世界史の教科書の使い方と書き込み・色分け術
センター試験からリニューアルされた大学入試共通テスト。
FAST-UP
世界史の教科書は、まず通読して時代の流れをつかみ、次に人物や出来事へ線を引いて詳細を書き込み、最後に音読で繰り返す順番が効率的です。色分けは人・モノ・出来事・思想や制度・場所の5色に絞ります。
2026年9月時点の情報です。
センター試験から大学入学共通テスト(多くの大学が利用する全国一斉の共通試験)に変わりましたが、試験範囲が教科書全般というスタイルは変わっていません。2027年度入試に向けても、教科書を軸に据える方針は有効です。
世界史の教科書を用いた効率的な勉強法
教科書は「読む」「書き込む」「問われる」の3工程で回すと定着が早まります。順番を守ることで、流れの理解と用語の暗記が別作業になりません。
| 順番 | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 1 | 教科書を通読する | 時代と地域の大まかな流れをつかむ |
| 2 | 人物・用語に線を引き書き込む | 必要な情報を1冊に集約する |
| 3 | 書き込み式ノートで空欄を埋める | 覚えていない箇所を可視化する |
| 4 | 一問一答問題集で確認する | 教科書の内容を思い出す練習をする |
| 5 | 別の出版社の教科書を読む | 表現の違いから知識を立体化する |
教科書を読んで流れを把握する
暗記の前に通読します。歴史は大まかな流れをつかんでからキーワードを覚えることで、キーワードだけを暗記するよりも理解度が高まります。
流れをつかんだあとにキーワードの暗記を行い、再び教科書を読むと、よりはっきりと流れを理解できます。歴史のイメージがつかめると、新しい知識も理解しながら吸収できるため、勉強した分だけ知識が蓄えられる状態になります。
教科書に重要な情報を書き込んでいく
情報はノートではなく教科書に集約します。ノートにびっしりとまとめるやり方もありますが、教科書に書き込むと、覚えるべき場所と読み返す場所が一致します。
書き込み方は、単に太字をマーカーでチェックするだけにしません。教科書に出てきた人物やキーワードに線を引き、その詳細を余白に書いたり、参考書を解いてよく間違える部分にチェックを入れたりしていきます。何を勉強すればいいかが書き込みで分かるため、あとはそれを読み込めば内容理解につながります。
書き込み式ノートを活用する
高校で学ぶ世界史や日本史の教科書のシェアでトップを誇る山川出版社では、教科書で登場するキーワードなどが空欄になっていて、そこに書き込んでいくノートが売られています。
教科書を読み込んでも、実際にこのノートで書き込もうとすると空欄がそのまま残りがちです。その部分は理解していないことを意味します。1回目は教科書を見ながら空欄を埋めてチェックを行い、何回も繰り返す中ですぐに書き込めるようになれば、その部分の内容を理解したことになります。
一問一答問題集と併用する
山川出版社は一問一答(用語を一問ずつ答える形式の問題集)形式の問題集も出しています。教科書に出てきた内容で構成されているため、教科書に書かれていることを把握できているかがすぐに分かります。
重要度が3段階で示されているので、何を重点的に覚えるべきかも判断できます。定期テスト対策にも使えるため、早めに入手して損はありません。
別の出版社の教科書をもう1冊用意する
世界史の教科書は山川出版社のほかに東京書籍のものもあります。シェアでは山川出版社が大きいものの、東京書籍の教科書の内容も試験に出てきます。
注目したいのは、同じ出来事でも教科書によっては別の書き方、表現がなされている場合があることです。これを比較すると、同じ事項でも色々な切り口で問題を出せることが分かるため、その部分を勉強すると立体的な知識を身につけられます。余裕がある場合に取り入れる進め方です。
世界史の教科書の丸暗記は効果ある?
