高校生の小論文の書き方|構成・例文・書き出しのコツ
作文との違いから序論・本論・結論の構成、書き出し
FAST-UP
高校生の小論文の書き方は、設問への結論を1文で決め、理由を2つに絞り、具体例で支える順番が基本です。序論・本論・結論で組み立て、書く前に構成メモを作れば形になります。
2026年10月時点の情報です。
2027年度入試に向けて、総合型選抜や学校推薦型選抜だけでなく一般選抜でも小論文が課されることがあります。ここでは、書き方の手順、出題形式別の進め方、減点されやすい点まで順番に整理します。
小論文とは何か?作文・感想文との違いを先に押さえる
小論文は、問いに対する自分の意見を根拠とともに論理的に述べる文章です。作文や感想文のように、感じたことをそのまま書くものではありません。採点では、論理性と根拠の妥当性が見られます。
| 種類 | 書く内容 | 主に評価される点 |
|---|---|---|
| 作文 | 自分の体験と、そこで感じたこと | 表現の豊かさ・読みやすさ |
| 感想文 | 読んだ内容への感想 | 共感・感受性 |
| 小論文 | 問いへの答え(主張)と根拠 | 論理性・根拠の妥当性 |
小論文で求められる意見は、揺るぎない持論ではありません。賛成と反対の両方の立場から論じさせる設問もあるため、自分の好き嫌いと答案の立場が一致していなくても問題ありません。問われているのは、初めて見るテーマでも筋道を立てて論じられる力です。
意見と感想の違いも押さえておきます。「好きだから続けたい」は感想です。「こういう事実があるから、この方法が望ましい」は意見です。両者を分ける境目は、自分の感情以外の根拠が示されているかどうかです。
レポートと混同する人もいます。学校のレポートは調べた情報の整理が中心になることが多い一方、入試の小論文は制限時間の中で問いへの答えを自分の言葉で示します。そのため、調べた内容を並べるだけの文章は評価されにくくなります。
高校生の小論文の基本構成|序論・本論・結論の役割と字数配分
基本は序論・本論・結論の三段構成です。字数配分の目安は序論20%・本論60%・結論20%で、本論に最も多く割きます。本論が意見を支える根拠を書く中心部分だからです。
| パート | 役割 | 字数の目安 |
|---|---|---|
| 序論 | 問題の所在を示し、自分の立場・結論を提示する | 全体の20%程度 |
| 本論 | 理由と具体例で主張を支える。反論への配慮も入れる | 全体の60%程度 |
| 結論 | 主張を整理して締める。新しい話題は足さない | 全体の20%程度 |
配分には別の目安もあり、序論・本論・結論を1:8:1とする考え方もあります。厳密な決まりはないので、序論を厚くしても構いません。指定字数が少ない場合は、結論を省いた序論+本論の二部構成でもよく、1:9や2:8が目安になります。
重要なのは序論です。序論で自分の立場と目の付け所がはっきりしていると、書く側は方向性が決まり、読む側にも流れが伝わります。逆に序論で立場を示せないと、本論が何の裏付けなのか分からなくなります。
応用として、主張・理由・具体例・反論・再反論・まとめのように段落を細かく分け、6段落で組み立てる型もあります。反論に触れる余裕がある字数のときに向いています。
小論文の書き方6ステップ|設問確認から見直しまでの手順
手順は次の6ステップです。いきなり本文を書き始めず、構成メモまで作ってから書くことが、書き切るための前提になります。
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1 | 設問を分解して、問いと条件を確認する |
| 2 | 自分の立場と結論を1文で決める |
| 3 | 理由を2つに絞り、具体例を用意する |
| 4 | 構成メモ(段落ごとの設計図)を作る |
| 5 | 構成メモどおりに本文を書く |
| 6 | 設問とのズレ・誤字脱字を見直す |
ステップ1 設問を分解して問われていることと条件を確認する
最初の作業は文章を書くことではなく、問題文を読み解くことです。設問の趣旨からずれた答案は、内容が良くても評価が下がります。条件を満たしていない時点で減点されるからです。
