寄りの文章が多い | 仕事の場面の文書が多い |
| 出題範囲 | 広く、細かい文法も問われる | 出る範囲とパターンが決まっている |
| リスニング | 課さない大学も多い | スコアの半分を占める |
| 問題数と時間 | 90分で35題程度が一つの目安 | 120分で200問 |
TOEICは120分で200問を解きます。リスニングが約45分、リーディングが75分です。この分量から、1問にかけられる時間は短くなります。一方で大学受験の英語は、下線部和訳や内容説明など、文構造を正確につかむ力が問われます。求められる力が違うので、どちらかの対策だけで両方に対応するのは難しいと考えてください。
TOEICの単語と大学受験英単語はどこまで重なるか
基礎的な語彙は重なりますが、上の層は重なりません。高校で学ぶ基本語や基本文法は共通の土台になります。ここは兼用できます。
重ならないのは、それぞれに固有の語彙です。TOEICでは請求書、会議、出張、人事といった仕事の場面の語が繰り返し出ます。大学受験では環境、歴史、科学、哲学などの分野の語が出ます。したがって、TOEICの単語帳で受験英単語を済ませる学習は成り立ちません。
結論として、単語帳は目的別に分けるのが安全です。基礎の単語帳を1冊仕上げてから、必要に応じてTOEICの語彙を追加する順番にしてください。
高校生がTOEICを受けるべきか判断する基準
受けるべきかは、志望校での使い道があるかで決まります。使い道がないのに受けると、受験勉強の時間を削るだけになります。
受けたほうがよい人
- 志望校・志望学部がTOEICを出願資格や加点に採用している
- 外国語系・国際系の学部を志望している
- 大学入学後に留学を考えている
- 英語の基礎が固まっていて、高校1・2年で時間に余裕がある
今は受けなくてよい人
- 志望校の入試方式でTOEICが使えない
- 高校3年で、英語以外の科目に大きな不安がある
- 英文法や基本単語がまだ固まっていない
判断に迷うときは、志望校の採用状況を調べるところから始めてください。採用がなければ、受験科目の学習に時間を使うほうが合格可能性は上がります。
TOEICはいつ受ける?試験日・申込・スコアの有効期限
推奨は高校2年の後半から高校3年の前半です。総合型選抜や学校推薦型選抜の出願に間に合うためです。高校2年後半なら英文法の学習が一通り進んでおり、対策を始めやすい時期でもあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施回数 | 聞く・読むのテストは年10回以上、月1〜2回程度 |
| 申込期限 | 試験日の1か月半ほど前に締切 |
| 結果の確認 | 受験後、最短17日ほど |
| 受験料 | 聞く・読むのテストで7,810円 |
| スコアの有効期限 | 試験自体には期限なし。大学側が「2年以内」などの条件を設けることがある |
スケジュールを組むときの手順です。
- 志望校の出願開始日と締切日を確認する
- 公式認定証の到着までの期間を逆算する
- 目標スコアに届かなかった場合の再受験の回も確保する
- 最後の受験回の申込締切日をカレンダーに書く
再受験の回まで確保する理由は、1回で基準に届かない可能性があるためです。合否がないので、複数回受けて最も良いスコアを提出できます。
受験勉強とTOEIC対策を両立する勉強法
両立の基本は、共通する土台を先に固めることです。順序を間違えると、どちらも中途半端になります。
文法・単語・リスニングの基礎を共通の土台にする
優先順位は次のとおりです。
- 高校英文法の基本事項を一通り固める
- 基礎的な英単語帳を1冊仕上げる
- 短い英文を正確に読む練習を重ねる
- 音声を使ったリスニングの基礎練習を入れる
- 試験固有の形式に慣れる練習をする
1から4までは、受験英語とTOEICの両方に効きます。形式への対応は最後で構いません。理由は、TOEICは出る範囲とパターンが決まっているため、土台があれば形式慣れは比較的短時間で進むからです。
リスニングは1日5分でも毎日続けるほうが効果が出やすい分野です。通学時間などの短い時間を使えます。リスニングの具体的な進め方は大学受験リスニングの勉強法にまとめています。
TOEIC対策に使う参考書・問題集・アプリの選び方
選び方の基準は3つです。
- 解説が詳しく、間違えた理由を自分で確認できる
- 音声がついていて、同じ素材を繰り返し使える
- 今の実力より少し上の難易度に収まっている
冊数を増やすより、同じ教材を繰り返すほうが定着します。解きっぱなしにせず、解説を読み込んで間違えた理由を言葉にしてください。科目ごとの参考書選びの考え方は大学受験の独学におすすめの参考書で解説しています。英語の独学に使える教材やアプリは英語の独学での勉強法も参考になります。
大学受験でTOEICを使うときによくある間違いと注意点
受験英語の勉強をTOEIC教材で代用してしまう
最も多い間違いです。測る力が違うため、代用はできません。TOEICは短時間での情報処理を問い、大学受験は精読と論理的な読み取りを問います。TOEICの問題だけを解き続けても、下線部和訳や内容説明に対応する力は伸びにくくなります。
回避策は、教材を目的別に分けることです。受験用の長文問題集と英文解釈の教材を主軸に置き、TOEIC教材は形式慣れのために別枠で使います。
スコア提出方法・証明書の取り寄せ期間を確認していない
提出方法は大学によって違います。公式認定証の原本提出を求める大学もあれば、写しで足りる大学もあります。団体受験が不可の大学もあります。
さらに、結果の確認から公式認定証が手元に届くまでに時間がかかります。受験後に結果を確認できるのは最短17日ほどです。出願締切の直前に受験すると間に合いません。回避策は、出願締切から逆算して最後の受験回を決めることです。
志望校の募集要項でTOEIC利用条件を確認する手順
次の順で確認してください。