丸暗記は得点に直結しやすい方法です。ただし、やり方を区切らないと最後まで回りません。
世界史の教科書は丸暗記でもかなり効果がある
教科書を丸暗記すれば、共通テストで高得点を獲得できる可能性は高まります。共通テストの出題範囲は教科書の内容から構成されており、学校の授業で習っていないことが出てくるケースはかなり少ないためです。
私立大学の入試問題も基本的に高校で学んだ内容が出てきます。そのため、教科書の内容をもれなく押さえたい場合は丸暗記が有効で、あとはいかに効率的に覚えられるかにかかっています。
効率的に丸暗記する方法
時代や地域別で分けて覚える
教科書は数百ページあるため、一気に丸暗記するのは非効率です。時代や地域などのカテゴリー別に分け、だいたい数十ページごとにしてから丸暗記を行います。
やるべきことは、とにかく教科書を音読することです。数十ページを何度も音読し、10周分繰り返せば一定の知識を暗記できます。10周で大多数を覚えられる人もいれば、10周では半分ぐらいしか覚えられない人もいます。人によって15周、20周と増やしていきましょう。
寝る前に音読を行う
寝る前に音読を行うと記憶が定着しやすくなります。人間は寝る前に覚えると、睡眠中に記憶の定着に関する活動を活発にさせるためです。何回も読み込んでいけば、起きた時には音読した部分が定着していきます。
最初のうちはページ数を少なくし、毎日行っていくと習慣になります。手ごたえをつかんでいくと、寝る前のルーティンワークとして教科書の音読が行えるようになります。
マンガを活用する
丸暗記の障壁になるのがキーワードの存在です。イメージしにくいキーワードがあると、何度読んでも頭に入らないことがあります。逆に、イメージできれば頭に入りやすくなります。
マンガを活用すると、イメージとキーワードが結びつきやすく、大まかな流れをざっくりとつかめます。マンガで完璧に学ぶ必要はなく、多少粗めに道筋をつける程度でよいです。正しく細かく道を整備するのは、教科書の音読と丸暗記で行います。道なき道を進むのは一苦労ですが、多少でも道があれば歩を進めるのは楽になり、よい息抜きにもなります。
世界史の教科書を暗記する際のスケジュールの目安
教科書の内容をすべて覚えるには、だいたい数か月はかかると言われています。カテゴリーごとに区切って積み上げます。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 1カテゴリーの分量 | 数十ページ |
| 繰り返す回数 | 15周(人によって増やす) |
| 平日の学習時間 | 寝る前に1時間 |
| 土日の学習時間 | 1日3時間 |
| 1カテゴリーの完了 | 3週間 |
| 全範囲の完了 | 数か月 |
3週をメドに次のカテゴリーへ進みます。このとき、すでに暗記を終えた部分も、ケアの意味で軽く何周か黙読します。これを繰り返すと数か月で全体が覚えられ、あとは全体的に黙読でケアをし、アウトプットを重ねることで丸暗記の状態が維持できます。
世界史の勉強は教科書だけで大丈夫なのか
教科書だけでも大まかな点数は確保できます。ただし、8割以上の正答率を狙う場合は、丸暗記の中でどうしても抜け落ちる部分が出てきます。
それを補うのが参考書です。アウトプットを行えるだけでなく、別の切り口からの解説があることで知識がより立体的になります。高得点を狙う場合は参考書との併用が有効です。歴史科目で難関大を狙う場合の出題傾向は、早慶の日本史の難易度と対策も参考になります。
世界史の教科書との併用におすすめの参考書
| 参考書 | 向いている場面 |
|---|---|
| これならわかる!ナビゲーター世界史B | 教科書の記述が頭に入らないとき |
| 詳説世界史研究 | 国公立大学の2次試験・記述対策 |
| 世界史Bのグラフと資料の読み方が1冊でしっかりわかる本 | 共通テストのグラフ・資料問題対策 |
これならわかる!ナビゲーター世界史B
教科書の内容をわかりやすく解説した参考書です。世界史の教科書を出版する山川出版社から出ており、教科書とは違って分かりやすさに力を入れた内容が特徴です。
詳説世界史研究
教科書の内容をより詳しく、掘り下げて紹介している参考書です。国公立大学の2次試験対策や記述試験対策で詳しく理解したい場合、教科書の注釈だけでは分からない場合に向いています。
世界史Bのグラフと資料の読み方が1冊でしっかりわかる本
共通テストで登場するグラフ問題や資料問題の解き方が分かる参考書です。教科書だけではつかみきれない出題形式を理解できるほか、ここで登場したグラフが実際に共通テストで出るなど、参考になる内容となっています。
教科書を赤シートで隠す方法は効果あるの?