書き始める前に次をチェックします。
- 問いは何か(賛否・理由・提案・要約+意見のどれを求めているか)
- 指定字数と「以内」「程度」の区別
- 理由や具体例の数、資料使用などの条件
- 立場の指定(賛成・反対・両面検討)があるか
- 課題文や図表が付いているか
「問題点を挙げ、解決策を述べよ」という出題に解決策だけを書くと、条件を満たしていないと判断されます。設問に線を引き、答えるべき要素を書き出してから進めます。
ステップ2 自分の立場と結論を1文で決める
結論は1文で言い切ります。「私は〜と考える」「私は〜すべきだと考える」の形にすると、その後の展開が絞られて書きやすくなります。賛成か反対かの選択そのものは採点に関係しないので、具体例を出しやすい側を選んで構いません。
判断に迷うテーマでは、条件付きの立場が使えます。「〜という条件のもとで認めるべきだ」と書くと、反対意見への対応がしやすく、極端な主張になりません。ただし「どちらとも言えない」で逃げると、意見がない答案と見なされます。
ステップ3 理由を2つに絞り、具体例で支える
理由は数を増やすより、1つずつを厚く説明する方が評価につながります。目安は2つ、多くても3つです。理由が多いと、1つあたりの説明が薄くなるためです。
具体例は、次の順で説得力が強くなります。
- 制度や仕組みの話
- 社会で実際に起きた事例
- データ(課題文や図表から引用できるもの)
- 自分の体験
体験しか浮かばないときは、そのままにせず一般化します。「自分の学校ではこうだった」で終えず、「他の学校でも起こり得る」「仕組みを変えれば改善できる」とつなげると、主張を支える根拠になります。
反対意見への触れ方も本論で決めます。「確かに〜という見方もある。しかし〜」という譲歩の形(いったん認めてから反論する書き方)を使うと、一方的な主張にならず説得力が上がります。
ステップ4 構成メモ(設計図)を作る
構成メモとは、段落ごとの中身をキーワードで並べた設計図です。アイデアの書き出しは3分を目安にし、正しいかどうかは気にせず関連する言葉を並べます。
| 項目 | メモに書くこと |
|---|---|
| 問い | 設問が求めている答えの形 |
| 結論 | 立場を示す1文 |
| 理由1・具体例 | 理由と、それを支える事例 |
| 理由2・具体例 | 別の角度からの理由と事例 |
| 反論・対応 | 想定される反対意見と、その返し方 |
| 結論 | 最初の結論と同じ立場でまとめる |
構成メモを作る理由は単純で、書きながら考えると途中で論旨がぶれるからです。メモの段階で結論と理由がつながっているかを確認しておけば、本文を書く作業は文章に変換するだけになります。
ステップ5 構成メモどおりに本文を書く
メモの順番を変えずに書きます。段落のつなぎには「したがって」「具体的には」「しかし」などの接続語を補うと、骨格がそのまま文章になります。
一文は60字程度を目安にし、長くても80字以内にします。一文が長いと主語と述語がねじれやすく、読み手に内容が伝わりにくくなるからです。迷ったら文を切り、接続語でつなぎます。
ステップ6 設問とのズレ・誤字脱字を見直す
見直しは「誤字→条件→論理→表現」の順でも、「問いに答えているか」から確認する順でも構いません。優先度が高いのは設問とのズレです。字数や条件の不足は、内容に関係なく失点になります。
- 問いに正面から答えているか
- 指定字数と条件を満たしているか
- 序論の立場と結論が一致しているか
- 文体が混ざっていないか
- 誤字脱字・同音異義語の間違いがないか
試験では最後の5分を見直しに充てると安心です。漢字のミスが多い場合は、日頃の書き取りから直すのが近道です。進め方は高校生の漢字勉強法で確認できます。
小論文の書き出しの書き方|最初の一文のパターンと避けたい書き方
書き出しは前置きを置かず、問いへの答えから書きます。序論で方向性が示されている答案は、読み手が内容を追いやすくなります。
| パターン | 書き出しの例 |
|---|---|
| 立場を宣言する | 私は〜と考える。以下にその理由を述べる。 |
