ビリギャルの英語勉強法|マインドとメソッドを解説
一時期一世を風靡した「ビリギャル」
FAST-UP
ビリギャルの英語勉強法は、負の感情と明確な目標で勉強を続けるマインドセットと、単語・文法・長文・リスニングを基礎から積み上げるメソッドの両輪です。中学英語に戻り、覚えた分を翌日テストで確認する流れが核になります。
2026年9月時点の情報です。
以下では、マインドセットとメソッドに分けて整理し、非効率と指摘される点の改善策までまとめます。2027年度入試に向けて取り入れる場合も、考え方の部分は変わりません。
ビリギャルの英語勉強法【マインドセット編】
ビリギャルの勉強法で最初に注目されたのは、メンタル面の作り方です。勉強量を支えたのは、感情の扱い方と目標の固定でした。英語の勉強にどう活かされたのかを見ていきます。
マイナスの感情を利用する
原動力になったのは負の感情です。学校の先生だけでなく実の父親からも全否定される中で、強い劣等感を抱えながら、見返してやるという気持ちで勉強に臨みました。
このマイナスの感情をモチベーションにつなげられたため、1日中勉強をし続けても弱音を吐かず、やりきることができたとされています。
目標を明確にしてブレさせない
目標は早い段階で1つに固定されました。偏差値30の状態だったビリギャルに対し、塾講師はまず東京大学を志望校として提案します。しかしビリギャルはこれを拒否し、次に提案された慶應義塾大学を、お金持ちのイケメンが多そうという理由で受け入れます。
そして自分の手で慶應義塾大学合格と紙に書かせ、部屋に貼らせることで明確な目標を作らせました。のちに弱気になって別の目標に切り替えようとしたとき、塾講師はあえて厳しい言葉をかけ、奮起を促します。決めた目標を貫き通す姿勢は、英語の勉強の進め方にも通じます。
日記を書かせすべてを吐き出させる
感情の出口を作ることも学習の継続に使われました。塾講師はビリギャルに日記を書くよう勧めます。感情を吐き出すツールがなくなっていた本人にとって、日記だけが本音を出せる場所になりました。
なんでも書いていい代わりに、最後はポジティブな内容で締めるようアドバイスされます。その結果、嫌なことがあってもネガティブな感情で終わらせず、反省すべき点は反省して切り替えていけるようになりました。
ビリギャルの英語勉強法【メソッド編】
ここからは具体的な勉強法です。分野ごとに、何を核に置いていたのかを先に整理します。
| 分野 | 核になる考え方 | 具体的な進め方 |
|---|---|---|
| 英単語 | 覚えるべき語だけに絞る | 知らない単語に〇、寝る前に暗記して翌日テスト |
| 文法 | ミスする分野だけを潰す | 中学英語から復習し、問題を解いて定着させる |
| 長文 | 推測と文構造の把握 | 主語と述語を探し、書き込みながら読む |
| リスニング | 主語と動詞を聞き取る | 正しい発音で語彙を増やす |
英単語
英単語は、覚える対象を絞り、寝る前と翌日のテストで定着させる形が基本です。
知っている単語に×、知らない単語に〇をつける
チェックの付け方が通常と逆になっています。単語帳で暗記を進めるとき、普通は知っている単語に〇、できない単語に×やチェック印を入れます。ビリギャルはこの逆で、知っている単語に×、知らない単語に〇をつけました。
この〇で入試までに覚えるべき単語数をカウントし、それを1カ月ないし2カ月の日数で割って、1日に覚える単語数を決めます。勉強する必要があるかないかを示す〇×だと言えます。期限から逆算してノルマを出す発想は、逆転合格のスケジュールやその立て方の考え方とも重なります。
英単語は寝る前に覚える
暗記は寝る前、確認は翌日の夜という形がとられました。実際に暗記するのは単語帳に載っている英単語の例文です。寝る前にノートへ書き、テストでは空欄部分に英文の意味を書いていきます。