赤シートで隠す方法は万全とは言い難いです。覆えるのは太字部分と自分が重要だと思った部分にとどまり、キーワードだけを覚えて歴史の流れで覚えられないことがあるためです。
赤ペンと赤シートの商品は昔から存在し、便利な面もあります。ただし教科書の丸暗記は太字部分も注釈部分もすべて覚えます。自分が重要だと思っていても重要ではなかったケースもあれば、その逆もあります。赤シートは補助として使い、軸は通読と音読に置く形が安全です。
世界史の教科書のマーカー色分けのやり方
色分けは5色に固定します。人、モノ、出来事、思想や制度、場所の5つを5色で分け、どれをどの色にするかは自由です。
| 分類 | 色の例 |
|---|---|
| 人 | 青 |
| モノ | 赤 |
| 出来事 | 緑 |
| 思想や制度 | オレンジ |
| 場所 | 紫 |
教科書を読み込む際に、人物名が出てきたら青で引く、出来事が出てきたら緑で引くという作業を続けると、見た目でイメージしやすく、歴史の流れがつかみやすくなります。ノートをまとめる際にも活用できるため、赤ペンと赤シートに頼るより分かりやすく、見栄えもよくなります。
よくある間違い:色と書き込みを増やしすぎる
よくある間違いは、マーカーの色や書き込みを増やし続け、どこが重要か分からない教科書にしてしまうことです。すべてが目立つ状態になると、読み返すときに視線が止まる場所がなくなります。
回避策は2つです。
- 色は5分類までに固定し、分類が増えたら既存の5色に寄せる
- 書き込みは「流れの補足」と「自分が間違えた箇所」に限定する
この2点を決めてから書き込みを始めると、同じ教科書を何周しても読みやすさが落ちません。
FAST-UPが見てきた世界史の伸び悩みの共通点
指導現場で多いのは、教科書を読む作業と用語を覚える作業が分断されているケースです。一問一答だけを何周もして語句は言えるのに、時代をまたぐ問題や資料問題で手が止まります。
もう一つのつまずきは、書き込みの目的が決まっていないことです。授業で聞いたことをすべて写すと情報量が増え、読み返す気力が続かなくなります。書き込みは「あとで自分が読む一冊を作る作業」と位置づけたほうが、周回のスピードが上がります。
浪人や科目の立て直しを検討している場合は、志望校の難易度を先に確認しておくと計画が立てやすくなります。早慶上智の偏差値ランキングも合わせて確認しておくとよいでしょう。
まとめ
教科書の丸暗記は無謀に見えるかもしれません。しかし、毎日習慣的に音読を重ね、スキマ時間に黙読を重ねると、自然と教科書の内容が頭に入ります。
そのうえで参考書でアウトプットを行えば、テストで点数がとれる知識に変わります。丸暗記してもアウトプットをしないと忘れます。大事なのは覚えてからのケアです。
よくある質問
Q. 世界史は教科書だけで入試に対応できますか。 A. 大まかな点数は教科書だけでも確保できます。ただし8割以上の正答率を狙う場合は、抜け落ちる部分を補うために参考書との併用が有効です。資料問題や記述問題は、専用の参考書で形式に慣れておくと対応しやすくなります。
Q. 教科書への書き込みは何を書けばよいですか。 A. 人物やキーワードに線を引き、その詳細を余白に書くのが基本です。加えて、参考書を解いてよく間違える部分にチェックを入れます。授業の内容を丸写しにするのではなく、読み返したときに自分がつまずく場所が分かる状態を目指します。
Q. マーカーは何色使うのが良いですか。 A. 人、モノ、出来事、思想や制度、場所の5分類に対応する5色が目安です。色の割り当ては自由ですが、途中で変えると見返したときに混乱します。最初に決めた対応を最後まで通すことが大切です。
Q. 教科書の暗記はいつから始めればよいですか。 A. 全範囲を覚えるには数か月かかるとされるため、逆算して早めに着手するのが安全です。数十ページを1カテゴリーとして区切り、3週間で1カテゴリーを仕上げるペースを基準にすると、残り期間から必要な開始時期を計算できます。