| 条件付きで答える | 私は、〜という条件のもとで〜すべきだと考える。 |
| 問題提起から入る | 近年、〜が課題となっている。この点について私は〜すべきだと考える。 |
| 筆者への賛否を示す | 筆者の指摘は〜という点で重要である。私もこの立場をとる。 |
| 要約から入る(課題文型) | 筆者は、〜ではなく〜が重要だと述べている。 |
避けたいのは次の書き方です。
- 「〜だと思います」を重ねて、立場があいまいになる
- 「良い面も悪い面もある」で終わり、どちらの立場か分からない
- テーマの一般的な説明だけが続き、意見が出てこない
序論になっていない序論は大きな失点につながります。理由は、序論で論点が決まらないと、本論の理由が何を支えているのか読み取れなくなるからです。書き出しに時間をかけるより、立場を1文で置いてから本論に進みます。
出題形式別の小論文の書き方|テーマ型・課題文型・図表型・ミックス型
出題形式ごとに、最初に確認すべきことが変わります。志望校は例年同じ形式で出題することが多いため、過去問で形式を確かめてから対策します。
| 形式 | 出題のされ方 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 課題文型 | 評論などの文章を読んで論じる。出題が最も多い | 筆者の主張と対比関係 |
| テーマ型 | 短い問題文だけが示される | 言葉の定義と論点の設定 |
| 図表・資料分析型 | グラフや統計を分析して論じる | 数値の推移と資料どうしの関係 |
| ミックス型 | 課題文と資料がセットで出る。課題文型に次いで多い | 文章と資料のつながり |
| 要約型・講義理解型 | 要約のみ、または講義を聞いて論じる | 要点の抜き出しとメモの精度 |
テーマ型|短い問いから論点を自分で立てる
テーマ型は、自分で論点を絞ることが出発点です。大きなテーマが出されることが多く、論点を広げすぎると、どの話も浅くなります。
進め方は次のとおりです。
- テーマの言葉の意味を自分で定義する
- 「原因」「影響」「解決策」のどれを論じるかを1つ選ぶ
- 受験する学部に関係の深い切り口に寄せる
複雑な社会問題で説得力のある対策まで示すのは難しいため、問題の指摘や分析にとどめても意見として成立します。無理に解決策をひねり出すより、論点を1つに絞って深める方が安全です。
課題文型|要約と筆者の主張の押さえ方
課題文型では、まず筆者の主張を正確につかみます。要約の設問が別に無い場合でも、第1段落に短い要約を入れると、課題文を理解していることを示せます。
要約のコツは、対比を出すことです。筆者が重視している内容だけでなく、その比較相手も書くと、次の段落で自分の論点を示しやすくなります。字数指定がなければ、要約は全体の2〜3割が目安で、600字なら120〜180字程度です。
自分の意見は、ただ賛成・反対を言うのではなく、どこに注目した賛否なのかを明示します。賛成の言い方は「意義深い」「重要な指摘である」、反対の言い方は「十分ではない」「問題がある」なども使えます。
図表・資料分析型|グラフから読み取るべきこと
図表型で見るのは、1点の数値ではなく変化の方向です。資料が複数あるときは、比べて共通点と違いを探します。目立つ数値を1つ挙げただけでは分析になりません。
- 全体の傾向(増えているか、減っているか、いつ変化したか)
- 資料どうしの関係(一方が増えると他方はどうなるか)
- 例外的な動きと、その背景として考えられること
読み取った内容を書いたあとに、自分の意見を続けます。分析と意見を分けて書くと、設問が「読み取り」と「意見」に分かれている場合にも対応しやすくなります。
字数別の書き方|600字・800字など指定字数ごとの段落数と配分の目安
指定字数で変わるのは、入れられる要素の数です。短い字数では理由を絞り、長い字数では反論への対応を足します。
| 指定字数 | 構成の目安 | 入れる要素 |
|---|---|---|
| 短めの指定 | 序論+本論の二部構成でも可 | 結論+理由1つ+具体例 |