単にたくさん書いて覚えるのではなく、意味を明確にしながら覚えるやり方は、脳のメカニズム的にも効果があるとされています。
トイレに張り紙をして覚える
覚えにくい単語は、書く回数ではなく目に入る回数で押さえます。用意するのは1枚の大きな紙で、そこに英単語と品詞、意味などを書きます。1枚に書くのはたった1つの単語だけです。
何度も書いて覚えるよりも、1回だけ書いて貼る方が脳はしっかりインプットするという考え方です。何回も書いてしまうと、脳が重要ではないと判断してしまうとされています。
文法
文法は、苦手な分野だけをリストアップして潰す進め方が効率的です。得意な分野に時間を使っても、伸ばせる幅が小さいためです。
ミスをする分野をリストアップする
ビリギャルを指導した塾講師は、日本人が文法でミスをする分野の大半を「SV」「時制」「名詞の単複s・es」としています。ミスをする部分をリストアップし、それを潰していけばできるようになるという考え方です。(参考:Cheer up! English)
得意な分野はそれ以上触れず、苦手な分野だけを残して潰していけば、時間の使い方が引き締まります。
中学英語から復習を行う
復習の出発点は中学英語です。ビリギャルが塾に入った際、算数は小学生の内容から始めたことが明らかになっています。英語も中学英語から復習しており、英文法も同じ扱いでした。
中学までであらかたの英文法は登場し、高校に入ると一気にレベルが上がります。英文法の基礎が固まらないままだと、その先でつまずきやすくなります。だからこそ、英文法は中学レベルから始めます。
問題を解きながら身につける
インプットよりアウトプットを重く置くのが特徴です。坪田信貴さんが監修する「ビリギャル式坪田塾の英文法ノート」が発売されており、Amazonの試し読みには、「答え」を知り、その解法を「覚える」と書かれています。参考書ではなく問題集重視、授業よりテスト重視とも書かれています。(参考:Amazon)
つまり、参考書でまず軽くインプットし、問題集で何度もアウトプットする進め方です。英文法以外の本も基本的にはこの考え方に沿っています。
長文
長文は、速く読む訓練より、推測と文構造の把握を先に身につける形がとられました。
単語がわからなくても推測するクセをつける
わからない単語で止まらないことが最優先です。ビリギャルのモデルとなった小林さやかさんは、コクヨのインタビューで長文読解用のノートが真っ赤であることを指摘され、「長文は、速読するだけでは早くならない、単語がわからなくても推測するクセをつけろ」とアドバイスをもらったと話しています。(参考:コクヨ)
単語がわからなくても自分なりの解釈で読み進め、それを先生に見せて赤ペンを入れてもらう中でノートが真っ赤になりました。わからないなら前後の文章から推測する、この姿勢によって文脈が理解できるようになったといいます。
主語と述語を把握するクセをつける
読む手順の起点は主語と述語です。コクヨのインタビューでは、最初に主語と述語を見つけ、スラッシュをつけたり単語の意味を書き込んだりしていたことが語られています。読み終えるとノートはグチャグチャになり、そうやって手を動かすことで内容が頭に入るそうです。
英文における主語と述語は、文章を読むうえで最も重要な要素です。ここを押さえると、英文をシンプルに読めて理解度も深くなります。
国語力を高める
前後から文脈を理解するやり方は、国語力に支えられます。現代文でも、言葉の意味がわからなくても前後を読めば何を言いたいのかはある程度つかめます。同じことが長文読解にも言えます。
ビリギャルは小論文対策を行い、文藝春秋などを読んでいました。この積み重ねが国語力を高め、長文読解のレベルを押し上げたと言えます。
リスニング
リスニングも、主語と動詞を軸に聞くという点で長文と共通しています。
主語と動詞だけ理解すればいい