- 志望校の入試情報ページで、最新年度の募集要項を開く
- 志望学部・志望方式のページでTOEICの記載を探す
- 対象となるテストの種類(聞く・読むのみか、話す・書くも必要か)を確認する
- 基準スコアと、合算する場合の計算方法を確認する
- 団体受験の可否を確認する
- スコアの取得時期の条件(何年以内か)を確認する
- 提出方法と提出期限を確認する
運営団体の活用状況のページで大学を検索する方法もありますが、最終確認は必ず大学の募集要項で行ってください。基準や利用できるテストの種類は年度ごとに変わるためです。
★FAST-UPが見てきた、TOEIC対策でつまずく受験生の共通点
指導の現場で見ていると、TOEICに取り組んだ受験生がつまずく場面には共通点があります。いちばん多いのは、英語以外の科目との時間配分が崩れることです。英語の資格は形に残るので達成感が得られやすく、そちらに気持ちが向きます。その結果、社会や国語の演習量が落ち、総合点が伸び悩みます。
次に多いのが、リスニング偏重です。TOEICはスコアの半分がリスニングなので、点が動きやすい分野に時間を使いたくなります。ところが志望校の一般選抜でリスニングが課されない場合、その時間は得点に結びつきません。
3つ目は、長文読解力が伸びないまま進んでしまうことです。選択肢から答えを選ぶ練習を重ねても、文構造を正確につかむ練習が抜けていると、難関私大の長文で止まります。本文の内容を日本語で要約できるかを確認すると、穴に気づけます。
学習記録を見ていくと、つまずいている受験生ほど「英語の勉強時間」と「TOEICの勉強時間」を分けて把握していません。記録を分けると、どちらに偏っているかがすぐ見えます。偏りに気づけるようにしておくことが、崩れを防ぐ最初の一手です。逆転合格を狙う人の時間の使い方は逆転合格する人の特徴も参考になります。
★志望校の方式・英語の完成度・残り期間で決めるTOEIC活用タイプ分け
現場では、次の3つの軸で判断しています。志望校の方式、英語の完成度、残り期間です。
| タイプ | 状況 | 取るべき方針 |
|---|---|---|
| 活用型 | 志望方式で採用あり・英語の土台あり・時間に余裕あり | 基準スコアまで集中して取り、到達後は他科目へ |
| 併用型 | 志望方式で採用あり・英語の土台が不十分 | まず文法と単語を固め、形式対策は後回し |
| 見送り型 | 志望方式で採用なし | 受験英語に一本化する |
| 保留型 | 志望校が未確定・学年が早い | 英語の土台づくりを優先し、志望校確定後に判断 |
指導の中でよく起きるのは、併用型の受験生が活用型のつもりで動いてしまうことです。土台がないまま形式対策から入ると、スコアも受験英語も伸びません。英語の完成度を先に測ることで、この取り違えは防げます。
残り期間が短いほど、見送り型に寄せる判断が増えます。限られた時間では、得点に直結する勉強を選ぶ必要があるためです。
TOEICは大学入学後も使える(単位認定・大学院入試・就職活動)
大学入学後もスコアは活用できます。活用の場面は主に3つです。
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| 単位認定 | スコアに応じて英語科目の単位が認定される |
| 大学院入試 | 英語試験の免除や出願要件、合否判定に使われる |
| 就職活動 | 英語力の証明として履歴書に書ける |
単位認定については、運営団体の2022年度の調査で、全国776校のうち344校が活用していると公表されています。大学院入試では、研究科を含む746校のうち275校が活用していると回答しています。
このほか、大学の英語クラス分けや交換留学の条件、学内の奨学金選抜に使われることもあります。入試で使わない場合でも、大学生になってから受ける価値は残ります。
よくある質問
Q. 大学受験でTOEICは何点あれば有利になりますか。 A. 方式によって違います。加点や得点換算なら聞く・読むのテストで550〜650点台、出願資格なら600点以上が一つの目安です。試験免除や高い評価を狙う場合は4技能で800点前後が目安になります。高校生の平均が535点なので、平均を上回る水準が必要です。
Q. 学校で受けた団体受験のスコアは入試に使えますか。 A. 大学によります。公式認定証の提出を求め、団体受験を認めない大学があります。一方で神戸大学工学部の総合型選抜や立教大学経営学部の総合型選抜のように、団体受験を認める例もあります。申し込む前に募集要項で確認してください。
Q. 英検とTOEICのどちらを先に受けるべきですか。 A. 志望校の採用状況で決めます。採用状況が同じなら、大学受験では英検から受けるほうが計画を立てやすいです。級ごとに難易度が区切られており、学校で学ぶ内容と連動しているためです。志望校がTOEICのみ採用している場合はTOEICを選びます。
Q. 慶應義塾大学や早稲田大学の一般選抜でTOEICは使えますか。 A. 早稲田大学は社会科学部の総合型選抜や人間科学部の学校推薦型選抜で利用例があります。一般選抜の主要方式で広く使える状況ではありません。慶應義塾大学については、一般選抜での採用例は確認されていません。難関私大の一般選抜を狙うなら、受験英語の学習を優先してください。
Q. スコアに有効期限はありますか。 A. 試験自体にスコアの有効期限はありません。ただし大学側が「出願時点で2年以内に取得したもの」などの条件を設けることがあります。古いスコアを使う予定なら、取得時期の条件を募集要項で確認してください。
Q. 話す・書くのテストも受ける必要がありますか。 A. 志望校の要件によります。2022年度の調査では、聞く・読むのテストを活用する大学が236校、聞く・読むと話す・書くの両方を活用する大学が250校でした。両方を求める大学のほうが多いため、要件を早めに確認してください。