| 600字程度 | 序論・本論・結論の三段構成 | 結論+理由2つ+具体例。課題文型なら要約120〜180字 |
| 800字以上 | 三段構成+反論の段落 | 結論+理由2つ+具体例+反論と対応 |
字数のルールは次のとおりです。「〜字以内」なら指定を1字でも超えないようにし、8割以上は埋めます。「〜字程度」なら前後1割の範囲に収めます。評価の前提として、既定の8割以上を書くことが求められます。
字数が足りないときは、理由の説明を一段深くするか、反論とその対応を足します。多すぎるときは、背景説明と同じ意味の言い換えを削ります。具体例を並べすぎている箇所も削りどころです。
小論文の基本ルール|文体・一人称・話し言葉など減点されない書き方
内容に入る前に落とす点があります。文体と言葉づかいのルールは、覚えれば確実に守れます。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 文体 | 「だ・である」で統一する。「です・ます」と混ぜない |
| 一人称 | 「私」を使う。「僕」「自分」は使わない |
| 話し言葉 | 「なので」「とても」「いろんな」は書き言葉に直す |
| ら抜き・い抜き | 「見れる」→「見られる」、「してる」→「している」 |
| 略語・略字 | 「スマホ」→「スマートフォン」など正式名称で書く |
| オノマトペ | 「ザーザー降る」→「激しく降る」と言い換える |
| 比喩・凝った表現 | 基本的に使わない。分かりやすさを優先する |
話し言葉の言い換えは、よく使う組み合わせだけ覚えておきます。
| 話し言葉 | 書き言葉 |
|---|---|
| 〜だと思う | 〜と考える |
| (文頭の)なので | したがって、そのため |
| もっと | より |
| いろんな | 様々な |
| とても | 非常に |
| 全然 | まったく |
文体の混在が大きな失点になるのは、書き手が形式を意識できていないと判断されるからです。書き終えたあとに文末だけを追って確認すると見つけやすくなります。
表現では、指示語の多用にも注意します。「これ」「それ」が増えるほど、何を指すのかが曖昧になります。「この問題」ではなく「教育格差の問題」と言い直すと、論の軸がはっきりします。根拠のないまま「絶対に」「必ず」と書くのも避けます。
原稿用紙の使い方|字下げ・句読点・数字や英語の書き方
原稿用紙のルールは、内容と関係なく減点される部分です。先に覚えてしまう方が効率的です。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 段落の始まり | 最初の1マスを空ける |
| 句読点・かっこ | 1マスに1つ。行の最初のマスには置かず、前の行の最後のマスに入れる |
| 数字 | 縦書きは漢数字、横書きは算用数字 |
| アルファベット | 大文字は1マスに1字、小文字は1マスに2字 |
| 感嘆符・疑問符 | 小論文では原則使わない |
| 書き直し | 消しゴムできれいに消してから書き直す |
段落の字下げは忘れる人が多い項目です。見直しのときに、段落の先頭だけを縦に確認すると抜けに気づけます。
高校生がやりがちな小論文のよくある間違いと直し方
よくある間違いは、設問ズレ・作文化・根拠不足の3つに集まります。どれも書く前の準備で防げます。
設問に答えず自分の書きたいことを書いてしまう
最も多い失敗です。賛否を問われているのに原因の説明を続ける、解決策を求められているのに現状の紹介で終わる、といった形で起こります。
回避策は、設問の文末をそのまま答案の結論の形にすることです。「〜について、あなたの考えを述べなさい」なら「私は〜と考える」、「解決策を述べなさい」なら「〜すべきだ」と置きます。書き終えたら、その1文が設問の要求と対応しているかを確認します。
体験談や感想だけで作文になってしまう
具体例が答案の大半を占めると、小論文ではなく体験記になります。本論の主役は理由であり、具体例はその理由を支える材料です。
回避策は、具体例を書いたあとに必ず「だから〜と言える」と一般化の1文を足すことです。この1文があるかどうかで、体験が根拠として働くかが決まります。