全部を聞き取ろうとしないことが出発点です。小林さやかさんと坪田信貴さんのYouTubeチャンネル「ビリギャルチャンネル」で、坪田さんは主語と動詞を理解すればおおよそのことは理解できると説明しています。(参考:ビリギャルチャンネル)
日本語は主語が省かれることが多い一方、英語には必ず主語がはっきり存在し、それに付属する動詞も続きます。この関係性を意識して聞けば、大事な言葉を聞き逃さずに済みます。
語彙力をつける
主語と動詞を軸にするとしても、土台になるのは語彙力です。リスニング力を上げるにはとにかく聞くことが大事だと思われがちですが、語彙がなければ聞き取れるものも聞き取れません。まず語彙を増やしてからリスニングに臨み、その中で主語と動詞を拾っていきます。
正しい発音で単語を覚える
語彙を増やす段階で発音まで入れておくことが条件になります。ビリギャルは単語を覚える際、正しい発音で覚えることを求められていました。覚えた時点で正しい音が入っていれば、聞こえた音と知識が結び付きます。語彙を増やす作業が、そのままリスニング力の底上げにつながります。
そもそもビリギャルって何?ビリギャルの概要
ビリギャルは、偏差値30の女子高生が慶應義塾大学に合格するまでを描いた実話ベースの物語です。
ストーリー
偏差値30の女子高生が塾講師と出会い、猛勉強を重ねて慶應義塾大学に逆転合格するストーリーです。中高一貫校の女子校に通っていたビリギャルは小学生の内容すら怪しい状態でした。
それでも自虐的にならず、周囲からの容赦ない否定にも耐え、母親から最大限の愛情を受けながら周囲を見返していきます。「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」はベストセラーとなり、関連書籍も出版されています。
ビリギャルって誰?
モデルとなっているのが小林さやかさんです。高校2年生のときに恩師である坪田信貴さんと出会い、慶應義塾大学を目指します。1日10数時間の勉強をこなし続け、慶應義塾大学に現役合格しました。
卒業後はブライダル企業に入ってウエディングプランナーになり、その後はビリギャルでの経験を講演で話すようになります。2019年からは大学院に進学するなど、今も学び続けています。
ビリギャルの師匠「坪田信貴」とは?
坪田信貴さんは現在、坪田塾の塾長を務めています。自身は高校2年生のときに、中学卒業レベルの英検3級に不合格でした。そこから1年猛勉強を重ね、TOEIC(英語でのコミュニケーション能力を測る民間試験)で満点をたたき出したこともあります。
留学先で心理学などを学び、IT企業を起業しながら塾を立ち上げ、そこに小林さんが入ってきました。本がヒットしたあとは小林さんと一緒に活動するなど、ビリギャル関連の仕事を続けています。
ビリギャルの勉強法の非効率な面と改善点
効果的に見える一方で、手間の多さを指摘する声もあります。指摘と改善の方向を先にまとめます。
| 指摘されている点 | 改善の方向 |
|---|---|
| 紙の辞書で調べて印をつける | 単語帳でチェックし、間違えた語をノートにまとめる |
| 大きな紙1枚に1語だけ書く | 単語帳を軸にし、覚えられない語に絞って紙に出す |
| 英文法を解きながら身につける | 単元ごとに基本と例外を学んでから問題演習に進む |
紙の辞書を使うのは非効率?
坪田さんは小林さんに紙の辞書を使うよう求めました。わからない単語を調べる際、1回目は下線、2回目は波線、3回目はマーカーで塗り、その単語をトイレに貼り付けるというやり方です。一見すると効率的ですが、紙の辞書でなければならないのか、別の方法があるのではないかという見方もあります。
改善点→単語帳でチェックし、ノートにまとめる
紙の辞書を引き直すより、単語帳でチェックして間違えた語をノートにまとめる方が効率的です。辞書をめくって同じ語を探し直す手間が省けるためです。まとめたノートだけで重点的に復習できる点も利点になります。
大きな紙1枚に1語を書いて覚えるのは非効率?