主張はあるが根拠がない/反対意見に触れていない
主張を繰り返すだけの答案は、説得力が出ません。どんな意見にも反対意見があるため、反論に触れずに言い切ると一方的に見えるからです。
回避策は、本論に「確かに〜という指摘もある。しかし〜」の一組を入れることです。反対意見を示したうえで、自分の立場の方が重要である理由や、反対意見の問題点を書くと、論の厚みが出ます。字数に余裕があるときほど効果があります。
小論文の例文|テーマ型と課題文型の答案と書き方のポイント
例文は全文を覚えるものではなく、段落の役割を確認するために使います。ここでは骨格と書き出しの実例を示します。
テーマ型の例(校内でのスマートフォン利用)
| 段落 | 内容 |
|---|---|
| 序論 | 私は、校内でのスマートフォン利用は条件付きで認めるべきだと考える。 |
| 本論1 | 第一に、調べ学習や連絡の面で学習を支える道具になるからである。授業で分からない語句をその場で調べられる環境は、学ぶ機会を広げる。 |
| 本論2 | 第二に、全面禁止は運用が続きにくいからである。規則が守られない状態が常態化すると、指導そのものが形だけになる。 |
| 反論と対応 | 確かに、授業中の利用は集中を妨げるという指摘がある。しかし、使う時間と場所と用途を限定すれば、この問題は抑えられる。 |
| 結論 | したがって、禁止ではなく、使う場面を決めて管理する方が望ましい。 |
ポイントは、立場を条件付きにしたことで反論に答えやすくなっている点です。理由を2つに絞り、それぞれに具体的な場面を添えています。
課題文型の例(骨格)
| 段落 | 内容 |
|---|---|
| 第1段落 | 要約。「筆者は、Aではなく Bこそが重要だと述べている」と対比の形で示す。 |
| 第2段落 | 立場。「この指摘は、〜という点で重要である。私も筆者の立場をとる」と、注目した部分を明示する。 |
| 第3段落 | 具体例。社会で起きた事例や制度を挙げ、第2段落の主張を裏付ける。 |
| 第4段落 | 結論。設問の問い(例:必要な考え方は何か)に正面から答える形で締める。 |
課題文型で落としやすいのは第1段落です。要約を入れずに意見から書き始めると、課題文を読めているかが伝わりません。設問に要約の指示がなくても、短い要約を置くのが安全です。
採点者は何を見ているか|小論文の評価基準チェックリスト
評価の軸は、構成・設問への対応・日本語の正確さの3つです。奇をてらった構成や難しい言い回しは必要ありません。
| 観点 | チェック内容 |
|---|---|
| 構成 | 序論・本論・結論が成立し、論じる順番が組み立てられているか |
| 理解 | 設問の趣旨、課題文や資料の内容を正しくつかんでいるか |
| 考察 | 主張に対する理由・根拠・具体例が示されているか |
| 一貫性 | 序論の立場と結論が一致し、途中で話がすり替わっていないか |
| 日本語 | 文体の統一、誤字脱字、表現の誤用がないか |
| 形式 | 指定字数、原稿用紙のルールを守っているか |
満点を狙う必要はありません。落としやすいのは形式と設問対応なので、そこを埋めるだけで答案の印象は変わります。
高校生が書きやすい頻出テーマと論点の押さえ方
頻出テーマは限られています。切り口を先に用意しておくと、本番でネタに困りにくくなります。
| テーマ | 切り口 | 使える論点 |
|---|---|---|
| 教育(探究学習・ICT・格差) | 公平性/学習効果/地域差 | 機会の底上げ、学び方の多様化 |
| 環境(脱炭素・食品ロス) | 個人の行動/企業の責任/制度 | 費用と効果、規制と誘導 |
| AI・情報(活用とリテラシー) | 効率化/格差/倫理 | 使い方の教育、人が判断する範囲 |
| SNS(誹謗中傷・依存) | 表現の自由/安全性/教育 | 仕組みが行動を変える |
| 少子高齢化・地域 | 財源/人手/地域連携 | 支える側の負担軽減、予防 |
| 働き方・エネルギー | 制度/技術/社会の変化 | 現状の課題と解決の優先順位 |