大きな紙1枚に1つの単語という形は、覚えるべき語が多いほど時間がかかります。1語だけをクローズアップする作業を全部の単語で行うのは現実的ではない、という見方ができます。
改善点→単語帳を活用する
この場合も単語帳が軸になります。どうしても覚えられない単語は、先に紹介したノートにまとめる方法が使えます。ノートに何回も書いて覚えるのは手間の割に定着しにくい面があるため、単語帳を回す形に寄せ、紙に出す語は絞るのが現実的です。
英文法は問題を解きながら身につけるのは非効率?
英文法をすべて網羅してからではなく、ある程度頭に入れたら問題を解きながら身につける進め方にも、非効率ではないかという声があります。
改善点→単元ごとに内容を完璧にしてから次に進む
問題を解きながら身につけるにしても、基本的な解き方と例外的な解き方を知らなければ手が止まります。基本と例外の2つを学んでからでも十分間に合うため、単元ごとに固めてから次へ進む形が安全です。そこで学んだ内容の応用が後の単元で出てくるため、基礎を固める作業はどこかで必要になります。
よくある間違い:マインドだけ真似して手順を飛ばす
いちばん多い失敗は、ビリギャルのマインドセットだけを取り入れ、中学英語の復習を飛ばしてしまうことです。長時間机に向かっても、高校範囲の問題集を解くだけでは、SVの把握や時制といった土台の抜けが残ります。
回避策は、勉強量を増やす前に中学レベルの文法と単語を一周し、理解が曖昧な単元を書き出してから高校範囲に進むことです。順番を戻す作業は遠回りに見えますが、長文とリスニングの両方に効きます。
FAST-UPが見てきた逆転合格の共通点
FAST-UPの指導現場で逆転合格まで届く受験生に共通するのは、やることを絞り、同じ教材を繰り返している点です。新しい参考書に手を出す回数が少なく、覚えた語をいつ確認するかまで決めています。
つまずきどころも似ています。多いのは、英文法を読んで理解した時点で終わりにしてしまい、問題を解く量が足りないまま長文に進むケースです。もう1つは、単語の暗記を後回しにして長文演習から入るケースで、結局は読めずに時間だけが減っていきます。
模試の判定が悪かったときに、単語や文法の段階まで戻れるかどうかも分かれ目になります。気持ちの持ち方より先に、戻る場所を決めておく方が立て直しは早くなります。進め方の全体像は逆転合格の勉強法やすぐ実践すべき逆転合格の勉強法も参考になります。
まとめ
ビリギャルの英語勉強法は、目標を固定して勉強を続けるマインドと、中学英語から積み上げてアウトプット中心で仕上げるメソッドの組み合わせです。やり方自体は理にかなっており、あとは本人が手順を守れるかどうかにかかっています。
坪田さんは初めて小林さんと会った際、素直な姿勢に可能性を見出したそうです。疑問を持たず一生懸命取り組めるかどうかが分かれ目になります。坪田さん自身も英検3級不合格からTOEIC満点を経験しているだけに、まずは素直に信じて試してみる価値はあります。
よくある質問
Q. 英語が苦手でも、ビリギャルの勉強法はそのまま使えますか? A. 中学英語の復習から入る点はそのまま使えます。ただし、紙の辞書や大きな紙を使う部分は手間が大きいため、単語帳とノートに置き換える形が現実的です。
Q. 単語と文法はどちらを先に進めればよいですか? A. 並行させつつ、単語を止めないのが基本です。長文もリスニングも語彙が土台になるため、文法の単元を固める期間も単語の暗記とテストは続けます。
Q. 長文が読めないときは何から直せばよいですか? A. 主語と述語を先に見つける練習からです。スラッシュを入れ、わからない単語は前後から推測して読み切り、その後に答え合わせと書き込みを行う流れが有効です。
Q. ビリギャルのように短期間で伸ばすには、どれくらい勉強すればよいですか? A. 必要量は現在の学力と志望校で変わります。目安の考え方は難関大学合格に必要な勉強時間や逆転合格の勉強法で整理しています。