知識を増やす方法は難しくありません。ニュースサイトや新聞で気になった話題について、自分はどう考えるかを短くメモします。語彙が増えると、問題文や資料を読む速さも上がります。
学部・系統別の注意点|看護・医療、教育、法学・経済で求められる視点
志望学部によって出題形式も求められる視点も変わります。過去問で形式を確認し、関連分野の基本的な考え方を押さえます。
| 系統 | 出やすい形式 | 意識したい視点 |
|---|---|---|
| 看護・医療 | テーマ型が多い傾向 | 命や医療に関わる価値判断、患者と医療者の関係 |
| 教育 | 図表分析型が多い傾向 | 学習効果と公平性、支援の仕組み |
| 法学・政治 | 課題文型 | 基本的人権、法と道徳、制度の目的 |
| 経済・経営 | 図表分析型が多い傾向 | データの推移、費用と効果 |
| 国際・社会 | 課題文型・ミックス型 | 異なる文化や立場の理解、前提の違い |
大学によっては、小論文ではなく総合問題という名前で、資料読解と記述を組み合わせた試験が課されます。実際の出題例は青山学院大学の総合問題・小論文の解説で確認できます。学部ごとの傾向は青山学院大学教育人間科学部の傾向と対策も参考になります。
総合型選抜・学校推薦型選抜の小論文で意識すること
総合型選抜(旧AO入試。大学が求める学生像に合う人を選ぶ入試)と学校推薦型選抜(旧推薦入試。学校長の推薦が必要な入試)では、書類審査・面接・小論文が組み合わさる形が定番です。大学に進む生徒のうち約50%がこれらの方式で受験しているとされ、対策の有無が差になります。
意識したいのは次の点です。
- 志望理由書で書いた関心と、小論文の論点をそろえる
- 書類選考の段階で提出を求められる場合があるため、早めに1本書き切る経験を積む
- 学部の学びに関係する切り口を選び、面接で深掘りされても答えられるようにする
志望理由書では教育格差に関心があると書きながら、小論文では別の話題に寄せると、一貫性を欠いた印象になります。書類と答案は同じ関心の延長で書くと整合します。
★FAST-UPが見てきた、小論文が書けない高校生の3つのつまずき方
FAST-UPの指導現場で見ていると、「小論文が書けない」と言う生徒の状態は同じではありません。原因を分けずに練習量だけを増やすと、同じ失敗を繰り返します。まず自分がどのタイプかを見極めることが、対策の出発点になります。
★ネタが出ないタイプ|知識ではなく問いの立て方で詰まっている
このタイプは、知識が足りないと思い込んでいることが多いです。実際に話を聞くと、テーマについて知っていることはあるのに、どの角度から論じるかを決められずに止まっています。
コーチとの面談では、「原因を書くのか、影響を書くのか、解決策を書くのか」を先に選ばせます。角度が決まると、手持ちの知識でも書き出せることが多いです。知識の補充は、その後で志望学部に関係する分野から進めます。
★構成が崩れるタイプ|書きながら考えてしまう
答案を読むと、前半と後半で主張が変わっているケースです。本人は迷った自覚がなく、書いているうちに話題が移っていることに気づいていません。
共通するのは、構成メモを省いている点です。時間がもったいないと感じて本文から書き始め、結果として途中で書き直すことになります。毎日の学習の中で、本文を書かずに構成メモだけを作る練習を入れると、答案の崩れは落ち着いてきます。
★設問からズレるタイプ|用意した答案を当てはめようとする
練習を重ねた生徒に出やすいつまずきです。覚えた型や過去に書いた答案を、目の前の設問に当てはめようとして、問われていないことを書いてしまいます。
対策として、答案を提出する前に「設問が求めている答えの形」を一言で言わせます。ここで言葉に詰まる場合は、設問を読み切れていない合図です。型は便利ですが、設問を読む工程の代わりにはなりません。
小論文の練習方法|過去問・構成メモ練習・添削の受け方
練習は、過去問・書写・構成メモ・添削の組み合わせで進めます。小論文は自己採点が難しいため、第三者に読んでもらう工程を必ず入れます。
| 練習方法 | やり方 | 向いている時期 |
|---|---|---|
| 志望校の過去問 | 形式と制限時間を本番どおりにして解く。過去3年分が目安 | 形式が分かった後 |
| 模範解答の書写 | 良い答案を書き写し、型とフレーズを身につける | 書き方が固まらない時期 |
| 構成メモだけ練習 | 本文は書かず、結論から結論までをキーワードで並べる | 時間が取れない時期・直前期 |
| 添削 | 学校の先生や塾の講師に見てもらい、改善点を次に回す | 全期間 |
添削は1回で終わらせず、少なくとも3回以上は受けて、指摘を反映した答案をまた見てもらいます。小論文特有のルールや構成の感覚は、1〜2回の練習では定着しにくいからです。
独学でできるのは、ルールの習得と構成メモ、書写までです。設問とのズレや論理の飛びは自分では気づきにくいため、誰に見てもらうかを早めに決めておきます。学校の先生に頼む場合は、提出のたびに同じ観点で見てもらえるよう、設問と条件も一緒に渡します。
いつから対策を始める?高校生の小論文の学習スケジュール
開始時期の目安は、出願方式が決まった時点です。小論文は短期間で仕上がる科目ではなく、繰り返し書いて形が整っていくため、早めに1本書き切る経験を作ります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 方式検討の段階 | 志望校が小論文を課すか、どの形式かを募集要項と過去問で確認する |
| 基礎づくり | 作文との違い、ルール、三段構成を覚える。構成メモの練習を始める |
| 形式対策 | 志望校の形式に合わせて過去問を解き、添削を受ける |
| 直前期 | 制限時間を計って書く。構成メモだけの練習で感覚を維持する |
日々の学習と並行して進めるので、書く日と見直す日を分けて計画に入れます。学習時間の管理が崩れやすい人は、記録の付け方から整えると続けやすくなります。方法は勉強記録のつけ方にまとめています。
小論文対策の参考書・問題集の選び方
参考書は「書き方を学ぶ本」と「テーマの知識を仕入れる本」に分けて選びます。役割が違うため、1冊で両方をまかなおうとすると中途半端になります。
| 種類 | 選ぶ基準 |
|---|---|
| 書き方の本 | 構成と手順が示され、解答例と解説がセットになっている |
| テーマ知識の本 | 志望する系統のテーマを扱い、背景と論点が整理されている |
| 問題集 | 出題形式が自分の志望校と同じで、解答例の分量が指定字数に近い |
選ぶときのポイントは、解答例に「なぜこの構成にしたか」の説明があるかどうかです。答案だけが並んでいる本は、自分の答案を直す手がかりになりません。おすすめの進め方は、書き方の本を1冊通し、残りの時間をテーマ知識と過去問に回すことです。本の選び方全般は高校生が勉強法を学べる本も参考になります。
よくある質問
Q. 「です・ます」と「だ・である」はどちらで書くべきですか。 A. 小論文では「だ・である」が基本です。重要なのは混ぜないことなので、志望校や学校から指定がある場合はその指示に従います。
Q. 反対意見には必ず触れないといけませんか。 A. 必須ではありません。ただし800字以上の答案では入れると説得力が上がります。極端な主張に見えにくくなるためです。
Q. 試験中に何も思いつかないときはどうすればよいですか。 A. テーマについて「原因」「影響」「解決策」のどれを書くかを先に決めます。角度が決まると書く内容が絞られます。それでも出ない場合は、問題文や課題文の中の言葉を手がかりにします。小論文の手がかりは問題文の中にあることがほとんどです。
Q. 字数が埋まらないときの対処法はありますか。 A. 理由の説明をもう一段詳しくするか、反論とその対応を足します。具体例を増やすより、今ある理由を深める方が評価につながります。
Q. 自分の意見と違う立場で書いてもよいのですか。 A. 問題ありません。賛成と反対の両方から論じさせる設問もあり、評価されるのは立場そのものではなく、根拠を示して論じられているかどうかです。
Q. 体験談を書くと作文になってしまいますか。 A. 体験が主張の理由や根拠として働いていれば、作文にはなりません。感想で終わらせず、そこから一般的に言えることへつなげると小論文として成立します。


